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村人だった俺が神スキル『チェンジ』に覚醒して世界を救う英雄に~命懸けで戦っていたら仲間には愛されるし婚約者は増えてゆくし、幸せすぎて困ります~  作者: ひだまりのねこ
第六章 王都への旅路 ~S級冒険者イソネ

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魅力的なクルミと風のフウカ


「ああ、本当に無事でよかった…………ペロペロ…………」

「ふむ、誠にめでたい、ではこちらも」

「ふわあああっ!?」


 ご両親が、今度はウルナさんにもベロベロの矛先を向ける。


「ふわああっ!? ウルナちゃん、私もっ!!」

「んなああっ!? 母上、あなたまで!?」


「ちょ、ちょっと父上!? 母上!? クルミさまの前ですから、もう止めてください!」


「わああっ!! ウルナ、私も混ぜてええ!!」



 ……クルミも参加して、大変カオスな状態になりました。




「……申し訳ございませんでした」


 深々と頭を下げるウルナさんのご両親。


「いえいえ、良いんですよ。お気持ちはよくわかりますし、俺もウルナさんのご両親にお会い出来て嬉しいですから」


「そうですか、そう言っていただけると助かります」


「良かったわねウルナ。イソネさん、姉さん女房ですけど、娘のこと末永くよろしくお願いしますね」


 嬉しそうに微笑むファングさんとウルフェさん。あれ? なんだか話がおかしな方向に?



「ちょ、ちょっと……父上、母上っ!?」


 真っ赤になって照れるウルナさん。中々見ることが出来ないレアなウルナさんだ。


 ま、まあ、実質そんな感じだったし、この際はっきりしておいた方がいいよね?


「わかりました。ウルナさんを必ず幸せにしてみせます!!」



「おおっ!! これはめでたい!!」

「きゃああっ!! 素敵、男らしいわイソネさま!!」


「あああ、あの、い、イソネさま? 無理しないで良いのですよ? 私はお側でお仕え出来るだけで幸せなのですから。それに……ずいぶん年上ですし……」


 たしかに一回り以上年上だけど、そんなことは関係ない。


「何言っているんですか、ウルナさんは魅力的ですよ。こっちこそ、足りないところばかりで、俺なんかで良いのかなって……いつも思っているんです」


「イソネさま……私は、そんなイソネさまだから、お慕い申し上げているのですよ」


「……イソネ、クルミは? クルミは魅力的~?」


 クルミが間に割り込んでくる。ははっ、そんなの当たり前じゃないか。でも、そうだよな。言葉にしなければ伝わらないこともある。たとえ人並み外れた嗅覚を持っていたって、それは変わらない。



「もちろんさクルミ、とびっきり魅力的だよ」

「もちろんよクルミ、あなたは命よりも大切な私の宝物なのですから」


 二人でクルミを抱きしめる。はさまれたクルミはとても嬉しそう。それを見守るウルナさんのご両親も。



 その後、別邸では歓迎パーティーが催されて、大盛り上がりとなった。


 ウルナさんとクルミは、今夜は別邸にお泊りする。ウルナさんは久し振りの親子水入らず、クルミはご両親の昔話が聞けるとあっておおはしゃぎだ。明日にはコルキスタを出発するから、申し訳なく思うけれど、せめて今夜ぐらいはね。



 ひとりで宿に戻ると、執事のクロムウェルさんと使用人の皆さんが丁度俺を訪ねて来たところだった。



「こんばんは、イソネさま、少々早かったですかな。いや皆一刻も早くお会いしたいとうるさかったのですよ……」


 有り難い言葉に泣きそうになる。むしろ俺がお礼を言いたい気分なんだけどな。


「いいえ、お待たせせずにすんで良かったです」



 集まった使用人は、執事、メイド、料理人、庭師など、総勢100名ほど。


 それは想定内で良いんだけど……なんか変なのがいる。



「あの……クロムウェル、忍者がいるんだけど?」


「忍者? ああ……御庭番衆のことですか? 大丈夫、彼らは優秀な諜報員です」


 何が大丈夫なのかわからないが、俺にだけ見える幻覚じゃなくて安心したよ。



「……初めまして、御庭番衆筆頭、風のフウカと申します。これからは、御館さまにお仕えしたく」


 忍者……いや、御庭番衆の中でもひときわ目立つ女性が一歩進み出ると、片膝ついて首を垂れる。


 うん、完全にくノ一な件。しかもアダルトな方。


 くっ……目のやり場に困る。胸の谷間はもちろんだけど、片膝をついたことで、隙間から見えそうで見えない際どい装束。これが夕方でなくて昼間だったなら……。悟られないように心の中で後悔の涙を流す。


「ふふっ、さすがは御館さま、女殺しとの異名は伊達ではございませんな」


 ひぃうっ!? ばれてますっ!? フウカさん、もしかして読心術っ!?


「いえいえ、この程度は術でもなんでもございませぬ」


 そう言いながら、少しだけ膝の角度を変えるフウカさん。はうっ!? 見えそう……でも、見えない。


 いかん、このままじゃ御館さまとしての威厳が……そんなもの最初からないけれど。



「えっと、フウカさんたちは俺なんかに仕えて良いのかな?」


 優秀そうな人たちなんだから、いくらでもやっていけそうだけど。



「もちろんです。失礼ながら、色々と調べさせていただきました。心から信頼できる主と確信したからこそ、こうして姿を見せたのでございます」


 なるほどね。もう調査済みてことか。ならば、特段断る理由もない。これから先は、きっと彼女たちの力が必要になってくるはずだしね。



「わかったよ。これからよろしく、フウカさん」


「……御館さま、フウカとお呼びください。出来れば風のフウカとお呼びいただけると喜びます、私が」


「お、おう、わかった、よろしく、風のフウカ」


「かしこまりました。身命を賭してお仕え致します」


 目元しか見えないけれど、嬉しそうな雰囲気は伝わってくる。



「ところで、風のフウカは、やっぱり風魔法が得意なの?」


「いいえ、魔法は土魔法が得意ですね。ちなみに得意な任務は、暗殺、殺し、抹殺です」


 ……何で風を名乗っているの? やっぱり響きがカッコイイから? そうだよね、土のフウカだと女の子っぽくないもんね。え? 殺ししかできないの? 怖っ!? うかつに依頼できないんだけど。



「……ご安心を、御館さまでしたら、よろこんで夜伽をさせていただきますので」



 あの……すげえ嬉しいんですけど、間に合ってますからね?   


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i566029
(作/秋の桜子さま)
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