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ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。  作者: 隣の斎藤さん。
第一章 ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。 

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第38話/美人は怒っても美人。


二週間ぶりに投稿できました!


今回はちょいと短めですが、次回は早めに投稿したいと思っています! 思っています!!



 広場から走り去ってしまったマルガリーゼだが、見つけるのは割りと簡単だった。


「こちらに姉の反応が」


 という、メルナリーゼによる謎センサーを頼りに歩いていると、広場から少し離れた民家の影でしゃがんで頭を抱えているマルガリーゼの姿が見えた。


「違うもん。勘違いしただけだもん。別に男の子のお玉をもぎととるとか思って……お玉……おた…………あう」


 なんだか自問自答しながら耳まで赤くして自爆してらっしゃる。


「姉さま、そんなとこで座り込んでタマタマ連呼してると、変な子にみられちゃいますよ?」


「ふひゃ!メ、メリーいつの間に!?アビゲイルも!?ち、違うんだからね!さっきのはちょっと勘違いしただけなんだからね!!」


 涙目で必死で抗議するマルガリーゼがこれまたかわゆい。


 そんなマルガリーゼを宥めつつ回収し、ギルドへと歩く。


 しばらくすると、見えてきたのは黒が特徴的なギルドの建物。


 内側に飽きっぱなしの扉を姉妹の後に続いて抜け中に入っていく。


「あれ?アビゲイルさん達、どうしたんですか?」


 そこへ通りがかったファンナさんに声をかけられた。


 ちょうどいいから、訓練所の使用許可を取っておこう。


「あ、ファンナさん。決闘しに来たんだけど、訓練所って空いてる?」


「え?あ、はい。訓練所ならあちらの奥の扉から行けますし、大体空いてま――――って、決闘ってどういうことですか!?」


 ひどく驚くファンナさんに決闘の理由を話したところ、なぜかすごく深いため息をつかれてしまう。


「……アビゲイルさんは決闘を買い物しに来たみたいな気楽な感じで言わないでください。

それにしても、またあのクソガ……もとい、貴族のお坊ちゃんもこりてませんね」


 眉間にシワを寄せるファンナさんの言葉に、素が一瞬かいまみえる。


「あのお坊ちゃん、ここの町に来た時から度々問題起こしてるんですよ」


 ファンナさんが言うには、自分は貴族だから偉いんだ、みたいな感じで周りに迷惑を振り撒いているらしい。


 店に行っては貴族なんだから安くしろとか、冒険者に貴族の依頼を受けられるのは光栄だとか言い、相場より低い依頼料で仕事をさせようとしたり、とまあ色々やらかしているようだ。


「まあ、大事になる前に通報を受けた衛兵の方や、冒険者ならギルド長が出向いて諌めていたので大した被害はなかったんですが…………」


 憂いを帯びた表情をするファンナさんによると、決闘は本人同士の了解があった場合、おいそれと他人が介入できない法律があるらしい。


 なので決闘が始まってしまうと良くも悪くも後に引けなくなるため、普通の貴族はやらないとのこと。


 やはりあの童貞はバカだったか。

 

「とりあえずこの件はギルド長へ話を通しておきますので、アビゲイルさんは少し叱られるくらいは覚悟してくださいね?」


「は、はい!すみませんでした!」


 にこりとするファンナさんの雰囲気に、反射的に謝罪の言葉が口をついて出た。


 いやだって、可愛いはずのファンナさんの笑顔の裏に仁王の顔が見えた気がしたんですもん。


 話が終わるとファンナさんは、ギルド長の部屋がある二階へとあがっていった。


「お、おおう。なんか怖かった……」


「あのファンナさんがあんな怒り方するなんて珍しいわね」


「そうですね。いつもなら営業スマイルで注意して終わりですからね。それほど心配されてるのでしょう」


 ううむ。怒られたけど心配されてるのはなんだか嬉しい。


 よし、こうなれば余計な心配をかけないようにあのチャラ貴族を完膚なきまでに叩きのめそう。


 そうと決まれば訓練所の下見である。


「じゃあ早速訓練所に行って作戦会議でも練ろうか。クフフフ……」


「ア、アビゲイルが悪い顔して笑ってる……」


 ははは、やだなぁマルガリーゼ。 


 どうすればチャラ貴族の身も心もへし折れるか考えてるだけだぞー?





他の作者様の作品で、たまに主人公の実力を知らないギルドや貴族に嫌がらせを受けて、それに対して大逆転の報復劇(血なまぐさいことでなく)があったりするのですが、作者も割りとそういうのが好きだったりします。


ええ、次回はそういう感じに……なればいいなぁ(弱気)



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