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村人だった俺が神スキル『チェンジ』に覚醒して世界を救う英雄に~命懸けで戦っていたら仲間には愛されるし婚約者は増えてゆくし、幸せすぎて困ります~  作者: ひだまりのねこ
第二章 王都への旅路 ~ネスト

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戦わずして勝利する


 一方、ヒンテン、レヒツ、リンクスの3人は、冒険者ギルドへとやってきた。


 依頼を受けながらギルドの情報を探るためだ。


「へえ、田舎町のギルドにしては、いい女が揃ってるじゃねえか……」


 リンクスがにやにやしながら受付嬢をなめるように鑑賞する。


「俺は獣人には興味ないんだよ。ギルマスのこと考えるともう我慢できないぜ」

「おいおい二人とも仕事中だってこと忘れんなよ?」


 釘を刺すレヒツだが、彼もまた女冒険者たちをしっかり値踏みしていた。


「へいへい……じゃあ適当な依頼を……っておい見ろよあれ」


 ギルドの入り口から入ってきたのは、明らかに良家の令嬢とおぼしき、ものすごい美少女とその侍女と護衛で構成されるグループ。 


 どうやら緊急の依頼に来たようで、受付で何やら揉めている。



 少し近づいて聞き耳を立てていると、どうやらオークが領内に出現したらしく、討伐を依頼に来たらしい。


「ですから、何度も申し上げておりますが、オークはDランクの魔物です。それが複数となれば、C級以上の冒険者パーティでないと難しいのです。しかし現在C級以上の冒険者パーティはすべて出払っておりますので……」


 リンクスたちはにやりと頷き合うと、受付嬢に声をかける。


「あの、俺たちB級冒険者パーティなんで、よかったら力になりましょうか?」


「え? 本当ですか!? 失礼ですが、冒険者カードを……うそ……本当にB級です」


 受付嬢の獣人女性がキラキラした瞳で3人を見つめる。


「運がよかったな。俺たちは今日この町に来たばかりだったんだぜ?」


「では依頼を受けていただけるのですか?」


 そう確認してくる護衛の騎士もまた美しい。どこかの貴族令嬢だと言われてもおかしくない。となるとこの依頼人はそうとうな大物なのだろう。


 言葉は発しないが、あらためて近くで見るととんでもない美少女だ。この辺では珍しい青い髪に宝石のようなブルーの瞳。3人は内心、この幸運に快哉を叫ぶ。



「わかりました。それでは、奥の別室へどうぞ。ギルドマスターも同席させますので」


 受付嬢の言葉にいよいよ笑みを深くする3人。



「どうぞ、こちらでお待ちください」


 案内された別室で依頼人たちと向き合う3人。


 先ほどまでは気付かなかったが、侍女の獣人女性も、これまたとんでもない美少女だった。獣人が大好物のリンクスにとっては、好みど真ん中で、彼は襲い掛かかりたくなる衝動を抑えるのに苦労していた。



「どうぞ、ゴールデンペアのジュースです」


 そういって部屋に入ってきたギルド職員が、全員に飲み物を配る。


「あら、ゴールデンペアのジュースじゃない。私大好物です」


 依頼人たちが嬉しそうにジュースを飲み始める。


「冒険者の皆さまもどうぞ。このゴールデンペアは、大森林でしか採れない高級フルーツで、保存がきかないので、ジュースで飲めるのはこの町だけなんですよ」


 さわやかなイケメン職員に内心殺意をいだく3人だったが、せっかくの高級ジュースに免じて命だけは取らずに半殺しにしようと決意する。


 このジュースは、採れる時期も限られており収穫量も少ないので、お金を払えば飲めるというものではない。ある意味幻のジュースといえるのだから飲まないという選択肢はなかった。


 

 口に入れると芳醇な甘い香りと程よい酸味が鼻腔を抜けていく。甘すぎないので、料理にも合うし、酸味が食欲を引き出す。3人がジュースを飲み干すのはあっという間だった。


 顔がだらしなく緩んでいるのがわかる。後から追いかけてくるビターな苦みもなかなか良い……ん? 苦味? あまりの美味さに舌が馬鹿になっているように感じる。まるでしびれているような? 視野が狭くなってきた。そのまま意識が暗転する……。




「うまくいったようだな。イソネ」


 美しきギルドマスターティターニアが部屋に入ってくる。


「はい、みんなが頑張ってくれたおかげです」

「しかし、戦わずして倒すとはな。実に見事だ。そのギルドの制服も似合っているし、どうだ? いっそのことギルドに就職して、ついでに私に永久就職するというのは?」


 美女からそんなことを言われたらうれしくなってしまうけど、痛い痛い、リズ、大丈夫だから。え? なんでマイナさんまで痛いです痛いですって!? でもなんかクセになってきたような……



 ここまでは、計画通りに事が運んだんだけど、一つだけ誤算があった。


「残念ながら、リーダーのミッテは別行動しているようですね。厄介なことになりました」


 本音をいえば、ここで全滅させたかった。特にリーダーのミッテの戦闘力は高く、他の4人を一人で相手出来るほどに強い。油断しているうちにけりをつけたかったんだけどね。


 とはいえ、ミッテはまだ仲間たちがやられたことを知らない。


 やるなら町へ戻ってきたその瞬間しかない。



***



「これは一体どうなっているんだ?」


 一方のミッテは拠点があったはずの場所でひとり立ち尽くしていた。


(ちっ、ここまで徹底的に拠点が潰されるとは……どこの組織が動いたんだ?)


 とりあえず、このことを組織に報告しなければならなくなった。それに正体不明の敵の存在も気になる。


 敵対する組織は多いが、国内の組織であれば一応棲み分けが出来ている。となると外国からの侵略か新興勢力の台頭の可能性だろうか。


 面倒なことになった。ミッテは舌打ちすると、仲間と合流するため、ネストへ引き返すのだった。  

  

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i566029
(作/秋の桜子さま)
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