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村人だった俺が神スキル『チェンジ』に覚醒して世界を救う英雄に~命懸けで戦っていたら仲間には愛されるし婚約者は増えてゆくし、幸せすぎて困ります~  作者: ひだまりのねこ
第二章 王都への旅路 ~ネスト

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サブギルドマスターのソウザ


(クククッ、あと少しだ……)


 ぐいと酒を飲み干すと笑みがこみ上げてくるのを抑えきれない。


「……ソウザの旦那、また悪い事を考えてんのか。外でその顔はやめたほうが良いよ」


 声をかけてきたのは、この酒場の主人タイラー。見た目に優れた優男で、近づく若い女を散々弄んだあげく切り刻んで殺してしまう殺人鬼だ。


「ふん、余計なお世話だ、タイラー。そんなヘマはしないさ。だが……もう少しで猫をかぶる必要も無くなる」 


「へえー、邪魔者が居なくなるってところかな?」 


 コイツ……本当に油断ならない野郎だ。


「まあな。金はかかるが、また稼げば良い。明日の獲物は大物だからたのしみだ。じゃあ俺は帰るぞ」


「毎度あり。そうそう、例の美女パーティ来てるんでしょ? 教えて?」


「路傍の花か? 止めておけ。今はランクCだが、もうすぐBランクになる実力派パーティだ。お前の手には負えないぜ」


「なあに、女なんてちょっと褒めてやれば靡くからね。強い女を壊すのがたまらないんだ……」


「ふん……イカれた野郎だ。金貨3枚」

「ふふっ、そう来なくっちゃ!」



 店を出てギルドへ戻る。タイラーに渡す路傍の花の情報を仕入れるためだ。


 

(ん? やけに人が多いな……)  


 冒険者ギルドは、基本的に常に営業しているから、人がいることは不思議では無い。


 だが、こんな深夜にこれだけの人間が集まっていることは珍しいのだ。


 ギルドへ入ると衛兵たちの姿もあった。


(ちっ、おおかた酒を飲んで派手に喧嘩でもしたんだろう)


 ギルドには酒場もある。冒険者同士で喧嘩になり、衛兵が駆けつけたのだろう。



「あ、ソウザさん、忘れ物ですか?」 


 夜勤のギルド職員がソウザを見つけて声をかけてくる。


「ああ、ちょっとな。喧嘩でもあったのか?」

「実は、盗賊団が捕まったんですよ」


 職員の言葉に冷や汗を流すソウザ。


「どうしたんですか? 顔色が悪いですよ?」

「大丈夫だ。ちょっと飲み過ぎてな。ところで、捕まった盗賊団は何処に?」


 多分違うとは思うが、万が一ということもある。確認しなければ気になって夜も眠れなくなってしまう。


「ああ、明日の朝までは、取り調べ室に放り込んであります。全員しびれ薬と毒を盛られているので、当分はろくに喋れそうにないですけど」


 それなら安心だ。万が一俺と繋がっている盗賊団であれば、口封じしてしまえば良い。


「一応、帰る前に覗いておく」

 

「分かりました! 鍵はかかってないんでご自由にどうぞ」



 取り調べ室には、確かに鍵はかかっていなかったが、衛兵が2人、見張りに立っていた。


(チッ……厄介だな) 


「こんばんはソウザさん。御苦労様です」

「ああ、ちょっと盗賊団を見に来たんだが、良いかな?」


「もちろんです。どうぞ」


 部屋に入った瞬間、ソウザは顔面蒼白になる。


 何せ、ソウザとグルになっている盗賊団のメンバーが、頭のセザールを含めて全員捕らえられていたのだから。


 さすがのソウザも、今夜中に全員始末する事など不可能だ。


 だが幸い盗賊団は毒のせいで当分喋れないから、時間的猶予はある。


 ソウザは国外へ逃げることを素早く決断した。


 あと一歩でギルドマスターになれたのにと、悔しい気持ちはあるが、捕まっては元も子もない。


 こうなれば、もはや遠慮する必要など無い。


 よし、ギルドの金を持てるだけ持って行こう。



『チェンジ!』



 ソウザが部屋を出ようと背を向けた瞬間、何か聞こえたような気がした。




「お勤め御苦労様です」


 取り調べ室を出る。


 ソウザには、たっぷりしびれ薬を投与したから、しばらくは動けないだろう。


 盗賊団は、奴隷に落とされて、危険な場所で死ぬまで働かされるそうだ。


 犯罪組織ではないので、無理には殺す必要もなかったしね。


 少しずつソウザの記憶が定着してくる。


 ギルドマスターの殺害計画……それにこれは!? 


 路傍の花を狙っている殺人鬼がいるのか……


 駄目だ。コイツは、絶対に放置出来ない。


 まとめて始末してしまおう。


 

*** 

  


「おお、夜中に悪いなタイラー。お前に紹介しようと思って連れてきたんだ」 


「これはこれは……ソウザさま、もしかしてその方々は?」


「ああ、お前が会いたがっていた路傍の花のメンバーだ………チェンジ!」


 有無を言わせず、タイラーにチェンジを発動。


 そして、タイラーの持っていた睡眠スキルを使って、すかさず意識を奪う。


 ソウザの身体に入れ替わったタイラーを、路傍の花メンバーがあっという間縛り上げる。タイラーの持っていたスキル睡眠はそれほど強力ではないけど、使い方次第では大きく化けるかもしれないな。



「お見事でしたね、イソネ殿」

「マイナさんすいません、こんな事に付き合わせてしまって……」


「何言ってんだよ! この男、俺たちを殺そうとしていたんだろ?」


 レオナさんが笑いながらバンバン背中を叩いてくる。結構痛いんですけど……?


「感謝するイソネ殿。また助けられてしまったな」

「……ありがとう……」


 握手を求めてくるベアトリスさんと、少し離れたところからぺこりと頭を下げるミザリーさん。


「イソネさん、ありがとう……チュッ」


 突然、唇に柔らかいものが押し当てられて動揺する。


「ふぇっ!? み、ミラさん!?」

「み、ミラ、何をしてるんだ!?」


「あら? マイナもしてあげれば良いじゃないの。減るわけじゃないんだから……」

「な、ななな、出来るわけあるか〜!?」


 真っ赤になって叫ぶマイナさんに、メンバー全員が笑う。


 ソウザの悪事はもう明らかになっているから、タイラーのヤツもそのまま奴隷落ち確定だな。


 タイラーがこれまでにしてきた事を考えると、正直殺しても足りないぐらいだけど、出来るだけキツイ職場に送られるようにしてやろうと思う。


 

 それにしても、気が抜けたら急に眠くなってきたよ。


 さっさと身柄を引き渡して宿へ帰ろう。リズたちもきっと心配しているからね!

 

********************************

【 23話終了時点での主人公 】


【名 前】 セザール → ソウザ → タイラー 

【種 族】 人族 → 人族 → ハーフエルフ

【年 齢】 39 → 40 → 28

【身 分】 盗賊団頭 → 冒険者ギルドサブギルドマスター → 酒場主人

【職 業】 盗賊 → 冒険者ギルド職員 → 旅人


【スキル】 チェンジ 総合剣術 夜目 身体強化 御者 統率 強脚 狼語 見切り 奴隷契約 カリスマ 索敵 槍術 剛力 斧術 耐性 酒豪 火魔法 睡眠


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i566029
(作/秋の桜子さま)
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