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24.魔王

 ここで魔王か……まあ、魔王の墓なのだ。その関係者が出てきてもおかしくはないだろう。それにしても、巨人族だって……魔族と同等の力を持っているってかなりやばいんじゃないか?

 こいつが暴れたらと思うと先ほどのカサンドラの動揺も納得がいく。シュバインとその兄の時とは比べ物にならないだろう。



「ああ、心配はないよ。今は彼は封印をされているからね。さて、君たちの質問には答えた。今度は私の番だ。何百年も一人だったんだ。話し相手になっておくれよ。今の世界はどうなっているんだい? 私の……モルモーンという名前に聞き覚えはないか? 君たちは冒険者なんだろう? 何かかけらでもいいから知っていることはないかな?」

「ふーん……何百年も一人だったのね……」



 モルモーンは俺を見ながらに何かを期待したように語りかける。あいにくだがモルモーンという名に聞き覚えはない。俺はカサンドラと目を合わせてどうしようかと話し合おうとしたが、彼女はモルモーンを真正面からみて、こういった。



「だったら、私達と一緒に街を見てみたらどうかしら? 案内くらいならするわよ」

「ふぅん、これは予想外で魅力的な提案だねぇ」

「おい、カサンドラ!?」



 俺は予想外の展開に、思わず彼女に駆け寄って抗議をしようとする。モルモーンからは確かに敵意を感じないが、信用できるかどうかはまだ別だ。だって、こんなところにいるんだよ、訳ありに決まってる。ましてや記憶喪失とかなんでもいえるじゃん。



「シオン……正直私も彼女を信用しているわけじゃないわ。だけど、目の前にいればある程度監視もできるでしょう? 何か重要な事をぽろっというかもしれないし……」

「まあ、それはあるかもだけど……」


 

 そう言ってカサンドラは俺の耳元で囁く。ようはよくわからないから監視をするってことか……どちらかというとカサンドラはモルモーンよりも巨人族を警戒しているようだ。

 正直、説明をされても、巨人族のやばさというのがよくわからない。いや、魔族よりと同じくらいやばいっていっても、俺は魔族と戦ったことがないんだよね。正直やばさだったら目の前のモルモーンの方がやばいと思うんだけど……



「それに……この子がいい奴か悪い奴かはわからないけれど、ずっと一人っていうのは辛かったと思うのよ……」

「そうか……カサンドラは優しいな」

「別にそんなんじゃないわよ。疑わしい事したら遠慮なく倒すつもりよ」


 

 そういうカサンドラはどこか、辛そうだった。昔の自分を思い出しているのだろうか……そうだよね……こんなところでよくわからない、巨人族とかとずっと一緒だったのだ。ふざけた言動だからわからなかったがモルモーンだって大丈夫なはずはないのだ。


 モルモーンが最初に俺を見つけた時も歓迎をしてくれていたと思う。それこそ自分の胸を触らせてまで、俺と話したくなるくらいに……彼女だっていつでも俺を殺す事なんてできたんだ。だったら少しくらいは信用してもいいかもしれない。



「内緒話は終わったかな? それで君たちは私をどうするのかな?」

「モルモーンさんが良ければ俺達が街を案内するよ。記憶喪失なら不安だろうし、ここにいたっていうことは街とも何か関係があるかもしれない。それに人と話したいなら俺の仲間や友人を紹介するよ。中にはあなたの事を知っている人もいるかもしれない」

「ふぅん、ずいぶんと太っ腹だねぇ……日中はあんまりギフトを使えないけれどそれでもいいかな? お礼といってはなんだけど、これでも戦闘には自信があるんだ。君たちの冒険にだって付き合うよ」



 俺達とモルモーンの交渉が成立した瞬間だった。すると乾いた拍手がダンジョン内に響く。視線をやるとそこには何やら胡散臭い笑みを浮かべ、肩にライムをのせたヘルメスが立っていた。



「いやぁ、予想外だねぇ……まさか、彼女を仲間にするなんて……せいぜい協力者にするくらいだとおもったんだけどねぇ」

『また、シオンが女の子をナンパしている……』

「ナンパってお前な……え……」



 そこからは予想外の事で俺はとっさに動けなかった。ヘルメスを見たモルモーンが一瞬にして体を霧と化したのだ。まさか、ヘルメスを殺すつもりじゃ……



「へ……?」

「君は……暴食グラトニー暴食グラトニーじゃないか!! あははは、君を見た瞬間、君の事を思い出せた。これは運命だね。私だ。ヘカテーだよ、私の名前に聞き覚えはないかな?」



 そういって、ヘルメスの肩から奪い取るようにしてライムを抱きしめたのだった。突然の事に俺達はおろかヘルメスも珍しく余裕そうな笑みを消して、唖然とした。

 


『ねえ……シオン、この人誰? てか暴食グラトニーって誰?』



 だけど一番驚いていたのはライム本人だった。美女で巨乳なモルモーン? にだきつかれているというに彼はいつものようにエロイムではなく、ただ茫然としていたのだ。

第一巻がいよいよ本日発売です。早いところではもう並んでいると思うので手に取っていただけたら幸いです。


続刊などはやはり発売最初の1週間が肝となるらしいのでぜひとも宣伝させて頂きたく思います。


作品名で検索するとアマゾンなどのページが出てきますのでよろしくお願いいたします。


また、一巻にはカサンドラがシオンと会う前の話が5万字ほど書き下ろされているので興味があったら手に取ってくださると嬉しいです。


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