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掌編は荒野を目指す――ショートショート集  作者: gaia-73
暁蒼篇

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「精霊」 vol.1

 

 トウモロコシの精は髪の毛の中に住んでいる。

 


 ある時トウモロコシ畑に一匹のミツバチが通りかかった。

 疲れていたのでそのハチは、その辺に転がっていた青白い(タマ)に座ってひと休みする。

 

 休んでいると、その球がもぞもぞと動いていることに気が付いた。

 みなさんお分かりの通り、その球はトウモロコシの精の家、なのである。

 というか髪の毛なのである。

 

 精は自分の家の上に誰かが座ったのを感じた。

 どうしようかなぁ、と精は思った。

 家をかき分けて(・・・・・・・)、面と向かって注意すべきかしら……?

 でも、また……。

 

 精は迷う。いつも家をかき分けて顔をのぞかせると、『オ、オバケだー!!』と言ってみんな逃げていくのだ。逃げていくこともだが、精は怖がられるのが嫌だったのである。


 でもやっぱり、自分の家の上、というか髪の毛の上、頭の上には乗ってほしくないものだった。

 決心して精は、家をかき分けはじめた。


 もぞもぞ、と動き出した球の上では、ミツバチが「ん? んん?」と、座っている球を見下ろしていた。このクッション、マッサージ機能まであるのかな、と思っていた。綺麗な上に高性能で惚れてしまいそうだった。


 すると、ミツバチのちょうど座って見下ろしている辺りの繊維が、バッとかき分けられて、真っ白で黄色い服を着た、トウモロコシの精が顔を覗かせた。

 

 ミツバチは驚いてビックリと跳び上がった。

 ハチは精の姿をマジマジと見た。


 羽をプルプルとふるわせながら、ミツバチは何か言おうと口を開いた。

 

「オ、オオ、オ……」



 ああ、だめだ。

 また「オバケ」って言われちゃう!

 精は目を閉じた。




「……オ、オ、オシャレ~~!!」



 こうして、ミツバチとトウモロコシの精は、友達になった。


 

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