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37.シオンとペガサス

 いつから様子をみていたのだろうか? 俺の背後にはペガサスがおり、それをみたメデューサは驚いた顔で声をあげた。



「なんでペガサスがこんなところに……」

「馬小屋で傷つけられていたけど、ゴルゴーン達はペガサスを飼っているのか?」

「飼っているなんて失礼な事を言わないでほしいな。彼は僕らの里の守護者みたいなものなんだ。里に危機が来た時にペガサスが選んだ者が危機を救ってくれるっていう伝説があるんだよ。なぜなら、ペガサスは触ったものの心が読めるから、心が清らかだったり自分が気に入ったものしか乗せないんだ。だから、ペガサスに選ばれるっていうのはすごいことなんだよ。うちの里ではエウリュアレ姉さましか乗れないんだけどね……それにしても傷つけられていたなんて一体誰がそんな罰当たりなことを……」



 メデューサの声に俺はペガサスを見る。彼はなぜか得意気に鼻を鳴らした。こいつそんなにすごい奴だったのか……ただのクソ生意気な馬だと思っていたのに……てか、今結構大事なことをメデューサが言ってたよね。



「君って心を読めるのマジ……?」

『ああ、我は触れた者の心を読むことができる。貴様が『アンジェリーナさんの胸どれくらいだろう』って思っているもお見通しだ』

「思ってないよ!? いや、ちょっと気になってたけどさ、てか、俺は他にも色々考えてるだろ!!」

『ああ……そうだな、貴様が我を真剣に心配してくれたということも、ゴルゴーン達の事を本当に心配してくれているという事も見えていたぞ』

「よくわからないけど、力を貸してくれるって事か?」

『ああ、任せよ。我が貴様を目的地へ届けよう。あの糞蛇女め、我の美しい体に傷をつけおって!! 絶対許さん。それにあの女は里を破滅させようとしている。絶対許せん』



 傷つけたのはおそらくステンノだろう、ペガサスはステンノの爪で傷つけられていた。彼女に触れてペガサスは何を知ったのだろう? 俺が聞こうとすると、ペルセウスから声をかけられた。



「我が歌姫よ、多少落ち着いてきたし、舞台は整ったぞ。シオン、そちらは、任せるぞ」

「わかったよ、ペルセウス。僕にはペガサスがなんて言ってるかわからないけど、そのペガサスはシオンに力を貸してくれるんだよね? だったら姉様の事は君に任せるよ。僕は僕のできることをやるからさ」


 

 そしてメデューサは飛んでくる矢を気にせずに、正面に出る。それを守るようにしてペルセウスとシュバインが彼女の両隣で武器を構えた。



『おー、なんかよくわからねーけど、盛り上がってきたな。こいつらの護衛は俺にまかせろ。』

「わかった、頼む」



 そういって俺はペガサスに乗って砦跡へと向かうことにした。






「うおおお、すごいな」


 ヒヒーンと嘶きながら空を飛んだペガサスに俺は捕まりながらたずねる。


「なあ、君はなんで俺を乗せたんだ? 乗せる相手を選ぶんだろう?」

『もちろんだ、我は我が認めた者しか乗せぬぞ』



 こいつ傷を癒したから懐いてくれたのかな。案外チョロいな、このペガサス……と思っていると振り下ろすように暴れやがった。あっぶねえぇ落ちたら死ぬぞ。



『我のどこがチョロインだ!! 貴様!! 我は別に怪我をなおしてもらってくらいでデレたわけじゃないんだからね』

「うっぜぇ、なんでヒロイン気どりなんだよ、お前!! それよりも、目的地はわかっているんだよね?」

『貴様好みにあわせてやったというのに……もちろんだ。任せるがいい』



 そういえばこいつ心が読めるんだったな。俺がやりにくさを感じていると、ペガサスはさらに加速をした。そして真剣な声色で言った。



『貴様の考えている通り砦跡にエウリュアレは捕えられているぞ。あの蛇女が我に乗ろうと触れた時に目的地がわかったからな……そしてそこに、エウリュアレが捕まっていたのが見えたのだ、我が乗せるのを拒否したらあの蛇女はやつあたりとばかりに我を傷つけて去っていったのだ』

「心が読めるんだったらどうなるかだってわかっただろ? 乗せれば怪我をしなかったんじゃないか?」



 俺の言葉に鼻を鳴らしてペガサスは否定した。それは強い拒絶の感情を感じさせる。


 

『あの女は自分の事しか考えていない。ゴルゴーンの血の効果が広まれば乱獲が始まるだろう。我は里の守護者として里を守らねばならないのだ。故に貴様に力を借りたい。貴様はゴルゴーンを守ろうとしてくれていたからな。だから答えよ、なぜ貴様は魔物であるゴルゴーンを助けようとする』

「みんな聞いてくるなぁ……『翻訳』なんてギフトを持っているとさ、魔物や動物たちの言葉がわかるせいか、そいつがいいやつか悪い奴かわかるんだよね。だから俺は、人かどうかじゃなく、そいつがいいやつかどうかで味方をするかどうかを決めるようにしてるんだよ」


 

 俺はギフトを手に入れた時の事を思い出す。もちろん種族的に仲良くなれないやつらだっている。種族とか関係なくいいやつも嫌な奴もいる。このギフトで嫌なこともあったけれど……パーティーを追放されたりもしたけど、ライムと仲良くなったり、カサンドラと相棒になったり、シュバインと仲間になれた。だから俺は俺が信じたいと思った人の味方になると決めたのだ。

 俺はメデューサの里を救いたいという気持ちにほだされた。ペルセウスの種族を超えた愛情に尊敬の念を覚えた。フィズと話してゴルゴーンとも分かり合えることを知った。だから俺は彼女たちの力になりたいと思ったんだ。人とか魔物とかは関係ない、彼女達の力になりたいと思ったんだ。



『貴様は異常だな……その考えではやりにくいのではないか?』

「ありがとうよ、確かに俺は変かもしれないけど、そんな俺の事を慕ってくれる仲間や街の人だっているんだ。人生捨てたものじゃないよ」

『フッ、我も貴様の事をは嫌いではないぞ』



 だからなんでこの馬はツンデレぶるんだよ。マジうぜーんだけど!! でも、彼は彼なりにゴルゴーンの里を救おうとしてくれているのだろう。だったら俺も力になりたいと思う。



『ありがとう……では我はエウリュアレを助けるから囮を頼む』

「え?」



 そういうと俺はいきなり振り落とされる。下には古い建物があるようだ。ってそんなことはどうでもいいんだよ。



「うおおおおおお、風よぉぉぉぉぉ!!! あのクソ馬何考えてんだよ。絶対馬刺しにしてやるからな!!」



 落下の衝撃を魔術で発生した風によってなんとか相殺させる。天井の一部があたってくっそ痛いがなんとかけがはしないですんだようだ。



「シオン……?」



 着地した場所にはアスとその背後に薬でもやっているのか、目が虚ろなトロルが数匹と、その対面にステンノがいた。あれ。今どうなってるの?


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― 新着の感想 ―
[一言] ペガサスも一緒に飛び込んだのかと思ったらシオン落とされてたのかw
[一言] ホントにペガサスか?…ユニコーンの間違い?(笑)
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