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43.帰還

「まじか……」 

 

 待ち伏せに焦りながらも俺はとっさに先ほどの鼠を見つけたので頼みごとをする。そして、俺達はゴブリンと対峙しつつ武器を構えて警戒する。



「待ち伏せされてたみたいだねぇ……」

「ああ、でも、突破するしかない!! 俺が隙を作る!! モルモーンいけるか?」

「ふむ、あいつには私のスキルは読まれているみたいだけど、やりようはあるさ!!」



 その言葉と共に俺はクレイだったか……剣を持つゴブリンに話しかける。



「お前らはそんな風に自分たちの訓練をして何をしているんだ?」

『なるほど……お前は俺達の言葉がわかるのか……本当に人間は多種多少な能力をもっているのだな。だが、俺達もいずれその力を手に入れて見せるさ』



 俺の予想通り彼はこちらの言葉に反応して、一瞬驚いた後ににやりと笑った。そして、目の前のゴブリンは声をはりあげてゴブリン達に命令する。



『同胞よ、みんなであの目つきの悪い男を捕えよ、奴を捕え色々と情報を得れば、我々は更に強くなるぞ!! そして、これからの侵略の一歩目としよう!!』

「目つきが悪くて悪かったな!! モルモーンいまだ!!」

「ふふ、ようやくか、まかせたまえ!!」



 その言葉と共にゴブリン達が一斉に俺の方へ向かってくる。そして、それを防ぐようにモルモーンが影で俺を守りながら、突き進む。

 挑発をした甲斐があった。この混戦状態ならば……しかし、俺の希望的観測は砕かれる。クレイの合図とともに俺を囲んでいたゴブリン達が一斉に離れたのだ。そして、彼が例の剣を振るうと紙のように影が切り裂かれていく。



「私の影が……」

『それはもう見切ったといっただろう!! もはやお前ら人間の時代は終わったのだ。これからは我々ゴブリンの時代が始まるのだ!! 我々は選ばれたのだとこいつが教えてくれた!!』

「ゴブリンの時代!? 何を言ってるんだよ。そして……そんな時代はやってこないさ。火よ!!」

『そんなもの……くぅ!?』



 俺が放った魔術を切り裂こうとしたクレイだったが、突如背後から猛スピードでやってきた刃の一撃に気づきとっさに受け止めた。だが、その代わり俺の魔術が直撃し痛みに悲鳴をあげる。

 やはり痛覚はあるようだ。再生するっていってもこれならやりようはある。そして、彼を襲った一撃の正体は……



「シオン、待たせたわね!! こいつを倒せばいいんでしょう?」

「ああ、可能ならばこいつの手から剣を奪いたいが、無理はしないでくれ!!」

『雑魚は任せろ!!』



 俺の放った鼠に誘われたカサンドラとシュバインが援軍にきてくれたのだ。このまま押し切れるか? と思ったがそううまくはいかないようだ。不利を悟ったゴブリン達は徐々に後退していく。そして、それはクレイも例外ではない。



「やるわね、でも……まだ私達の方が強いわ!  炎剣フランベルジュ

『それはもう知っている!!』



 カサンドラの振り下ろした刃が、彼女のスキルによって爆発した剣が跳ね上がりクレイの右腕を切り裂こうとしたが、彼は左腕を挟み込んでそれを止める。

 カサンドラの刀はクレイの左腕を切り裂くだけでとめられてしまい、そのままゴブリン達の群れに紛れて逃げられてしまった。



「あいつ……本当に2度めは同じ攻撃が通じないって言うの?」

「ああ、私のスキルも彼には通じないようだしね……それもあの剣の……プロメテウスの力だろうねぇ……」

『それよりもあいつらを追わないのか?』

「いや、それはまずいな……おそらくあいつらは待ち伏せをしている。ちょっとこれだけの人数じゃきついと思う。とりあえずこの件をギルドに報告にもどろう。モルモーンも、落ち着いたところに行ったら思い出したことをはなしてくれるか」

「もちろんだとも……少し衝撃的かもしれないがびびらないでくれよ」

『そうか……』



 俺の言葉に納得したシュバインだったがなぜか、金属の棒を全力で振りかぶり始めた。え? こいつマジで何をやってんの?

 そしてそのまま洞窟の柱を叩きやがった。



「うおおおおおおお」



 俺達はあわてて逃げ出す。



「シュバイン、なにやってんの?」

『ああ、こうしておけば少しは時間を稼げるだろ』

「いや、まあ、そうかもしれないけどさぁ……」



 そうして俺達は一旦街へ戻ることにしたのだった。俺は崩れ落ちていくゴブリンの巣の入り口を見ながら少し呆れた声を出す。

 それにしてもクレイは気になる事を言っていたね。侵略の第一歩か……侵略する相手ってやっぱり俺ら人間だよね。

 俺達は急いで冒険者ギルドに報告をしに戻る事にした。



 そうして急いで冒険者ギルドに戻るとアンジェリーナさんがどこか焦った様子で俺の方へ駆けてきた。



「アンジェリーナさん、大変です!! 会議室を借りる事はできますか?」

「シオンさん……ゴブリンの件ですね……ちょうど私もお話があるんです。モルモーンさんもつれてきてもらってもいいでしょうか?」


 そうして俺はモルモーンと一緒に彼女に連れられて、会議室へ向かうのだった。




この作品『追放された俺が外れギフト『翻訳』で最強パーティー無双!~魔物や魔族と話せる能力を駆使して成り上がる~』の二巻が11/10日に発売いたします。


ゴルゴーンの里でのお話になっております。書き下ろしでシオンとアスの過去編もありますのでよんでくださると嬉しいです。



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― 新着の感想 ―
[一言] WEB版読了。とっとと一巻を探しに行くか、二巻を待って一巻を入手するか悩み所。
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