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村人だった俺が神スキル『チェンジ』に覚醒して世界を救う英雄に~命懸けで戦っていたら仲間には愛されるし婚約者は増えてゆくし、幸せすぎて困ります~  作者: ひだまりのねこ
第四章 王都への旅路 ~ポルトハーフェン 

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役者は揃った、いざ決戦の舞台へ


『むふふ~ミコト先輩~!』


 突然何もない空間からミコトさんそっくりな女性が現れて、そのままミコトさんに抱き着く。


 ああ……美しいかな。眼福かな……って誰? 双子? 


 謎の美女は、ミコトさんに抱き着いたまま高速ビンタを喰らっているけれど、それすらもまるでご褒美かのようによだれを飛び散らしている。


 くっ、美女のよだれがこんなにも魅力的だとは知らなかった……こちらに偶然飛んでこないだろうか?



「あの……カケルくん?」


「ああ! 彼女は死神のキリハさん。俺の伴侶だ」


 ……あの、さっきミコトさんが伴侶だって言ってませんでしたっけ? いや、別に良いんですよ? 羨ましいとかそういうのじゃないんですけどね。


「……死神って、みんなあんなに綺麗なんですか?」


「そんなはずないだろう? ミコトさんとキリハさんが圧倒的に一番綺麗な死神だよ」


 ……へえ……その一番を独り占めしているんですね? わかります。


「ふふっ、イソネ君も死神に会いたいのか? ただし、本当は会ったら即死亡だぞ? ははは」


 怖っ!? 百年の恋も冷めますよ? ちょっとだけ会ってみたいなんて思ったけど、さすがに洒落にならない。

 


 

「きゃああああ!! ミコトさん可愛い~!! 本物初めて見た~!!」


 すごい勢いで部屋に飛び込んできて、躊躇なくミコトさんに抱きつく新たな美女。超絶美少女三人の絡みとか、いつまでも見ていられるよ……。えっと、ここは天国でしょうか?


 でも……あれ? この女性、知っているような……えっと……たしか……。



「そうか、美琴、お前ミコトさん生で見るの初めてだっけ……?」


 ん? 美琴? あああああ!! 思い出した~!! 不知火美琴(しらぬいみこと)!! あのトップアイドルだった!! え? なんで? 本物?



「か、カケルくん……なんで不知火美琴がここに?」


「おおっ!! やっぱりイソネ君も知っていたか。彼女は勇者として、この世界に来たんだよ」


「ゆ、勇者……!? ま、まさか……彼女も?」


「ん? ああ、もちろん彼女も伴侶だ」


 ……ええ、そうでしょうとも。わかってはいたつもりだったけど、なんだろう……この圧倒的な敗北感。そしてどうしても聞いておきたい疑問が。


「カケルくん……つかぬことをお伺いしますが、伴侶って他にもいらっしゃるんでしょうか?」


「ああ、知らないところで増え続けているから、正確な人数は変動するけど、召喚獣を入れたら四桁だな」


 ……聞かなければ良かった。四桁? 四人じゃなくて? 召喚獣も入れればって何? え? 獣もお嫁さんなの?



「ミコトさあああああん!!!」


 そんな俺を置いてカケルくんもミコトさんに抱き着く。あんな表情のカケルくんを見るのは初めてだよ。やっぱりミコトさんは特別な存在なんだな……。 


 

『ふふふ、カケル、存分に甘えるといい』


 ミコトさんが優しくカケルくんの頭を撫でている。ああ……めちゃくちゃ羨ましい。


 後で知ったんだけど、ミコトさんは、普段は実体化していないそうで、生ミコトさんは、とんでもなくレアなんだとか。いやあ、実にツイている。自分の幸運値を褒めてあげたいよ。



「……こ、この仲間はずれ感……俺も参加した方がいいのかな?」


「すまんな、イソネ君。こればかりはごめんなさいだな」


 駄目元で聞いてみるが、あっさり却下されてしまった……。


 だけど、超絶イケメンと超絶美少女たちを目の前で眺めることが出来るだけで満足だよ。正直、鼻血が出そう。



***



 その後、邪神の居場所への転送が始まるまでのわずかな時間、俺たちは最後の確認をしている。


『いい? 邪神のところに飛んだ瞬間にイソネはチェンジを発動しなさい。どれぐらいかかる?』


「い、一秒もかからないかと思いますけど……」


 ミコトさんに名前を呼ばれるだけで、身体が動かなくなるんだけど。それでも何かめっちゃ嬉しい。



『遅いね。一秒あれば千回は殺される……カケル、時空魔法でサポートして』

 

「わかった。安心しろイソネ君。時間の流れが百分の一になれば、十回殺されるだけで済む」


「ええ……結局殺されるんじゃないですか……」


 二人が思い切り物騒な会話をしている。もはや、どうあがいても、俺の実力じゃどうにもならないレベルの戦いになるのは間違いなさそうだ。



『馬鹿ね。そのために私とミコト先輩が付いてるんじゃない。一瞬なら時間稼ぎくらいできるわよ?』


 キリハさんが俺を慰める様に微笑む。ええっ……貴女は本当に死神なのですか? どこからどう見ても普通に女神様なんですけど……あ、死神も女神と言えばそうなのかもしれないね。



『でも、念のため、カケルも切り札を使って』

  

 おおっ!! 切り札って何? 必殺技的な? さすがはカケルくん。


「すげえ! そんなのあったんですね、さすがカケルくん!!」


 どうしたんだろう……なんかカケルくん微妙な表情しているんだけど?



『はい、これ食べて、カケル子になりなさい』


 ミコトさんが期待に満ちた目でカケルくんに見た目パイナップルのような実を差し出す。


 ……カケル子って何?



「…………あの、そんなのが邪神に効くとは思えない――――」


 カケルくんはあまり乗り気じゃないみたいだけど、それが例の切り札なんだろうか?


『大丈夫、初見殺しだから絶対に効く』

『大丈夫よ。イリゼ様ですら動けなかったんだから、邪神ごときでは意識も保てないんじゃないの?』


 え……? カケル子ってそんなにヤバいの? っていうか、キリハさんいまイリゼ様って言わなかった? え? イリゼ様って、この世界を創ったあの女神様? 本当にいたんだ……ああそうだよね、死神がいるんだから、そりゃあいますよね。まあこの際気にしても仕方ない。生きるか死ぬかの瀬戸際なんだし。



『イソネ、絶対にカケル子を見るな。死ぬから』


 ミコトさんの言葉には、一切の誇張もない。ヤバい……これは本当にヤバい奴だ。興味がないと言えば嘘になってしまうけれど、うん、絶対に見ませんよ? そんなんで死ぬのは嫌だ……。



 どうでもいいけど、なんか邪神よりもカケルくんの方が怖いんだけど、気のせいだろうか……? 



***



「転送が始まったぞ、イソネ君」


 七色に輝く光のドームが俺たちを包み込む。


 どうやら創造神イリゼ様による転送が始まったみたいだ。 



 もう後戻りは出来ない。待ったなしの一発勝負が今、始まる。

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i566029
(作/秋の桜子さま)
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