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村人だった俺が神スキル『チェンジ』に覚醒して世界を救う英雄に~命懸けで戦っていたら仲間には愛されるし婚約者は増えてゆくし、幸せすぎて困ります~  作者: ひだまりのねこ
第二章 王都への旅路 ~ネスト

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拠点のボス 巨漢のサバス

「一体何の騒ぎだ?」


 食堂に現れた巨漢と黒づくめの獣人。



(来たな……巨漢がボスのサバスで、隣が護衛のシグマか) 


 どちらも大きいが、サバスは横に、シグマは熊の獣人らしく全体的にがっちりしている。


「すいませんボス。突然末端の構成員が襲いかかってきまして」


 ボスは食堂の惨状を忌わしげに眺めながら隣のシグマに尋ねる。


「……お前はどう思う?」


「おそらく暗殺者かと。全員見事に急所をひと突きで殺されています」


 護衛のシグマが幹部の遺体を確認しながら答える。


「暗殺者だと? 我々も敵が多いからな……よし、とりあえず暗殺者を調べろ。何か分かるかもしれん」


 暗殺者認定されたケビンの遺体を調べ始めるシグマ。



「ん? 何かメモのようなものを持っているな」


 ケビンの持っていたメモには、組織の構成員の名前が複数書かれていた。


 シグマは他の人間に見られないようにメモをボスに見せる。


(ボス……このメモに書かれている連中を調べた方が良さそうです。それからもう1点不審な点が)


 シグマの話を聞き黙って頷くボス。



***



「なあ、ガストン、俺たちなんで集められたんだろうな?」


 地下の一室には10人ほどの構成員が集められていた。


 彼らが知る由もないが、全員ケビンのメモに書かれていた男たちだ。


「あの馬鹿のせいだよ。ったく死んでせいせいしたぜ」

 

「でもケビンはお前が組織に勧誘したんだろ? ヤバくないか?」


「そ、そんな……俺は関係ねえぞ。ふざけんな」


 ようやくことの重大さに気付き青くなるガストン。


 なにせ、幹部が複数殺されているのだ。取り調べも厳しいものになることは容易に想像できる。


 場合によっては殺されてもおかしくないのだ。



「よし、俺は逃げるぜ。あんな奴の為に痛い思いなんてまっぴら御免だ」 


 ガストンの決断は早かった。


 それを聞いていた何人かの男たち、特にケビンと関係が深かった数人が同調する。


 部屋を出ようとしたガストンたちだったが、時すでに遅し、ドアが開いてシグマたちが入ってきた。



「……どこへ逃げようというのだ?」


 逃げようとした男たちを睨みつけるシグマ。


「くそっ、やっちまえ!! おいお前らも手伝え、もはや同罪だぞ」


 逃げられないと判断して、シグマを倒すことに切り替えたガストン。


 部屋にいる10人に対して、相手はシグマを含めてたったの3人だ。十分勝算があると踏んだのだが――――



「ぐはっ!? つ、強すぎる……」


 あっという間に10人の構成員全員倒されてしまった。


「ふん……クズなどいくらでも補充できる。問題はあの男だな……」


 シグマは血に濡れたバトルアックスを拭うと不敵な笑みを浮かべた。



***



「ボス、お呼びでしょうか?」


「おお、コロンバス、暗殺者のことを詳しく聞きたくてな…………お前、なぜケビンを殺した?」


「それは……仲間たちを殺されてついカッとなって……それに自分も殺されるんじゃないかと思って」



「違うな。口封じのために殺したんじゃないのか? 周りの証言ではケビンはすでに武器も無く、拘束されかけていたんだぞ。殺す必要はなかったはずだ」


「くっ……それは……」


「更に言えば、結果的に出世を争っていたライバルもいなくなり、1番得をしたのはお前だな?」


「そ、そんなことは……誤解です!」


「ふん、誤解か……どう思うシグマ?」


「残念だったな、コロンバス。お前ケビンを殺す時にうっかり綺麗にやり過ぎただろ? あの状況で急所を正確に一突きなんて不自然だぞ」


「くっ、それはたまたま……」


「白々しい言い訳はもう聞きたくない、シグマ、連れていけ!」


「……くそっ、ここまでか……死ねっ!!」


 強脚のスキルで加速したコロンバスが一気にボスに接近し、隠し持っていたナイフを振りかざす。


「し、しまった!?」


 酒に酔った中年太りの男に油断していたのだろう。シグマの反応が一瞬遅れる。



『チェンジ!!』



「……ふう、危なかったぞ。シグマ、何をしているんだ!!」


 襲いかかるコロンバスを刺殺し、護衛を睨みつけるサバス。


「も、申し訳ございません、サバス様」


「ふん、まあ良いだろう。コロンバスの正体を見破ったのはお前の手柄だ。たっぷり報酬ははずむぞ」


「あ、ありがとうございます」




(よしよし、上手くボスになり代わることが出来たな。それにしても俺って意外と演技派だよな)


 内心自画自賛する。


 これで幹部は全滅だ。


 偽のメモで構成員を大分減らせたし、作戦は大成功だ。


 後は捕まっている人々の安全を確保してから仕上げに入ろう。



 多分……今の俺はすごく悪い顔をしているに違いない。


 こみ上げる笑いを抑えるのに苦労しながら、コロンバスの死体が運び出されるのを見送るのだった。



*************************************

【 15話終了時点での主人公 】


【名 前】 コロンバス → サバス

【種 族】 人族 → 人族

【年 齢】 47 → 49

【身 分】 組織幹部 → 組織ボス

【職 業】 組織幹部 → 組織ボス


【スキル】 チェンジ 総合剣術 夜目 身体強化 御者 統率 強脚 狼語 見切り 奴隷契約 カリスマ 索敵 槍術 剛力


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i566029
(作/秋の桜子さま)
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