第28話/なぜ女性はあんなスッケスケなのを着れるのか……。
最近、スーパーカッ○のバナナクッキーにはまってます(*´ω`)ウマシ
美女美少女と囲む食事は楽しく続いた。
エルモがもう一杯だけとせがむのを笑顔のファンナさんが「めっ」と叱ると、しょげるエルモを見れたり。
マルガリーゼがオレ様の他のお肉を物欲しそうに見ていたので、試しにあーんしてあげたら迷ったあげくに食べて幸せそうな顔を見せてくれたり。
そんな食事風景の中、メルナリーゼが何気なく振った話題にオレ様は凍りつくことになった。
「明日は依頼の為に準備や予定を立てたいのですが、アビゲイルさんはどこの宿にお泊まりですか?
教えて頂ければ、私達がお迎えにいきますよ?」
「…………あ! 忘れてた!!」
『え……』
オレ様の上げた一言に一瞬けど、皆の時間が止まった。
「……アビちゃ、アビゲイルさん。まさか宿を取ってないんですか?基本ですよ?」
一瞬素になりかけたエルモが子供を諭すような目を向けて言ってくる。
い、いやだって、来た早々救援に行っちゃったしね?まぁ、その前に時間がなかったとは言わないけど……。
「アビゲイル大丈夫?今の時間帯だとどこの宿屋も難しいと思うけど……」
「私達の宿に泊めてあげたいのですが、なにぶん一人用の部屋を二人で借りてるので狭くて……」
え、寝るときどうしてんの?一瞬のベッド?なにそれオレ様も混ざりたい。
ううむ。皆の話を聞くにどうやら今から宿を取るのは無理そうだ。
異世界に来て初日から初野宿か?まぁキャンプ経験とかあるからなんとかなりそうだけど。
そんなことを思っていると、なにやら考え込むような顔をしていたファンナさんがなにかを思い付いたようにハッとした表情を浮かべ、
「ギルド長、もし許可が頂けるならギルド二階の来賓室を使ってもらったらどうでしょう?
アビゲイルさんには冒険者でもないのに、救援要請を受けて達成してもらえた恩もあることですし」
来賓室?なんか特別感ある名前だけど、冒険者になりたてのオレ様にあてがってもいいものなんだろうか?
さすがにエルモもギルド長として難色を示すかな?と思っていたら、特に考える様子も見せず、
「そうですね。滅多に使われませんし、いいでしょう。ギルド長として使用を許可します。
ファンナ、食事が終わったら案内をお願いします」
なんか二つ返事で即諾されちゃったよ。
「わかりました。ということですので、心配されなくても大丈夫ですよアビゲイルさん」
ファンナさんの好意と笑顔が眩しい。
なんかあれよあれよという間に今夜の寝床が決まってしまった。
しかしアレだ。なんか日本人気質が出たせいか、ちょっと申し訳ないなぁと思うところもあり、
「え、いや、一晩くらいなら野宿でもいいかなぁって思って――――」
『なに言ってる(の)んですか!?』
「うえ!?」
みなまで言わないうちに、四人から声を揃えて身を乗り出された。
「ちょっとなに考えてんのよアビゲイル!アビゲイルが無防備に野宿なんかしたら絶対襲われるわよ!!」
「姉さまの心配ごもっともです。アビゲイルさんは少しご自身の容姿に自覚を持った方がいいと思いますよ?」
マルメル姉妹から矢継ぎ早に言われたと思ったら、エルモとファンナさんからは揃ってため息をつかれ、
「アビちゃ、アビゲイルさん。ここは前にいた世界より、危険が多いという事を念頭においてください」
「それに女の子が簡単に野宿とか選んじゃダメですよ。遠慮はいりませんから、ちゃんと泊まってくださいね?」
なんだか四人から怒られたような諭されたような。
まあでも、心配されてるのはわかるし、ここはありがたく泊めてもらおう。
「あー、えっと、それじゃあ一晩お世話になります」
言葉と一緒に頭を下げると、安心したのか四人とも笑顔になり、その後も楽しい食事は続いた。
=====
食事が終わると、マルガリーゼから「朝の鐘が二回鳴る頃に迎えに来る」と言われてその場はお開きになった。
支払いを終えたエルモとしきりにお礼をするマルメル姉妹はギルドを出ていき、オレ様はファンナさんに連れられて今夜の寝床へと案内されることになった。
二階への階段を上がり廊下に出ると、左右に並ぶいくつかの部屋の説明を受けながら通り過ぎ、一番奥への部屋へと辿り着く。
「ここがアビゲイルさんが泊まる来賓室になります。来賓とはいっても、年に数回あるかないかくらいなので、どうぞ気にせずお使いくださいね」
微笑むファンナさんが扉を開けると、中は結構広い空間になっており、凝った意匠が施されたベッドやソファ、クローゼット等が鎮座している。
