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ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。  作者: 隣の斎藤さん。
第一章 ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。 

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第64話/スリットはエロいではなく尊い。

最近?でもないですが、誤字脱字報告を貰ってます。ありがとうございます!!


 夜の空に薄く光が差し始めた頃、エルモとオレ様はギルドの建物へとたどり着いた。


 うん、隣のエルモが着てる薄ピンクの膝上ワンピースなんだが、朝日に照らされていい感じの透け具合いになっていて尊い。


 ギルドの上着を羽織っているせいで、さらにマニアックさを醸し出しているのがまた素晴らしい。


 とりあえず、拝んどこう。


「……なにを拝んでるかは敢えて聞きませんが。

 私はちょっと着替えてきますから、アビちゃん先輩は案内させますので二階の応接室で休んでいて下さいね」


「あいさー」


 軽く返事してギルドの建物の扉を開くと、壁にいくつかあるランタンの光に照らされた部屋の中で、一人のギルド嬢さんと三人のメイドさん達がテキパキと作業しているのが見えた。


 ちなみにランタンの中身は炎ではなく小さな魔石のようで、元の世界の蛍光灯と遜色ないくらいの光量を感じるほどだ


「ん? あのメイドさん達、どこかで……?」


「あの時リリベルさん達を介抱した子達ですよ」


「ああ! あん時の……!!」


 見たことあると思ったら、黒雷孔雀(サンダルフォン)の落下で気絶したリリベルちゃんとマルメル姉妹を抱き上げて去っていった、金髪碧眼のメイドエルフさん達だった。


 三人ともオレ様と目が合うと、にこやかに笑顔を返してくれる。


 オレ様がそんな三人に軽く手を振っていると、エルモは近くにいたエルフさんに声をかけ、そのまま足早に二階へと去っていった。


「アビゲイル様、エルモ様から案内を仰せつかりましたエールゥと申します」 


 そう言って目の前に来てにこやかに綺麗なお辞儀をしてくれたのは、十代後半くらいに見える長いツインテールを揺らすメイドエルフさん。


 エールゥさんか。よし、覚えた。


「それでは二階の応接室へとご案内させていただきます。こちらへどうぞ」


 促されるままにエールゥさんの後ろを付いていく。


 二階への階段を登っていくのだが、時折メイド服のロングスカートからスリット越しにしなやかな美脚さんがお目見えしてありがとうございます。


 心で両手を合わせて拝んでいるうちに二階に到着したようで、こちらですとエールゥさんに続いて廊下を歩くと一つの部屋に通された。


 シンプルな部屋で、絵画がいくつか飾られた白い壁に、木目調のテーブルを挟む形で対のソファがあるだけ。


「ただいまお茶の用意を致しますので、アビゲイル様はソファにてお寛ぎ下さいませ」


 それでは失礼します、とエールゥさんが部屋をでていく。


 とりあえずやることもないのでソファに座ると、何気なく組んだ我が子の足がふと目にとまる。


 細すぎずふと過ぎずの形のいい足を堪能しつつ、フリルのついた赤いスカートをちょっとめくってみるとそこには絶対領域から顔を覗かせる素敵な太ももが。


 指でつついたりすりすりしてみると、女の子ってもちもちですべすべで素晴らしい。


 そんなことをしていると、部屋にノックの音が響いて開いたドアから白シャツにタイトスカート姿のエルモと、お茶とお菓子がのったトレーを運ぶエールゥさんが入ってきた。


「おまたせしましたアビゲイルさ――――って、なんでスカートを捲ったりしてんですか……」


「いやうちの子の絶対領域とかすべもちのお肌とかが素晴らしくてつい、な……!」


「な! じゃないですよ、変なこと力説しないでくださいよ!」


 まったくもう、とエルモが対面のソファに腰かけると、エールゥさんが音もさせずにお茶とお菓子をテーブルにサーブすると、一礼して静かに部屋をでていった。


「……なんか一家に一人は欲しくなる手際だ」


「あげませんからね? それよりも今後の対策についてお話ししますね」


「対策もなにも、オレ様かエルモで来たところをぷちっと潰せばいいのでは?」


「勝手にそれやった日には、ギルドや国の七面倒臭いお偉方から目を付けられてクソ面倒臭い事になるんですが?

 ちなみにそうなったら私は一切手助けしませんが?」


「……ナンカゴメンナサイ」


 感情が消えた笑顔を向けられた日には即謝るしかない。ホラー的でものっそい怖いんだもん。


 ほんとあいつらは自分の手柄と保身しか考えないで勝手なんだから……と、呟いて紅茶を煽るエルモさん。


 うん、落ち着いていつものクールビューティーに戻ってお願い。


「さて、それでは対策についてですが――――」

 

 エルモがホラー笑顔にならないよう勝手に行動するのはやめとこう、と心に誓いながら対策について話を聞くのだった。


=====


 というか、対策事態はそんな難しいもんでもなかった。


 とりあえずギルドからの緊急依頼を発行して、地元の冒険者に斥候や迎撃への協力を求めるとのこと。


 そしてダンジョン喰らい(イーター)の襲撃があった場合、エルモが弱体化させるので、それを他の冒険者達と一緒に叩く、というもの。


 これなら多少目立ったところで、強そうな冒険者がいた、くらいで済ませられるらしい。


 まぁオレ様もラノベのように国なんかに目をつけられて爵位与えられて貴族デビューの領地経営で、妙な(しがらみ)に右往左往なんてことにはなりたくはない。


 爵位にも領地にも興味はないし、なによりオレ様自身が誰かを使うよりは自分で動くのが好きだし。


「とりあえず、対策に関してはこんなところですね。

 あとは何かしら動きがあるまで休んでて下さい。

 さきほど着替えついでに私の鳥精霊を飛ばして上空から監視させていますが、今のところは森から出てくる気配はないようですから」


 ふぅ、とエルモがソファにもたれ掛かりため息をつく。


 うーむ、なにやらお疲れのご様子。


 ならばサリシアさんとこで約束しといたお酒でも労いを兼ねて渡しとこうか。


 確かエルモは辛口系のワインやブランデーが好きだったと思うんだけど、えーと、なんかお酒の名前とか特徴とかこっちの世界基準になっていてよくわっからんちん。


 ……とりあえず名前がかっこよさそうなものを選べばいっか!


「じゃあオレ様は小腹が空いたから一階で食事でもしてくるよ。

 あ、これ、サリシアさんとこで約束した例のヤツ置いとくから。お疲れ様」


 なんだか会社でお先に上がりますみたいな感じでオレ様は立ち上がり、二本で千GPだった赤と白のワインをテーブルに置いて部屋を出る。


「あーはい、お疲れ様で…………こ、これは年間百本も作られない幻のワイン!?ふ、ふひょーいっ!!」


 部屋を出る間際になぜかエルモの挨拶と奇声が廊下に響いたのだった。


 まあ喜んでもらえたならなによりである。




どうでもいいことですが、WEB大賞に応募してみたけど予想通り箸にも棒にもひっかかりませんでした!(笑)


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