表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村人だった俺が神スキル『チェンジ』に覚醒して世界を救う英雄に~命懸けで戦っていたら仲間には愛されるし婚約者は増えてゆくし、幸せすぎて困ります~  作者: ひだまりのねこ
第六章 王都への旅路 ~S級冒険者イソネ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

120/144

俺には絶対に勝てないからね


 黒の海竜七武幹であるワルドによれば、今回コルキスタに集まっている七武幹はワルドを含めて四人。


 ということは、残りの幹部は三人だ。



 『煉獄のカエン』『暴虐のゲドウ』『残虐のヒヤリ』


 ……『絶壁のワルド』以外は割と普通に海賊っぽいんだけど。奴が特殊だったのね。



 『煉獄のカエン』は、名前の通り、炎系属性の魔法やスキルを得意とする特化型。海戦では厄介だとは思うけれど、属性の相性さえ気を付ければ何とかなりそうだ。


 カエンには、水属性魔法が得意なリズとシアンさん、水属性の魔剣『水滴石穿』を持っているベアトリスさん、そして回復役にミラさん、時空魔法でヴィオラさんがサポート当たる。


 ゲドウは、身体能力特化系、物理攻撃はほとんど効果が無いが動きは鈍い。こちらはスピードと遠距離魔法攻撃が得意なティターニアさん、ウルナさん、ライトニング、魔剣を持っているレオナさんとマイナさんが盾役。ミザリーさんは後方から魔法攻撃。


 レムスさん、カスミ&ヴォルフのコンビ、イルマ、マリー、マゼンタさんには、その他の雑魚を任せる。調べた限り、幹部以外は大したことない。あくまで俺の仲間たちにとっては……だけど。



 残りのヒヤリだけど、こいつは俺がやる。精神攻撃系、暗殺特化の能力は危険だ。俺なら精神系は効かないしね。


 

******



(くそっ……一体どうなってやがる……?)


 突然やってきたこの男……俺のスキル攻撃が効いていない……? そうか、何らかの耐性持ちか。


 だが、残念だったな。俺の本当の恐ろしさは、暗殺術――――喰らえ『影縛り』



『チェンジ!!』


 

 は……? な、なんで俺が動けなくなって……いや、違う? ち、ちょっと待て、なんで俺が俺に攻撃され――――ぎゃあああああっ!?



「ふう……お前が正真正銘のクズで助かったよ。心置きなくスキルを使えるからね。さて……次は暗黒皇子の手駒を潰すか……」



******



「ギース殿、いよいよ今夜ですな。約束の方、しっかり頼みますぞ」


「ははは、ご安心くださいオンナズキー侯爵。綺麗どころはちゃんと山分けですからな」


「そうか!! 念を押すようだが、牛女はいらん。できるだけ幼ければなお良い」


「もちろん承知しておりますとも。ははは」  


 

 ふん……この変態ジジイが。どうせお前は今夜死ぬのだから関係ないがな。




「……閣下、曲者です」


「何? 数は?」


「ひとりです。正面から……来ます」


 自殺志願者か? それとも……よほど腕に自信があるのか。まあ、来るとすればこのタイミングだとは思っていたが、何処の手の者だ……一番可能性が高いのは第二皇子派か……。




「お前がギースで間違いないか?」 


 まだ若干の幼さが残る青年……16、7、成人したばかり……だが、纏っている空気が普通ではない。ふん……私の名を名指しか。答える義理など無いわ!!



「……ダンテ、殺れるか?」

「……問題ありません。生かして捕らえますか?」


 堕落のダンテ……ギリム殿下の十二魔将のひとり。念のため付けてもらっていて良かったな。


「ああ、出来れば情報が欲しいところだ。まああまり期待は出来そうにないが」



「どいて、邪魔しないなら多少加減してあげるよ」


「ククク……この私にそんな口を利ける者がいたとは……とんだ田舎者ですね。強いのはわかりますが、動きがまるで素人ですよ?」



 ふふっ、ダンテの恐ろしさは、その能力の高さだけではない。相手の能力値を半減させる極悪なスキル。対象がひとりだけという制限はあるものの、一対一なら、無類の強さを誇るのだよ。運が悪かったな、小僧。



『ネガティブ・プリズン!!』


 ダンテのスキルが発動したか……。


 ああ、これで終わりだ。それにしても容赦が無いな。さすがは十二魔将、油断や驕りとは無縁――――


「グホァっ!?」


 ・・・・・・へ?


 ダンテが殴り飛ばされて、壁に激突……した? 


 いかん……手足が変な方向に曲がっている。生きていたとしても、もう使い物にならんな。



「ひ、ひぃいぃ……」


 腰を抜かしてガタガタ震えているオンナズキー侯爵。チッ、役立たずがっ!!



「……キサマ、名は?」


「……イソネだ。もう一度聞く、お前がギースで間違いないか?」


 くっ……能力が半減した状態でダンテを瞬殺するとは……化物め。


「……ああ、そうだ。目的はなんだ? 私の暗殺か?」


「うーん、とりあえずは、コーナン王国へ手を出すなっていうことかな。あとは、帝国の暴走を阻止すること」


「……イソネと言ったな? キサマは帝国の刺客ではないのか?」


 てっきり第二皇子派の手の者だと思っていたが……?

 


「ああ、俺はこの国のS級冒険者。お前たちの計画を阻止するように依頼を受けたのさ」


 なっ!? S級……だと? 道理で化物じみた強さな訳だ。


「さあどうする? お前には選択肢をあげるよ。ここで死ぬか、リアン殿下に忠誠を誓って支えるか」



「り、リアン殿下っ!? なぜその名が……? まさか……キサマの依頼主は……?」


「ああ、ご明察。リアン殿下その人だよ。っていうか、あんたがスパイなことも、計画も全部殿下にバレているからね? あ、ちなみに海賊団は幹部含め先に潰したから、もう味方はいないよ」



 な、なんだと……泳がせているつもりが、こちらが泳がされていたのか……。



「……リアン殿下を本気で帝位に就けるつもりなのか?」


 雇われの冒険者にそこまでの義理も覚悟はないだろうが……。


「当然でしょ? ついでにスタック王国領も取り戻す。リアン殿下の望む帝国の姿は、俺にとっても必要な未来だから」 


 何のためらいもなく断言するか……。


「だが、ギリム殿下は強いぞ。私の知る限り世界一強い」


 あのお方の真の恐ろしさは、単独でも小国を落とせるほどの圧倒的な戦闘力。


「問題ない。ギリム殿下がどれほど強くても、俺には絶対に勝てないからね」


 この男……言いおるわ。だが、本気でそう思っているか。ククク……面白い。



 私とて、他に生きる道がなかっただけのこと。道が出来たのならば、賭けてみるのも一興か。どうせここで散るはずだった命だしな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i566029
(作/秋の桜子さま)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