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村人だった俺が神スキル『チェンジ』に覚醒して世界を救う英雄に~命懸けで戦っていたら仲間には愛されるし婚約者は増えてゆくし、幸せすぎて困ります~  作者: ひだまりのねこ
第三章 王都への旅路 ~パクス 

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A級冒険者パーティ 『氷の翼』


『私はA級冒険者パーティ『氷の翼』リーダーのキタカゼと申します。オークどもは我々が大方殲滅しましたので、ご安心下さいね』 



 にこやかにそう告げるキタカゼの言葉に、呆然と立ち尽くすイソネ。


『あら? どうしたのですか、イソネさん。私の顔に何か付いてますか?』


 気付けば、キタカゼさんが目の前に居て、俺の顔を覗き込んでいる。うわっ!? 近い、それにいい香り。


「ふえっ!? いや、なんでもないです。あの、このオークたちはキタカゼさんが?」

『ふふっ、全部ではないけれど、だいたいそうですよ? 残りは、私のパーティメンバーが片付けています。じき戻ってくるでしょうから、後で紹介しますね』


 俺の後ろで震えているカスミとヴォルフ。え? なんでヴォルフまで震えてんのさ?


『あら? そちらの可愛いお嬢さんとワンちゃんはお仲間ですか?』


 うわああああ!? 駄目ですよキタカゼさん、ヴォルフは犬じゃなくて狼ですって!? 噛まれちゃいますよ!


『わふーん……』

「…………」

 お腹を見せて転がるヴォルフ。何やってんの……君は誇り高きエンシェントウルフじゃなかったの!?


『わあ……可愛いですね。モフモフしてますし……全部毟り取ってしまいたいですね……』 

『……きゃいんきゃいん!?』


 キタカゼさんが何か言っていたような気がするけど気のせいだろう。



「……イソネさん、あの人……」

『あら、可愛い子ですね。ちょっとお借りしますね、イソネさん?』

「ひっ!?」


 キタカゼさんに連れていかれるカスミ。少しだけ羨ましいと思ったのは内緒だ。



『さて……カスミさん。先ほど何を言おうとしたのですか?』

「あ、あの……私、目が見えない代わりに魂が見えるんですけど……」

『……見えなかったんですね? 私の魂が』


「は、はい……こんな事初めてで」

『ふふっ、気にしないでいいのですよ。私たち高位の冒険者には、様々な方法で干渉を防ぐ手段があるのです。ちなみに……鑑定も私には通じませんよ』

 

「そ、そうなのですね。凄いです!」

『それはそうと、貴女のその眼、治してあげましょうね」


「え……本当ですか? だって神官様もこの眼はもう治らないって……」

『ふふっ、そうですね。普通の方法では治らないでしょうけれど、私は高位冒険者です。強力な治療薬ぐらい持っているのですよ』


 そう言って懐から治療薬を取り出すキタカゼに、カスミが慌てる。


「だ、大丈夫です。そんな貴重なお薬、とてもお支払い出来ません。私、お金持ってないんです……」


 着の身着のまま逃げてきたカスミは、文字通り、今着ている服以外に何も持っていない。


 治療薬は一般的に効果が高ければ、その分値段が跳ね上がる。一般の人には通常のポーションや治療薬でも高嶺の花なのだ。ましてや、そんな奇跡的な効果のある治療薬となれば、間違いなくカスミが一生かかっても支払うことなど出来ないだろう。


