始まる英雄伝②
銃口が火を吹き物凄い音ともに銃弾が飛んでいく。
そんな銃弾を綺麗に切り裂いて回避する魔王軍幹部だったが流石に疲れが見えていた。
「はあ、はあ......」
「どうしたもう終わりか?」
「くそ!ゴブリン隊行け!」
しかしその声に従う者は誰もいなかった。
「ゴブリン隊はどこに行った!?」
どうやら上手く殺ってくれたらしい。流石はルナとフランだ。
どうゆうことかと言うと俺がタゲをとっている間にルナとフランがゴブリンを皆殺しにしたのだ。一応あいつらは吸血鬼だ。殺す術くらい持っているのだろう。
そうして仲間が居なくなった幹部をじわじわと攻めていけば俺達の勝ちだ。のはずだった。
「どうする、このまま負けを認め攻撃をやめるなら命までは取らない」
「.....ふざけるな」
なんだどうも様子がおかしい。
魔王軍幹部の体からなにかおぞましいものが出てくるのが見えた気がする。
次の瞬間、魔王軍幹部の体がムキムキと筋肉が引き締まり我を忘れたように唸っている。そして目が赤く輝きだし、剣を大きく振り上げる。
あれはやばいな!?
俺は直ぐに建物の裏に隠れるが振り下ろされた剣の爆風をくらってしまう。
「がはっ............」
「フハハハハハハ!!さあ、これからが本番だあ!」
「さすがは幹部ってとこか....雑魚とは違うな」
俺は二双を使いナイフ付きハンドガンを構える。
しかしリーチの短い俺の方が不利なのは変わらない。
それ相手のステータスはどれだけ上がっているかわからない以上近づくのも危険だ。
そんな時、ルナが物陰から現れる。
「マコト様、吸血鬼には血を暴走させる魔術を産まれながらに使えます。しかしあの状態だと持って五分くらいかと」
「そうか、でも次くらったらやばいかも」
先程の攻撃で俺の横腹を強く打ち付けてしまった。
だが回復力が高い分もう痛みはない。
しかし爆風だけであの威力だ、もろにくらったらどうなるのやら。
俺はハンドガンの弾を睡眠弾から実弾に切り替える。
「さあ、死ね!人間がああ!」
「ゴハッ!!」
「マコト様!!!」
肋骨がボキボキと音を鳴らし激痛が走る。
多分何本か折れてしまったのだろう。
「いってえ....やべえ死ぬかも」
少ししてくらったら箇所が修復し始める。
そして数秒も経たずに完治してしまう。
「貴様本当に人間なのか?」
「どう見たって人間だろ」
「まあいい。貴様は直ぐに死ぬのだからな」
そう言って剣をまた振り上げる。
やばい、あの一撃がくる!!
しかし俺は起き上がろうとするが木の根のようなものが巻き付き押さえられて行動不可能だった。
「終わりだ人間!!」
「待て!」
その声には聞き覚えがあった。
俺の目の前には最初の街で戦った魔王軍幹部が立っていた。
あいつは死んだはずだ。てことはこいつが本物か。
「そ、ソフィア様!?」
「少し待つのだエル」
「しかしこの者は危険です」
「そうだな私の分身を倒したのだ十分に分かっている」
そう言ってこちらの様子を伺っている。
しかしその威圧は以前戦ったものとは全く違うものだ。
なんと言うか別人ではなく恐ろしく強いものに近いだろう。
俺は必死になって体を動かすが木の根はびくともしない。
ルナやフランはその場にひれ伏し怯えている。
このままでは確実に死ぬ。
「おい、少年よ。そなたはアリスに殺されたはずではないのか?」
「ハクのことか。そうだな俺は殺されかけたな」
「そうかでは何故死んでいない?アリスは絶対に人間を守るはずがないのでな」
「たまたま当たらなかったと言えば納得するか?」
「まあいい。そなたには二つの選択肢がある。一つ目はここで死ぬこと、そして二つ目は我々の仲間となることだ」
「は?なんで俺がお前らの仲間になる必要がある?」
「仲間になればお前の力が我々のものになることと、お前はアリスに会いたいのだろ?」
そう言うことか、もし俺が魔王軍に入ってもお互い損はしないってことか。
てかなんでこいつは俺がハクに会いたいとわかったんだ?
