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掌編は荒野を目指す――ショートショート集  作者: gaia-73
暁蒼篇

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「QED」

本を読んでいたらQEDという言葉が出てきた。


Q.E.D(証明終了)、ではない。

この場合、以下の意味であるらしい。


QED

量子電磁力学の略称。もちろん、量子論を組み込んだ電磁力学である。この理論においては、電磁場では(仮想電子の)自発的な活動が起こり、場の擾乱は離散的な粒子状の単位で生じる(リアルな光子)。[「電磁力学」、「光子」、「量子場」も参照のこと]


――フランク・ウェルチェック『物質のすべては光 現代物理学が明かす、力と質量の起源』(ハヤカワ文庫NF・2012)、p422より抜粋。



「ああ、なるほどな~」


 とボクは納得して本を読み進めた。

 と、ボク以外誰もいないはずの部屋に、誰かの気配がした。

 ボクは、顔を上げた。


 なんか、髪の長い知らない女の人がいた。

「どうも、こんにちは」

 若いけれど、どこか古い雰囲気のある方だった。

 着物的な意匠の散りばめられた、スタイリッシュな格好をしていた。

 腰に締めた帯が、大きくておしゃれだった。

 

「はぁ、こんにちは。……でも、どちら様でしょう?」

 困惑するボク。

 

「リアルな光子(みつこ)です」

 当然のように答えるその人。


 とその時、ボクのスマホからも、なにか気配がした。

 ボクはスマホを見た。


「…………………………」


 なんか画面に知らない女の子が映ってた。

 ツインテだった。 


「どうも、仮想の電子(デンコ)です!」


 とその子は自己紹介した。


「エネではなく?」

「誰ですかそれ」

「いや、なんでも無いです」


 ボクは少し頭がクラクラした。

 何これ現実?

 ボクはスマホの中の少女と、部屋に出現した女性を見詰めた。


「あのー、何でボクの部屋にいるのでしょうか……」

 とりあえず聞いてみた。

 すると、

「よく分かりませんけど、」

 光子さんが申し訳なさそうにしながら、

「たぶん、この部屋でどういうわけか、電磁相互作用が量子論的に起こって……」

 


「……それが、何かいろいろとあって、なぜか人格を持ってしまったのではないでしょうか……」


 スマホの中の電子も、納得したようにうんうんと頷いていた。



「……へー、そーなのかー」


 ボクは、考えるのをやめた。

 

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