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掌編は荒野を目指す――ショートショート集  作者: gaia-73
暁蒼篇

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「と、ある日の昼休み」

 

「で? インターンシップどうだったん?」


「書類選考は通ったけど、面接がな」


「ああ、まだそういうんがあるんやね」


「うん……、私以外は3年やし、どうやろ」


「ダイジョブちゃうん? あんたけっこう真面目やんか」


「そうかなぁ」


「というか、国文科でインターンシップとか取っとん、あんただけやないん」


「いや、だけってことはあらへんやろ。少しは居るよ…」


「そぉか?」


「てかさぁ、うちアレやねん。今回落ちたらどうしようかなって……」


「ん? どゆこと?」


「うち出版系の企業志望してんねやけどさ、この辺やっぱ少ないねん」


「あぁ、出版系か。たしか東京とかが多いとか…」


「そう! そーなんよ。東京のやつもあった。でもあたし無理。通えんし金ない」


「まぁ、遠いわな」


「それがさー、聞いてよ。今日のグループワークでな、一緒んなった先輩がな、台湾に留学するんやて」


「留学かぁ、それ凄いな」


「あーっ、と。留学っちゅうかそれもインターンシップやねんけどさ、今めっちゃバイトしてんねんて」


「ほぅ。そういう人も居んねやなぁ」


「うちも頑張らなかんなって思うわ、そういうん聞くとさ」


「同感。」


「うちはダメやな。東京でも、やっぱり遠い思てまうわ」


「東京に行きたしと思へども、東京はあまりに遠し、か。ふらんすでもなく」


「志賀直哉やっけ」


「え? ちゃうやろ。……えっと、萩原朔太郎やわこれ」


「あー、月に吠えなかんなー」


「月かー……8月15夜の月観は、杜甫と白居易の影響やったな」


「せやったねぇ。」


「ケケケ……、こんな会話しとるとさ、つくづく自分らはそういう学生なんやて実感するな」


「んまぁ、医学部とか法学部のやつらは、ふつーに呆れるやろなぁ」


「うん……。語り手さんはどう思う?」



 あ、私? そうねぇ。とりあえず、君はインターンシップ通るといいよな。


「それあたしちゃうで」


「うん、語り手さんそれうちの方や」


 ああ、そうだっけ? ごめん。ま、がんばれ。


「がんばるよー」


「あたしにもひと言無いんか~?」


 あんたはほとんど私だから、そういうのは要らんと思うから。


「うわ、ひでー……」



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