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ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。  作者: 隣の斎藤さん。
第一章 ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。 

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第51話/背中が幸せでした。


え、だいぶ遅くなりまして申し訳なく。


とりあえずお盆休みを活かして少しばかりストックができたので、修正しながら短期投稿していこうと思います!


だから見捨てないで下さい!




 あのあと、ぷりぷり怒って出ていってしまったリリベルちゃんに追い付き、謝り倒して広場の屋台で朝ご飯をご馳走することでなんとか機嫌を直してもらえた。


 広場ではリリベルちゃんと共に狙いを定めた店に行き、おっちゃんに我が子(自分)の可愛らしさを生かしたおねだり(美少女スマイル)にて、おまけつきで数点の朝ご飯を購入することに成功。


 それを見たリリベルちゃんから、「……あんた、美人局(つつもたせ)とかしたらすごそうね」とのご好評を頂く。


 これも全て我が子の可愛さが成せる技だろう


 そして現在、食べ過ぎで気持ち悪くなったリリベルちゃんを背負っての移動中だったりする。


 食べ過ぎの原因は、リリベルちゃん曰く「久々にまともなご飯を食べれたから、つい……」らしい。


 ……なんか切ないんですけど!?


「ご、ごめんねアビゲイル……」


 と、このようにさっきからしきりに謝ったり、重くない? などと心配しては身を縮こまらせている。


「大丈夫大丈夫。気にしなくていいよ」


「あ、ありがと……」


 うん、気にしなくていいんだ。


 むしろ背中越しに感じるリリベルちゃんの柔らかな膨らみにお礼すら言いたい。


 そんな背中の密かな幸せを感じつつ、マルメル姉妹と約束した待ち合わせ場所へ向かって歩く。


 煉瓦や木造りの建物が並ぶ石畳の通りを歩いていると、まだ朝は早いというのに冒険者の恰好をした十代半ばくらいの男女が足早に通り過ぎていったり、大きな荷物を担ぐ商人風の青年や木材を担いだおっちゃん等、意外と多くの人とすれ違う。  

 

 人通りがない脇道にもなんか甘々しい雰囲気を醸し出している男女がいて、あぁ朝からバカップルか、と思いつつ横目で眺めながら聞き耳を立ててしまう。


 このまま朝から如何わしい行為に発展するのかとドキワクしていると、次の瞬間に女性のスナップの効いたグーパンがいい角度で男の顎に入り、そのまま昏倒した男を置き去りにして怒った様子の女性は去っていってしまった。


 ちなみに怒りの原因はオレ様のハイスペックイヤーでわかったのだが。


 男よ。愛の言葉を囁くのはいいけど、「君のそのささやかで慎ましくもなだらかな草原のような胸も愛らしい」とか言うからそんな目に合うんだよ。


 だからこんな言葉を贈ってあげよう。


 ()の差に 違いはあれど 優劣なし(字余り)


 そんなことを思いつつ歩いていると、ようやく待ち合わせ場所の門が見えて来た。


 門の周辺で冒険者や町の人達が行き交う中、待ち合わせの二人が壁に背を預けて佇んでいる姿があった。


 一人はゆるふわの長い金髪をしている姉のマルガリーゼで、濃い紫色の学生服の上に長めのマントを羽織る魔法使い。


 もう一人は茶髪の内巻きボブカットの大人っぽい雰囲気の妹のメルナリーゼで、姉と同じ服装だがこちらは皮の胸当てにショートソードくらいの二刀を帯剣する剣使い。 


 二人とも黒いタイツをはいていてその脚線美が素晴らしいと思います。


 歩きながらひとしきり愛でたところで、そろそろ二人に声をかけてみる。


「おーい!ふたりとみょ――――」


「ちょ! こら、まてっつーのよ!!」


 しかし背負っているリリベルちゃんから、小声ながらも慌てた様子でストップをかけられた。


 両手で軽く口を塞がれたもんだから変な語尾になってしまう。 


「いっはいほうひは?りりへるふぁん」


「うひゃあ! 塞がれたまま喋るんじゃねーわよ! 息がくすぐったいじゃないの!

 そ、それよりあの二人に会う前に降ろしてほしーのよ……」


「……なぜに?」


 食べ過ぎで気持ち悪いんだし、しばらくおんぶ(このまま)の方がいいのでは?


 むしろ個人的にこの密着をまだ楽しみたい所存。


「こ、こんな姿恥ずかしいからに決まってるじゃねーのよ!」


「オレ様はまったく気にしませんが?」


「あたしが気にするのよ! ほら! 二人に気づかれないうちに早く降ろし――――」


「……なにしてるの? 二人とも」


「二人とも、さっきから注目されていますよ?」


 リリベルちゃんの訴えは、空しくもいつの間にか近くに来ていたマルメル姉妹の言葉によって打ち砕かれた。


「え!? あ、う……こ、これはその! あたしちょっと足を挫いちゃって!

それでアビゲイルが背負ってくれたのよ! ね! アビゲイル!!」


 めっちゃ動揺しまくりながら言葉を並べるリリベルちゃん。


 そのリリベルちゃんが後ろから顔を覗かせ必死な目で、「言うなよ! 言うなよ!?」とオレ様に訴えている。


 なのでこれは期待に応えねばなるまいて!


「ああ、決して広場で奢りの朝ご飯を食べ過ぎたりして、気持ち悪くなって歩けなくなった訳じゃないからな!」


「アビゲイルゥゥゥゥゥッ!」


 すると喜びの悲鳴と共にリリベルちゃんからガックンガックン肩を揺らされた。


 はっはっはっ、期待に応えられたようでなにより。


 そしてオレ様の背中から飛び降りたリリベルちゃんが、心配するマルメル姉妹に大丈夫というアピールの名の元に誤魔化そうとしているのが微笑ましい。


 あ、たまにめっちゃこっち睨んできてる。


 しばらくしてリリベルちゃんのアピールも終わり、オレ様もリリベルちゃんにごめんをして許してもらった後、改めてマルメル姉妹と合流して門を出た。


 門を出る際にギルドカードを見せたところ、「え!? マジで!?」みたいな感じで若い門番の兄ちゃんから二度見されたけどなぜだ。


 そのことをマルガリーゼに言ってみると、


「この町にCランクなんかあんまりいないからじゃない?

 それにアビゲイルみたいな、か、可愛くて若い子がそんなランクなのに驚いたんだと思う……よ?」


 と、なんだか最後の方は恥ずかしげに顔を赤くして、もじもじしながら教えてくれた。


 その様子がまた可愛い。


 ちなみに隣ではリリベルちゃんが「あんたCランクだったの!?」と驚いていた。


「おーし! それじゃあ隠れダンジョンの捜索をがーんばろー!」


「うん! 頑張る!」


「はい、がんばりましょう姉さま」


「よろしく頼むわ!」


 オレ様がゲームのノリで音頭を取ったら、マルメル姉妹とリリベルちゃんが応えてくれた。


 そしてこれからはじまる異世界初のリアルクエスト。


 ゲームとはまったく違う臨場感と可愛い女の子達とのパーティーに、オレ様の心は踊るばかりだった。



【ギルドクエスト】

隠れダンジョンの捜索及び調査!




ようやくダンジョンを捜しに町を出ることが出来ました。


ここまでくるのに無駄に遠回りしてしまったような気がしなくもない。


ゲームだったら10分以内に終わりそうな展開だなぁと思いつつも、がんばります!!


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