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26.シオンとカサンドラ

 そうして水晶の間を出た俺達は落ちてきた穴を見上げる。当然ながら、はしごなどはない。すっかり忘れていた……まあ、俺はブーツがあるから飛べるんだが……



「ちなみにモルモーン、ここからはどうやって登るんだ?」

「そんなの霧になれば一瞬じゃないか? ああ、こういう方法もあるよ。君が望むなら抱きしめてあげてもいいんだぜ」

「いや、いいって……俺はペルセウスからもらった靴があるから大丈夫だけどみんなどうする?」



 カサンドラの視線を一瞬感じたため俺は断る。そういうと彼女は自分の影の姿を変化させて羽のようにした。マジで便利だよね。だけど、そんなことしたら絶対胸が当たるじゃないか……カサンドラあたりに軽蔑されそうである。ただでさえ今は好感度が下がっているきがするんだよね……



「私は炎脚で……」

「いやいや、そんなのよりもいい方法があるんだけどなぁ」



 俺がちらっとカサンドラの方を見ると、何かを言おうとした彼女にヘルメスがにやにやと笑いながら耳元で囁いていた。すると彼女はなぜか俺とモルモーンを交互に見つめて何やら険しい顔をして呻いた。ヘルメスのやつ絶対何か余計な事を言ったでしょ。



「シオン、その……悪いけど私を抱きしめて登ってもらえるかしら」

「え、でもカサンドラは炎脚を使えば……もごもご」



 そらをとべるんじゃ……と言おうとすると、ライムが口に触手を突っ込んで邪魔をした。うへぇ、ぬるぬるしてて気持ち悪いんだけど!! なにをしやがるんだこのくそスライム……



『そんなんだから童貞なんだよ……僕はどうしよっかな?』

「そのブーツでは定員オーバーじゃないか? 暴食は私が預かろう」

「じゃあ、僕もモルモーンに抱き着かせてもらおうかな」

「何を言っているんだい、ヘルメス、君は飛行魔法くらいつかえるだろう」

「あれって疲れるから嫌なんだよねぇ……あと魔法じゃなくて魔術だよ、今はもう、魔法は失われてかけているからね」



 いやらしい顔をするヘルメスをモルモーンがすっぱりと切り捨てる。いや、飛行魔術って結構高度なんだけど……てか魔法っていった? 魔術じゃなくて? 

 ヘルメスの指摘通り、モルモーンは何百年も前に生きていたらしいし、魔法と言ってしまう癖があるのかもしれない。ちなみに魔法は魔術より高度なものと言われ、一部の人間と魔族しか使えないものである。 

 それにしても、ヘルメスは何を考えているんだろうかと視線を送ると、彼は胡散臭い笑みを浮かべながら飛行魔術を使って飛び始める。視線が合うとなにやらに余裕そうに手を振ってきた。



「シオン……私達も行くわよ」

「あ、ああ……」



 そう言うとカサンドラが俺に抱き着いてくる。柔らかい感触と、良い匂いが俺の鼻孔を襲う。くっそ、無茶苦茶集中しずらいんけど!! 最近デートしたばかりという事もあり、なんか余計気にしてしまう。

 よく冷静で居れるなとカサンドラの方を向くと彼女も顔を真っ赤にしている。あ、なんか意識しているのは俺だけじゃないんだ。と思うと不思議と落ち着いてきた。



「じゃあ、行くよ」



 俺はそう言うと精神を集中し飛行する。落ちないようにするためか、カサンドラの抱き着く力が強くなる。やっべえ、柔らかいものが体により当たってしまう。今俺にだきついているのはオーク、今抱きついているのはオーク……俺は必死に自分に言い聞かせる。



「ねえ、シオンって巨乳が好きなの?」

「うおお、いきなりなにいってんの?」

「きゃあぁぁ、ちゃんとしなさいよ」



 上まで半分ほど飛んだタイミングだろうか、カサンドラがいきなりそんな事を言い出して、思わず集中力が乱れ、落ちそうになる。

 カサンドラに睨まれたが理不尽じゃない?



「いや、だってアンジェリーナさんの胸を見ていつもにやにやしているし、さっきもモルモーンの胸をみて厭らしい顔をしていたじゃない」

「いや、あれは男の本能というか……てか、別にいつもアンジェリーナさんを胸元を見てないって……見てないよね?」

「多分アンジェリーナさん気づいているからきをつけなさいよ。女性ってそういう視線は気づくんだからね」

「え、嘘でしょ……」



 衝撃の事実を聞いてしまった。だって、冒険者ギルドの服って、谷間が強調されているんだよ。あのおっぱいで受付嬢は無理ですよ。いや、あのおっぱいだから冒険者受けがいいのか……



「やっぱみてるんじゃない、変態……」

「男の本能なんだからしょうがないんだってば。でも、別に巨乳好きってわけじゃないって。今だってやばいんだからね!!」

「な……ダンジョンでなにいってるのよ」



 そう言うとカサンドラも自分の態勢に気づいたのか顔を真っ赤にした。だけど、何故か抱きしめる力が弱まる事はなかった。いや、まあ、離したら落ちるんだけどね。何とも言えない空気の中俺達は無言になりながらも上がっているいくのだった。

第一巻が発売中です。興味があったら手に取っていただけたら幸いです。


続刊などはやはり発売最初の1週間が肝となるらしいのでぜひとも宣伝させて頂きたく思います。


作品名で検索するとアマゾンなどのページが出てきますのでよろしくお願いいたします。


また、一巻にはカサンドラがシオンと会う前の話が5万字ほど書き下ろされているので興味があったら手に取ってくださると嬉しいです。

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