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ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。  作者: 隣の斎藤さん。
第一章 ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。 

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第67話/襲来の鐘。

誤字脱字報告に助かってます! ありがとう!!

これからも是非によろしくお願いします!!



 緊急依頼の放送があり、訓練場でリリベルちゃんやマルメル姉妹とお喋りしながら待機することしばらくして。


 今やそこそこ広いはずの訓練場は、集まってきた冒険者で半分程が賑わっていた。


 数にして二百人くらいはいるんじゃなかろうか?


 冒険者ともあって装備はそれぞれの個性が出ていて見ていて飽きない。


 剣士でも軽装や重装、魔法使いもローブだったりスカートだったり、斥候っぽい人は動きやすそうなのから全身タイツっぽいものまで様々。


 なんか冒険者の見本市みたいだなぁと視線を巡らせていると、いつかの童貞貴族と取り巻きもいたようで目があった瞬間に全員が、バッと物凄い勢いで顔ごと目をそらしてきた。


 面白そうだから直接挨拶に行ってやろうかと考えていると、訓練場に凛とした声が響き渡る。


「お集まりの冒険者の皆様。こちらへご注目ください」


 なんだかマイクを通したような響きの声だけど、それは聞き覚えのある声だった。


 声がした方に顔を向けると、そこにはメガホン似た拡声器っぽい物を手にしているファンナさんと、OLスーツ姿のエルモを中心に数人のギルド嬢さん達が一緒に横一列に並んでいた。


 並んでいるギルド嬢さん達は分厚い紙の束を胸に抱えているが、あれは依頼書とかかな?


 そんなことを思っていると、ファンナさんがメガホンを口元に構え、


「これより緊急ガガーピーーーガーーピーー!!」


『ぐあああああっ!』


 ビリビリと空気まで震えるようなハウリングによるノイズが響き、割と近くにいた冒険者達が耳を抑えてのたうち回る。 


 いやー、入口から離れた端っこにいたオレ様にでさえ耳元で大声をあげられたような感じだったし、近場にいた奴は相当なダメージだろう。


 現にリリベルちゃんやマルガリーゼが遠い場所にいるにも関わらず、涙目で耳を抑えているし。 


 ちなみにオレ様とメルナリーゼは反射神経の差か、早めに耳を手でガードできたおかげで二人のようにそう酷いことになっていない。


 しかしそんな惨状にも関わらず間近にいたエルモや受付嬢さん達は平気な顔をしている不思議。


「あ、やっぱり久々に使うのでうまく調節できませんでしたね」


 オレ様の確かな聴力を誇る吸血鬼イヤーにファンナさんの呟きが小さく聞こえたと思ったら、エルモをはじめ受付嬢さん達が耳に手をあてがい何かを取り出し、さりげなくポケットへとしまっていくのが見えた。


 そしてオレ様のよく見えすぎるくらいの吸血鬼(アイ)が確かに捉えたそれは、黄色い耳栓。


 もしかしてこの状況を折り込み済みで用意していた?

 

「失礼いたしました。ではこれより緊急依頼の説明をいたします。

 つきましてはこの緊急依頼により、街から離れる護衛依頼等の方々の依頼は一度ギルドで預からせて頂きます。

 それでは依頼の内容ですが――――」


 いまだに「耳が、耳がキーンて……!」と騒ぐ数人を尻目にファンナさんが話を続けていく。


 まあ話を要約すると、ダンジョン喰らい(イーター)が来る可能性があるから備えてね、というところだった。


 あとギルドが指名した斥候組が先行していて、何かあり次第信号弾を上げる手筈になっているらしい。


 ちなみに依頼料は、


・ダンジョン喰らい(イーター)の襲撃がなく離れていけば追加で十万ゴール。

・ダンジョン喰らい(イーター)の撃退、または討伐で追加で三十万ゴール。

・他魔物等が発生した場合に、一匹につき一万ゴール上乗せ。


 マルガリーゼ曰く、なにもなければ十万ゴールを貰えるのだから割りのいい依頼、ということらしい。


 もっとも、いざ戦いとなれば命の危険と隣り合わせになるので、喜んでばかりもいられないようだが。


 ついでに言うと、緊急依頼は怪我や病気などない限りはほぼ強制参加なのだとか。


 事情がないのに依頼を無視したり逃亡したりすると、ギルドからペナルティがあったり冒険者仲間からはぶられたりして今後の冒険者業に支障がでるようだ。


「それではこれより緊急依頼の魔紙を配布しますので、一人一枚を受け取りギルドカードを載せて契約の完了を行ってください」


 なんか知らない事を聞いたぞ?


「リリベルちゃん。あれってなに?どうやんの?」


「は? あんたCランクなのになんでそんなことも知んねーのよ?」


 えー、だって色々はじめてなんだもんよ。


 ゲームの時はウィンドウが出てそれをタップするだけだったし。


「リリー、リリー、こうみえてアビゲイルはつい最近冒険者に登録したばかりなのよ」


「ええ、なぜかベテラン冒険者並みに落ち着いて見えますがそうなのです」


 マルメル姉妹が助け船を出してくれ、リリベルちゃんには「飛び級のランカーなんて、すげーのねあんた」と感心された。


 ふははは、もっと褒めてくれていいんだよー?


「じゃあ、あたしやマリー達がやるのをみてればいーのよ」


 そう言われギルド嬢に群がるように契約していた冒険者達がだいぶはけたのを見計らい、四人で歩いていく。


 ギルド嬢のもとに辿り着くと、見てなさいよとリリベルちゃんが「オープン」と手の平からギルドカードを出してギルド嬢の持つ茶色い契約書にかざし、


我は契約す(コントラクション)


 あ、これギルドカード作る時にも言った言葉だ。


 そしてその言葉の後、ギルドカードと契約書が一瞬発光したのが終わるとリリベルちゃんが「クローズ」と言い、カードを消した。


「どう?こんな感じだってーのよ」


どや顔のリリベルちゃんの横でマルメル姉妹も同じようにして契約していく。


よしじゃあオレ様もと同じようにして契約を完了させた、その時だった。


カーン!カーン!カーン!


突如鳴り響く早鐘の音を聞いた瞬間、その場にいたオレ様以外の顔に緊張の色が浮かんだ。


あ、ちなみにエルモだけは頬に手を当てて「あー、書類仕事が増える……!」と別な緊張感を漂わせていたりする。


〔南東の森の方向より救難の信号弾の確認、及び魔物の群れが確認されました。冒険者はただちに門前に集まってください。繰り返します――――〕


 そして強張った声で聞こえてくるアナウンスが、魔物の襲来を告げたのだった。




マイクのハウリングって、全校集会で絶対一回はあるよね。

作者はマイク持ってるときにくしゃみしたらそれで鳴った経験があります。



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