「...」
俺は少し考えるために黙り大人しくする。
しかしそのこともお見通しと言うように脅しをかけてくる。
「もしお前が首を縦に振らないのならアリスはどうなるだろうな?」
「どうしてだ」
「お前が生きていることはこの場にいる者しか知らない。もし私が魔王様にこのことを報告するればアリスは罰を受けることになるだろうな」
「そうか。俺には関係ない」
「そう言っていられるのも今の内だけだ」
そう言って幹部は手の平に丸い球体を浮かばせると映像が映り始める。
「なんだよこれ」
そこには串刺しになった魔族らしき者が血だらけで映っていた。
「これは幹部が裏切りをした末路だ。アリスもこうなってしまうぞ?体をボキボキ、バキバキと貫かれ死の苦痛を味わい死んでいくのをお前は見ていられるか?」
確かに俺が魔王軍に入れば全てが解決する話だ。しかし入ったところでハクが無事でいられるかも確証はない。
俺は苦渋の選択を迫られる。
「ああ可哀想に私にはどうすることもできない。アリスを救えるのは少年だけなのだよ」
まただ。俺はなんで毎回悩んでいるのだろうか。
こんな強い力があったとしても上手く行かない、それどころかたった一人の少女すら守れない始末。
俺はやっぱりこの世界を甘く見すぎていたのだろうか......。
「君が欲する道に進めばいい。いつまでも強欲に生きて」
謎の声が心に響いた。
「お前が一番だ。いつまでも傲慢であれ」
男の声だが誰だかわからなかった。すると目の前には王冠が二つの落ちてくる。
ひとつは赤い大きな石が埋め込まれ、もうひとつは青い小さな石が何個も埋め込まれている。
あれ?いつの間にか時間が止まってる?
周りの全てのものが止まっていた。
「君が今欲しているのはなに?君が欲しい者があるのならそれだけを求めればいい」
この声は何故か聞いた覚えがある。懐かしいと言うよりどこかいつも聞いているような......。
そして俺は王冠に手を伸ばす。
「そう、そうやって己の欲する道へ」
「お前の道は全てが正しい。自分だけを信じろ」
届け届いてくれ。
指がギリギリ届くか届かないかの間で粘っていた。
「まだ悩んでいるの?」
「お前は何故そんなに悩んでいるのだ?」
俺だってそんなの知らねえよ!わかんねえよ!
あいつを救いたいだけだ!
「ならそれを求めればいい」
そんな簡単に言われても俺はわかんねえよ。俺は神でも英雄でもない。ただの人間なんだよ!!
でも......たった一人の少女すら守れない人間には成りたくない。助けられるだけの力が欲しい。そのためならどんな悪にだってなってやる。ハクをあいつを救うためなら命なんていらない!!
その時、俺の手が王冠に届いた。
その瞬間世界がまた動き出す。
しかし俺の手には王冠が握られていた。
「わかった、俺は魔王軍に入る。だからあいつを殺させはしない」
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そして半年後俺は魔王軍幹部になった。
「皆の者、今日は新しい仲間が増えたぞ。入ってこい」
足取りは軽くしかしその威圧感はほかの幹部達を圧倒する。
「強欲と傲慢の王、アカツキです。魔王様......」
こんにちはこんばんはどうも永久光です。
とうとうこの挨拶も十回目になりました。これも皆さんの応援があったからです。
今後もまだまだ続きますので魔王軍幹部編をお楽しみに。
本当の無双はこれからです。




