「と、ある日の昼休み」
「で? インターンシップどうだったん?」
「書類選考は通ったけど、面接がな」
「ああ、まだそういうんがあるんやね」
「うん……、私以外は3年やし、どうやろ」
「ダイジョブちゃうん? あんたけっこう真面目やんか」
「そうかなぁ」
「というか、国文科でインターンシップとか取っとん、あんただけやないん」
「いや、だけってことはあらへんやろ。少しは居るよ…」
「そぉか?」
「てかさぁ、うちアレやねん。今回落ちたらどうしようかなって……」
「ん? どゆこと?」
「うち出版系の企業志望してんねやけどさ、この辺やっぱ少ないねん」
「あぁ、出版系か。たしか東京とかが多いとか…」
「そう! そーなんよ。東京のやつもあった。でもあたし無理。通えんし金ない」
「まぁ、遠いわな」
「それがさー、聞いてよ。今日のグループワークでな、一緒んなった先輩がな、台湾に留学するんやて」
「留学かぁ、それ凄いな」
「あーっ、と。留学っちゅうかそれもインターンシップやねんけどさ、今めっちゃバイトしてんねんて」
「ほぅ。そういう人も居んねやなぁ」
「うちも頑張らなかんなって思うわ、そういうん聞くとさ」
「同感。」
「うちはダメやな。東京でも、やっぱり遠い思てまうわ」
「東京に行きたしと思へども、東京はあまりに遠し、か。ふらんすでもなく」
「志賀直哉やっけ」
「え? ちゃうやろ。……えっと、萩原朔太郎やわこれ」
「あー、月に吠えなかんなー」
「月かー……8月15夜の月観は、杜甫と白居易の影響やったな」
「せやったねぇ。」
「ケケケ……、こんな会話しとるとさ、つくづく自分らはそういう学生なんやて実感するな」
「んまぁ、医学部とか法学部のやつらは、ふつーに呆れるやろなぁ」
「うん……。語り手さんはどう思う?」
あ、私? そうねぇ。とりあえず、君はインターンシップ通るといいよな。
「それあたしちゃうで」
「うん、語り手さんそれうちの方や」
ああ、そうだっけ? ごめん。ま、がんばれ。
「がんばるよー」
「あたしにもひと言無いんか~?」
あんたはほとんど私だから、そういうのは要らんと思うから。
「うわ、ひでー……」




