第52話/君に決めた!
めっさ遅くなって申し訳ないです!!!orz
隠れダンジョンを捜索すべく、町を出てオレ様とマルメル姉妹とリリベルちゃん一行は、手がかりを得るべくキマイラが出た果樹園を目指す。
マルメル姉妹に案内され、町から森へと続く道から外れた道を歩く。
辺りには足首くらいまでの草原が広がっているが、その中に人の足や馬車の轍により踏み固められて出来た小道があり、果樹園までの道標のようになってて迷うことはなさそうだ。
歩きながらマルメル姉妹やリリベルちゃんと広場のどこの屋台のどんな物が美味しいか等と話しているうち、ちらほらと木々が増えていき甘い香りが漂ってきたところで果樹園に到着した。
おしゃべりしながらであっという間な感じだったが、感覚的に一時間くらいは経っていると思う。
しかしみたところ彼女達に疲れた様子はなさそう。
女の子とはいえ、そこはさすが冒険者というところか。
そんなことを思いつつ歩いていると、見覚えのある風景が見えてきた。
そこはミサイルが落ちたかのように抉れている地面や、放火されたようにあちこち炭化してる木々。
ついでに巨大な竜巻でも発生したかのように、周囲の樹木がなぎ倒され地面が削り取られていたりする。
「うっわ、なんなのよこれ。ひっどい状況じゃねーのよ。
一体どうすればこんなことになるのよ」
ドン引きで正直な感想ありがとうリリベルちゃん。
あとマルガリーゼは即座に顔反らしてないでこっち向こうか。
しかし改めて見ると、うん、酷いなぁ。
「これ、賠償金払うとしたら結構いい金額になりそうじゃねーのよ」
……はい?
ちょっと待ってリリベルちゃん。
なんかいま、聞き捨てならない言葉が聞こえた気がしますが。
「え、戦いの不可抗力って、そんなの必要になったりすんの?」
オレ様の問いかけにリリベルちゃんはあったり前じゃねーのよ、みたいな顔をしながら話を聞かせてくれる。
「いい? これは過去に実際にあったドジ魔導士のことなんだけど――――」
リリベルちゃん曰く、どうやら過去にギルドから派遣された魔導士が魔物を討伐する際に強力な魔法をぶっぱなし、町の財産ともいえる麦畑の大半を魔物もろとも消し飛ばしたことがあったらしい。
そのことで町、ひいてはそこを統括する領主からも財政に関わる危機的状況だとギルドへ抗議が殺到し、けっこうな額の賠償金が発生してしまった模様。
なんとかギルドが手を尽くして賠償金やその他諸々を解決したものの、さすがに同じような事案があってはとギルドが一つのルールを作る。
それは公共物に大きな被害が出た場合はギルドと町等にいる役人の調査と話し合いの元に、被害を出した冒険者に全額ではないものの損害請求をするというもの。
ちなみに問題の魔導士は賠償金が全額払えなかったために借金奴隷、となったわけではなく、足りない分は数年間の町への無償就労でなんとか許してもらえたようである。
「まあ、あんたたちの話を聞く限り相当強い魔物だったみたいだし、そこら辺を考えれば賠償とかはないんじゃねーかしら」
「お、じゃあ心配することでも――――」
「ほ、ほんと!? ほんとに!? ほんとね!?」
ないんだなと思っていたら、光の速さでマルガリーゼがリリベルちゃんへ近づき、その細い両肩を掴んでガックンガックン前後に揺さぶりはじめた。
いったいどうしたマルガリーゼ?
疑問に思っていると、そこへスッとメルナリーゼがオレ様の側に現れ「それはですね」と前置きして、
「昔、姉さまが学院の授業の時に魔法の誤射で校舎の一部を吹き飛ばしたことがありまして。
まあ授業中の事故なので賠償金は免除されたのですが、罰として諸事情で長年汚部屋となっていた部屋の掃除をすることになったのですが――」
「ひぃっ! メルやめてその話は!!
