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57.

「カサンドラ、ゴブリンの巣が爆破した上に、森から奇襲をしてくるって言うのは本当か!!」

「ええ、確かに視たわ。集合地点のみんなが無事だといいのだけれど……」



 俺はギフトが見せる光景を見て頭を押さえながらも、走り出したカサンドラに必死についていきながら訊ねる。ゴブリン達が自分の巣を囮にするっていうのは予想外だった。となると……俺達はおびき出されたという事なのだろうか。わざと手を抜いて俺達を油断させたっていうのかよ。

 先に集合地点についた冒険者たちが先走ってゴブリンの巣に侵入していないといいんだけど……



「シオン、戦場が近いみたいよ、気を付けて!!」

「わかってる!!」



 カサンドラの言葉にしばらく森を走ると怒号や悲鳴、金属がぶつかり合う音が鳴り響いてきた。どうやら相当な混戦状態のだようだ。



「先に行くわね、炎脚フランベルジュ



 爆発音と共にカサンドラが飛び出していき、今にもゴブリンに倒されそうだった冒険者を助ける。流石だなぁ……などど感心している場合ではない。俺は俺にできる事をやらなきゃね。



「うわぁ……予想以上に多いね……しかも、この前の巣にはいなかった亜種までいるよ……」



 おそらく、ここら辺のゴブリン達を全員集めたのだろう。剣を持つゴブリンは見えないが、他の巣のリーダらしき、強力な体躯と怪力を持ちトロルと対等以上に戦うというゴブリンの亜種のゴブリンチャンピオンと、優れた頭脳を持ち中級魔術を使いこなすゴブリンマジシャンなどがおり、指揮をとっているようだもいる。

 俺が思わずうげぇと呻いていると見知った顔を見かけたのでそちらへと向かう。



「アス、状況はどうなっているんだ?」



 俺は負傷者を治療しているアスに声をかけると、彼女は俺に気づくと同時にぱぁーと顔を輝かせて笑顔を浮かべた。



「シオン……良かった無事だったんだね……一部の冒険者がゴブリン達なんて楽勝だって巣に入っていって……いきなり爆破したと思ったら、西の方からあいつらが攻めてきたんだ……」

「じゃあ、イアソンは……」



 俺は最悪の状況を想像する。あいつのことだからゴブリンの巣に突っ込んだりしていないよね……その予想はすぐさま覆される。



「おい、アス!! 負傷者だぞ。さっさと癒してサポートをしろ。あいつら殺しても殺しても湧いてきやがる。ん? シオンか……ということはこちらが勢いづいたのはあのクソ女が来たからか……」

「イアソンなんで……」



 俺は忌々し気にカサンドラが戦っているであろう方向を見つめているイアソンと目が合って驚愕の声を上げた。こいつの性格だったら先にゴブリンの巣に行っていると思ったのに……



「なんでもクソも、そういう指示だっただろうが、一部の馬鹿どもは勝手にゴブリンの巣に入ったようだがな!!」

「うふふ……イアソンもやっと待てを覚えたんだよ……」

「人を犬みたいに言うんじゃない。それよりも、シオンどうする? 乱戦な上にぱっと見ではお前の言っていた変わった剣を持ったゴブリンを見えんぞ」

「あ、ああ……そうだね、多分あいつはどこかでゴブリン達に指示を出しているのかもしれない。となると……動物たちに話を聞いて情報を集めるか……もしくは……」

「ゴブリンの話を聞くしかないでしょうね。さっき何体かのゴブリンが森の奥へと戻って行ったわ。剣を持ったゴブリンに作戦を相談しているのかもしれないわね。彼らには拷問はきかないんでしょう? だったら盗み聞きをしてリーダーの場所を知るしかないでしょうね」

「カサンドラ!!」



 そう言って俺達の会話に乱入をしてきたのは何人かの負傷者を連れてきたカサンドラだった。一瞬イアソンと目が合うとお互いにらみ合ったのは気のせいではないだろう。

 俺は仲直りしたんだけどなぁ……この戦いが終わったらなんか飯でも食べる機会でもつくろうかなぁ……まあ、それは勝ってからだよね。



「それならいい作戦があるよ。使うかもと思って持ってきた兜が役に立ちそうだ」




 そう言って俺は道具箱にいれていたペルセウスからもらった兜をこつんと叩く。


この作品『追放された俺が外れギフト『翻訳』で最強パーティー無双!~魔物や魔族と話せる能力を駆使して成り上がる~』の二巻が発売中です。


ゴルゴーンの里でのお話になっております。書き下ろしでシオンとアスの過去編もありますのでよんでくださると嬉しいです。


二巻の表紙は活動報告にアップしているので見ていただけると嬉しいです。


最初の一週間で、続刊が決まるので、もし、購入を考えている方がいらしたら早めに購入していただけると嬉しいです

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[一言] いよいよ翻訳者活躍の舞台。
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