23.ゴルゴーンの里2
「ただいま」
「おかえりなさいませ、メデューサ様」
メデューサについて行くと彼女はひときわ大きな穴倉の前に立ち止まる。扉には一人の武装したゴルゴーンが立っている。そのゴルゴーンはメデューサの顔を見ると会釈をして扉を開けた。やはり長の家と言うだけあって、警備兵もいるようだ。俺はメデューサにおいてかれまいと急いで彼女の後ろについて行くと何か硬いものににぶつかってしまった。多分ペルセウスだ。透明だからお互いわからないのだ。
「何か変な音がしませんでしたか?」
「え……気のせいじゃないかな? 僕には聞こえなかったよ」
「いやそんなはずは……」
一瞬にして戦闘モードになったらしく、髪を蛇にした警備兵は不審そうにあたりを見回した。その視線は音のしたところ、つまり俺のいるところに注がれて、ゴルゴーンの警備兵と目があった。彼女が魔眼を使えば俺は即座に石化してしまうだろう。無限にも感じた時間だったが、やがて、彼女は怪訝な顔をしながらも視線を外した。自分が透明だということはわかっていても心臓に悪いものだ。
「申し訳ありません、気のせいだったようです。エウリュアレ様の事があって神経質になっていたようです……」
「気持ちはわかるよ。気にしないで。じゃあ、僕はいくねー」
メデューサが誤魔化すように笑いながら駆け足で穴倉の中に入って、誰も周りにいないことを確認してから一言。
「ふたりとも気を付けてよね!!」
「悪かった……」
「フッ、怒った顔も美しいな、我が歌姫よ」
「あのね、今は本当にそんなことを言ってる場合じゃないんだからね」
焦った声をだすメデューサに俺は素直に謝った。しかし、ペルセウスのやつマジでぶれないな。とはいえ見えないとはいえ音はするのだ気をつけねばならない。
「じゃあ、手はず通り僕が姉さまに事情を話すから、合図をしたら兜を脱いでね」
彼女の言葉に俺は頷いた。確かにいきなり姿を現したら警戒されるだろうからね。メデューサの姉に事情を話して、納得してもらってから姿を現した方がいいだろうということになったのだ。
「姉さま、入ってもいいかな」
「ええ、大丈夫よ」
扉の中には高級そうな机で仕事をしている美しい女性がいた。彼女がメデューサの姉のステンノだろう。人間離れした、美しい顔に、すらりとした長身に体のラインを強調するような薄い生地の服を着ている。そのため俺は一瞬胸に目をとられた。いやいや、今はそんな場合ではない。
「姉さまに話しがあるんだ」
「何かしら? 私は今エウリュアレの捜索で忙しいのだけれど……」
「その事で話があるんだよ。近くの人間たちの村に行商人が来たらしいんだけど、そいつが怪しいらしいんだ、だから……ひっ」
「人間ですって……!?」
メデューサの人間という言葉にステンノは過敏に反応した。感情が昂ったためか瞬時に髪が蛇と化して、メデューサを睨みつける。さきほどまでの柔和な笑みが嘘のようだ。
「人間とは関わるなと言ったはずよね、その話を誰から聞いたのかしら」
ステンノは威圧感たっぷりの声でメデューサに尋ねる。人間への好感度最悪なんだけどどうしよう……
ちょっと色々と構成をいじっているので更新遅くなるかもです。
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