 とりあえず、日常生活はなんとかなっているのだから、断るのは当然の反応であったといえる。


『気にしなくていいのです。だって私は高位の冒険者なのですから。お金なんていりませんよ』


 高位冒険者ってすごいんだなあ、と驚きっぱなしのカスミ。


 なぜ初めて会った私に、こんなに良くしてくれるのかさっぱりわからないけれど、なぜか信用できる気がする。魂の色はわからないけれど、とても安心できる気がするのだ。



「……お願いしても……良いですか?」

『もちろんです……では行きますよ……』


 目の周りが暖かい感覚に包まれる。まるで掌で包まれているような……きっと薬が効いているのだろう。期待と不安が一杯で、ドキドキ、心臓が早鐘のように打っている。



『……もう目を開けて大丈夫ですよ、カスミ』

「……あ、ああああああ、み、見える、見えるよキタカゼさん! 私、私……」

『……これまでよく頑張りましたね。偉いですよカスミ』


 久しぶりに見た世界の景色が、キタカゼだったのはカスミにとって良かったのか悪かったのかはわからない。あまりの美しさというものは、福にも毒にもなるのだから。


 

 キタカゼは、そんなカスミが泣き止むまで、その慈愛に満ちた眼差しで、そっと優しく抱きしめ続けるのだった。



***



『おーい、こっちは終わったぞ』

『……遅かったですね? シュヴァイン』

『そんな言い方あるかよ!? 結構数がいたから大変だったんだぞ? ってその男……まさか?』


『そうです。イソネさんですよ。ああ、彼はパーティメンバーのシュヴァインです。ふざけた男ですが、腕はまあまあですから、少しは役に立ちます』


「は、はあ……イソネです。よろしくお願いします。あの、シュヴァインさん、ありがとうございました」


 彼らの活躍がなければ、集落がどうなっていたか分からない。感謝してもし足りないほどだ。


『へへっ、良いってことよ、それよりやっと見つけたぞ。これでやっと酒が飲める……』


 なぜか 号泣し始めるシュヴァインさん。


「あ、あの……キタカゼさん?」

『……放っておいて大丈夫ですよ? 彼は頭が少々腐っているので』


『ま、まあ、イソネくん、シュヴァインのことは置いといて、早く集落に戻ったほうが良いんじゃないかな? きっとみんな心配しているだろうからさ』


 苦笑いでそういってきた王子さま風イケメンは、シュタルクさん。同じくキタカゼさんのパーティメンバーだ。


 とにかく驚いたのは、パーティメンバー全員キラッキラのイケメンアイドルグループみたいな……いや、悪役令嬢ものに出てくる王子たちみたいだってこと。


 灰色の髪と褐色の肌のイケメン、シュヴァインさん。


 金髪に透き通るような白い肌で、王子様顔負けの、ぱっと見、男装の麗人に見えなくもないのが、シュタルクさん。


『ふん……イソネとやら、こんな軟弱な奴らと一緒にするなよ? このハルクさまが最強だ』


 ボサボサの赤い髪に鋭い眼光のワイルド系イケメン、ハルクさん。頬に傷跡があり、眼帯をしている。なんか格好良い。


『ふぇっ!? なんで泣いてるのさシュヴァイン。あ、ボクはハルトだよ?』


 サラサラの水色の髪で見るからに気弱そうなハルトさん。ぷるぷる震えて庇護欲を刺激する小動物系イケメンだ。


 そして、そのイケメンたちをまとめるパーティリーダーが、ご存知超絶美少女キタカゼさん。


 これは、アレなんだろうか? いわゆる逆ハーレムってヤツなんだろうか?


 聞いてみたいけど、なんか絶対に聞いちゃいけないような気もする。本音を言えば、怖くて聞けないだけだけどね。



********************************

【 39話終了時点での主人公 】


【名 前】 チェンバレン → ツヴァイ 

【種 族】 ハイオーク → 吸血鬼

【年 齢】 30 → 27

【身 分】 オーク軍指揮官 → アヴァール帝国軍幹部

【職 業】 オーク軍幹部 → 軍人


【スキル】 チェンジ 総合剣術 夜目 身体強化 御者 統率 強脚 狼語 見切り 奴隷契約 カリスマ 索敵 槍術 剛力 斧術 耐性 酒豪 火魔法 睡眠 魔法耐性 絶倫 オーク語 血液操作 飛翔 魅了 


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i566029
(作/秋の桜子さま)
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