35.ゴブリンの森
「やはり魔王の墓で遭遇した呪いの武具のような魔物が巨人やモルモーンの記憶に関係しているのか?」
「多分そうだろうねぇ、現に私は彼らには魔王の墓で呪いの武具達にあった時のような不快感は感じないからねぇ」
アンジェリーナさんから依頼を受けた俺達はさっそく調査依頼を受けて、目撃のあった森の方へ向かっていた。
そこで遭遇したゴブリンの群れ相手にシュバインが無双しているのを見ながらモルモーンがそんなことを言った。
「じゃあ、あなたの記憶に呪いの武具が関わっているってことかしら? それにしても、魔物が武具を持つって結構珍しいわよね」
『まあ、俺達魔物の大半は武器や防具を作る技術はないし、武器はともかく防具は特に窮屈な感じがして、なんか嫌なんだよな。その代わりに俺にはこれがあるからな』
そういうと得意気にシュバインが力こぶをつくる。人ではありえない硬さと力強さの筋肉がその存在感を主張する。
確かにシュバインの言うように武器を持っている魔物はいるが、防具を着けている魔物はあまりいない。魔王の墓にいたスケルトンも無理やり鎧を着せられていた気がするしね。
「まあ、あんたのその筋肉も私の刀でなら斬れたけどね」
『いうじゃねえか、カサンドラ!! 俺もあの時より強くなってるんだぜ!! 試してみるか』
「へぇーいいわね。ゴブリン達じゃ物足りなかったのよね。このクエストが終わったら模擬戦をやってみる?」
カサンドラとシュバインが楽しそうに話はじめる、こいつらマジで戦闘民族だよね……いや、頼りになるからいんだけどさ。でも、アンジェリーナさんにまた怒られそう……
『それでも『ゴブリンの森』で盗賊の討伐クエストにいったCランクのパーティーがたまたま遭遇したゴブリン相手に逃げたらしいけど、ギフト持ちのゴブリンでも現れたのかな? ゴブリンにさらわれた可愛い女の子を助けるスライムの英雄伝がはじまるね』
「そんなに女の子がいいなら私がいるじゃないか? ライム」
『うーん、モルモーンはなんか違うんだよねぇ』
いやらしい顔をしたライムをモルモーンが抱きしめる。彼女もパーティーに入ったから、ライムの言葉がわかるようになったんだよね。
モルモーンの豊かな胸の間に挟まっているライムだが、、彼はなぜかあまりうれしそうではない。なんだ、その顔!! くっそ、うらやましいんだが……
「確かに武器を持ったというより、ギフト持ちの方がこわいんだよね……多少強い武器をもったくらいのゴブリン相手にCランクの冒険者パーティーが負けるとは思えないし……」
「となるとそのゴブリンがよっぽど強かったのかしら? 緊急ミッションの時の様にギフト持ちかもしれないわね」
「もしくはギフトを持っていて、更にその武器が強力だったとか……」
カサンドラの言葉にうなづきながら俺は警戒心を高める。モルモーンが警戒している呪いの武具もやばいけど、正直ギフトの方が怖いというのもある。
オーク達との戦いの様に、ゴブリンの持っているギフト次第ではこちらの常識が通じない場合があるからね。
「クソが、なんなんだよぉぉ!! ゴブリンごときがなんでこんなに……」
俺がそんなことを思っていると案の定というか、野太い声が響く。冒険者は俺達以外いないはずだが迷い人でもいたのだろうか?
今回の作品とは別に
新作品の領地開拓物を投稿したんで読んでいただけると嬉しいです。
『異世界の知識と始める産業革命。『口先だけの知識バカ』と辺境に追放された俺は外れギフト『世界図書館』を駆使して最強国家を作り上げる。ファイアーアロー? うるせえ、こっちはライフルだ!!』
https://book1.adouzi.eu.org/n6300hd/
自信作なのでよかったらぜひ!!




