55.違和感
「なっ、このゴブリン……本当にスキルを……やられ……」
冒険者の驚愕のうめき声と共に、刀を振る音がしたかと思うと同時に血しぶきをあげながら首が舞う。もちろん、首が飛んだのは冒険者ではない、ゴブリンの方だ。
「大丈夫かしら」
「あ、ああ……その髪、あんたはカサンドラか!! ありがとう、助かったよ。さすが魔族の血を引いているだけはあるな」
「え、ええ……ありがとう」
冒険者にお礼を言われるとカサンドラは照れくさそうに頬をかいた。昔から魔族の血を引いているから迫害されていたからか、褒められるとすぐに照れるのだ。本当に可愛いと思う。
「それにしても、予定よりも包囲網を狭めるのが早くないか?」
「ん? ああ、ゴブリンどもなんだが、事前に聞いていたのと違って大したことなくてさ、だから、ついつっこみすぎちまったんだよ……」
「それで不意を突かれるなんて情けないわね」
「うう……返す言葉もない、だけど他のやつらも仲間も先にいっちまったし敵のリーダーを倒せば褒賞金をもらえるだろ。だからつい……」
容赦のないカサンドラの言葉に冒険者は申し訳なさそうに、頭をかいた。だけど、彼の言う通り想像以上にうまくいっているんだよね。他にも、俺達がサポートするはずの所も、いくつか回ったが、助ける必要もなくゴブリンを追い払ったようだ。
だからだろう、全体的に楽勝ムードが漂っていた。オークの時とは違いどこかみんな楽観視をしている気がする。
これを持ってきたのが無駄になるならそれでいいんだけとね……俺は今回のために持ってきたペルセウスの透明になる兜に触れながら考える。
「なあ、本当に今回のゴブリン達は緊急ミッションを出すほどの相手だったのか?」
「私たちが相手を過大評価しすぎたっているのかしら?」
「いや、そうじゃないんだよ、だけどさ、ほら……」
カサンドラに睨まれて、ビビった冒険者が空を指さすと、制圧完了を証明するのろしが各地で上がる。八方向からゴブリンの巣を囲うようにして制圧するのだが、もう、半分以上が上がっているようだ。
俺が警戒しすぎたのか? だけど、モルモーンはいっていたあの魔剣は強力だと……俺は嫌な予感がよぎったので、近くで果物をかじっていた鳥に偵察を頼むことにした。
この作品『追放された俺が外れギフト『翻訳』で最強パーティー無双!~魔物や魔族と話せる能力を駆使して成り上がる~』の二巻が発売中です。
ゴルゴーンの里でのお話になっております。書き下ろしでシオンとアスの過去編もありますのでよんでくださると嬉しいです。
二巻の表紙は活動報告にアップしているので見ていただけると嬉しいです。
最初の一週間で、続刊が決まるので、もし、購入を考えている方がいらしたら早めに購入していただけると嬉しいです。