ゴミ箱の中からわさわさ大量に出てきた黒いアレとか、ベットの下がカラフルな腐海だったとか…………思い出させないで!!」
途中でメルナリーゼの言葉をひったくったマルガリーゼが頭を抱え、イヤイヤと左右に振る。
うんやめようその話。
オレ様も聞いた一部を思い浮かべただけで、なんか背中がゾワゾワしてくる。
あとリリベルちゃんはマルガリーゼの揺さぶりから復活したのはいいけど、いきなり揺さぶるんじゃねーわよ! とマルガリーゼのほっぺを両手でみにょーんと左右に伸ばしてお仕置きしはじめたけどほどほどにな?
「まあまあ、もし賠償云々があってもなんとかなるだろうし。
ここは目的を優先にしとこう」
ということで、ここは従魔の中に探知に特化した魔物がいるので呼び出すとしよう。
「従魔召喚! ミニ・アーリマン!!」
オレ様の呼び掛けに地面に魔方陣が浮かび、そこから飛び出すように一体の魔物が現れた。
「ミィ! ミィ!」
と鳴いてパタパタと飛んでいるのは、ソフトボール程の丸い体に大きな一つ目と口があり、蝙蝠っぽい翼と足をもつアーリマンという魔物。
本来は血走った目や青筋が浮いてたりよだれが垂れてるキモグロ仕様なのだが、召還したアーリマンはデフォルメされた姿でとても可愛らしい。
このミニ・アーリマン、ゲームの中でガチャを引いてランダムで貰えるカプセルパートナーというもので、プレイヤーの補助などをしてくれる。
はじめは狙った魔物じゃなくてなんだかなぁとと思っていたものの、育てていくうちに愛着がわき、いつの間にかなくてはならない存在になっていた。
能力は任意に二つ付与でき、オレ様は魔物や宝箱等の探知スキルと、結界系の防御スキルを最上位まで取得させている。
おかげで希少な魔物やダンジョンで隠れた宝箱をみつけられたり、フィールド系の状態異常の場所を結界で難なく進めたりと色々と便利だ。
「うわ、なにその可愛いの!」
「ちっちゃい! 丸い! 可愛い!」
寄ってきたリリベルちゃんとマルガリーゼに早速可愛がられている。
メルナリーゼはと思えば、姉から一歩離れた場所で「ああ、可愛がる姉さまが可愛らしい」と呟きながらシスコン全開で顔をにやけさせていて、ぶれない子。
「それでこの子を呼んでどうするの?」
不思議そうな顔をしながらアーリンを撫でるマルガリーゼ。
気持ちよさげな表情のアーリンがちょっと羨ましい。
それはともかく、話を進めよう。
「あ、ちなみにアーリンっていうんだけど、魔物の魔力残滓を探知して追跡できる能力がありまして!」
「すごいじゃねーのよ!」
「賢いのねこの子!」
「そうでしょそうでしょ!」
くくく、スキルを最高値にするためとはいえ、伊達に数万円ほど課金につぎ込んだわけではない。
加減を間違えて給料日前の三日間全ての食事が、一食100円のカップ麺になったのはヤな思い出である。
そんなアーリンだから異世界でも期待できるだろう、できるはずだ、できるよね?
あと二人から可愛がられ過ぎだと思うから、ちょっとこっちこようか。
そんな気持ちのこもった視線を向けたところ、アーリンがビクッとなって青い顔してこっちへ戻ってくる。
いや別に怒ってないからね?
それはともかく、今からアーリンが頼りだからそこんとこよろしく!
「よしアーリン! キマイラの魔力を追跡するのだ!」
「ミィッ!!」
オレ様が号令に、アーリンは頼もしい鳴き声と共にパタパタと果樹園の先へと進んでいくのだった。
ド素人なのはわかってるのだけど、地の文章から会話、会話から地の文章への繋がりがかなりいまいちな感じが……!
自分の好きな小説を読みながら表現方法を学んでいるこの頃です!
あ、なんか「わたしはこういう風に表現方法を考えてます」とかいうのがアレば是非参考にしたいので、よければ感想等にご一報お待ちしております<(_ _)>




