4.下準備
「それでは第一回シオンデート会議を始める」
『そんなんより、俺は戦いたいんだが……テセウスってやつ中々強いんだよ』
『なんで人じゃなくて魔物の僕たちに聞くのかなぁ……』
「仕方ないだろ!! みんなアスには聞くなって言うんだから!!」
『それは僕もそう思うけど……』
俺の言葉にライムは呆れたというように言った。俺だって人に相談したいんだけど、こんな事相談できる人がなかなかいないんだよな。いつもはアスに相談をしていたんだけど、武器屋のおっさんには絶対やめろって言われたし……
まあ、確かに身近過ぎる人の恋バナを聞くのはちょっとしんどいのかもしれないな。家族の恋バナを聞くのは嫌だって言う人もいるらしいし……俺もケイローン先生やアスの恋バナはあまり聞きたくない。ちなみにイアソンはいつも自慢してきてきやがった。メディアがパーティーに加入してきてからは彼女に一回チクったら、なぜか、イアソンの方も女性とかかわるのを隠すようになったけど。そういえばあいつは今何をしているのだろう。無事だといいんだが。それはさておきだ。
「というわけで、デートってどうすればいいと思う? ダブルデートの時とかはイアソンが全部決めてたからよくわからないんだよな」
『よくわからねーけど、うまいもん喰わせて寝床に誘って無理やり襲えばいいんじゃねーか』
「はい、アウトォォォォ!! 何言ってんだよ!! それじゃあ、体目的のクソやろーじゃねーか!! ちなみに俺よりカサンドラの方が圧倒的に強いからそんなことしたら殺されるわ。やらないけど!!」
『人間はめんどくせーな……そもそも、オークがデートなんてするわけねーだろ』
『まあ、オークにデートに関して聞く、シオンが悪いよね』
くっそ、このオーク予想以上に使えない。いや、そもそもこいつらに恋愛っていう文化はないのか……俺は呆れた顔をしているシュバインに頭を抱える。でも、まだライムがいる。こいつなら……
『あの期待を裏切るようで悪いんだけど、僕らは分裂で増えるからだからそもそも雄雌がないんだよね。体力や知識も半分になっちゃうからあんまりやらないんだけど……だからデートっていうのは知識では知ってるけど、実感わかないんだ。まあ、僕は肌とか色々柔らかいから女の子が好きなだけなんだけど』
もっとだめだったぁぁぁぁ。確かにライムの性別とか気にしてなかったわ……一人称で勝手に判断してたよ。でもこいつがぼくっ娘の可能性も……
『シオンがきもい目で僕を見てる気がする……』
「いや、そんなことないって」
『てかさ、カサンドラはさ、シオンにスマートなエスコートとか求めていないと思うよ。よくわからないけど、君の事を知りたいんだと思う。だから君が好きな所に連れて行ってあげればいいんじゃないかな?』
心なしかライムが何かを見守るかのように優しい声で言った。確かに俺はかっこつけようとしていたのかもしれない。思えば最初に街を案内した時も楽しんでくれていたもんな。
「ありがとう、二人とも」
『うん、がんばって』
『よくわからねーけど、うまくやれよ』
俺は二人に礼を言ってデートコースを考えるのであった。この街の日常はこの前見せたとおりだ。ならば市場の方まで足を延ばすのもいいかもしれない。俺はさっそく催し物を調べることにした。
なろうコン用の作品を書いてみました。よかったら読んでくださると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
ハイファンタジー新作
『散々搾取された上、パーティーを追放された技能取引者<スキルトレーダー>スキルショップを開き、S級冒険者や王族の御用達になる~基礎スキルが無いと上級スキルは使いこなせないって言ったはずだけど大丈夫か?』
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ラブコメの新作です。
モテなすぎるけど彼女が欲しいから召喚したサキュバスが堅物で男嫌いで有名な委員長だったんだけど~一日一回俺に抱き着かないと死ぬってマジで言ってんの?~
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