まるで高級ホテルの一室のような風景にちょっと感動してしまう。
「うわ、いい部屋。なんか高級ホテルみたいな感じだ」
「うふふ。喜んでいただいてなによりです。
とりあえず着ている服はそこのポールハンガーにかけてください。パジャマは女性用がクローゼットの右扉側にかけてありますので、どれでもご自由に使ってください」
と、他にも備え付けの金庫にしか見えない小さな冷蔵庫や、鏡台にある化粧品の場所、トイレやシャワー等の使い方を一通り説明を受けた。
「それではごゆっくりお休みください。
私は二階の階段近くの部屋か、一階で作業してますのでなにかありましたら遠慮なく呼んでくださいね」
「いやもー、なにからなにまで助かります」
ぺこりと頭を下げてお礼を言うと、ファンナさんは「いいえー」と笑顔で部屋を出て行った。
出る際に手を振ってみたらファンナさんも小さく振り返してくれた。可愛い。
「さて、なんか気持ちよさげに眠気もあることだし、シャワー浴びてとっとと寝るか」
シャワーを浴びる為に着ていた服を脱いでいく。
腰の剣はアイテムボックスにしまい、上の服を脱ぎポールハンガーにかけてスカートやニーソは畳んでベッドわきの小さなテーブルの上に置いておく。
ついでに無属性魔法の洗浄をかけて綺麗にしておくことも忘れない。
しかし女の物の服にも関わらず、あんまり悩まずに脱ぐことが出来たのが意外だった。
これも性別が変わった影響だろうか?
下着姿のまま室内履きに用意されていたふかふかスリッパに履き替え、パジャマがあるというクローゼットへ向かう途中、ふと鏡台の前で足を止めて鏡を見た瞬間、脳内で衝撃が走った。
「なんて楚々としていて華奢で可憐な我が子……」
黒の下着というのは攻めすぎる感があるが、しかし幼い見た目に反して大人の色っぽさを引き立てているようで素敵だと思います。
うん、ちょっと色んなポージングを試してみたのは仕方ないと思うんだ。男として。
しばらくして我に返り、シャワーがある奥にある部屋へと扉を開けて入る。
中はまんま元の世界のシャワートイレのような空間になっていた。ファンタジーどこいった。
……これ絶対、転生者絡んでるよな。
なにわともあれ、使い方は元の世界と変わらないのでとっとと下着を脱いでシャワーを浴びた。
備え付けのシャンプーや石鹸は花のようないい香りで、シャワーを終えた後も身体や髪からいい匂いがしている。
ちなみに寝る時はブラって邪魔かなと思って着けていない。つまりはパンイチ。
そんな姿でファンナさんから聞いた、パジャマがあるというクローゼットの右の扉を開ける。
「確か右側にかけてあるのが女性用って言ってたよ……な……うわぁお」
クローゼットの中にあったのは確かに女性用のパジャマだった。
ただしどれもこれも薄手でところどころ透けてるネグリジェ? という容赦ない攻めっぷり。
「確かに性別は女の子になったけど……。さすがにネグリジェは無理だわ……」
なんていうか、はじめから着ていた服は別として、改めて女性用の物を着るというのは抵抗がある。男として。
試しに手に取ったネグリジェをそっと戻し、反対の左の扉を開けてみる。
そこには男物のパジャマがずらり。
「こっちの方が断然マシだな」
やはりというか、男物は普通のパジャマが並んでいた。
いくつか手に取り、その中でもシルクっぽい手触りで光沢のある白銀の長袖パジャマを選んで着てみる。
「……まあ男物だからぶかぶかなのは仕方ないとして、ズボンがゆるゆるなのは駄目だな。すぐ脱げるし」
結局、上だけ着て下は履かないことにした。
見た目がちょっとマニアックなことになってる気がしなくもないが、別に誰に見せるわけでもなしいいとしよう。
ちなみにベッドまで歩く通り際に鏡台の鏡で見てみたら、エロ可愛さの破壊力がすごかったとだけ言っておこう。
柔らかなベッドの感触に気持ちよさを覚えつつ、異世界転生初日から色々あったなと思い返しながら、オレ様は眠りに落ちていった。
今回はちょっと肌色成分多めの回になりました!
そしてようやく! ようやく28話目にして、物語の一日目が終わりました!!
我ながら長すぎると思うので、これからは少し詰めて書いていこうかなと思っています。
ええ、思っているだけで出来るかどうかはまた別ですが……。
果たしてアビゲイルはこのまま順調に隠れダンジョンの探索に出かけられるのか!
はたまた作者の遅筆のせいで出かけるまで10話くらい引っ張るのか!!
次回「なにゆえキャラメルコー○のピーナッツはあんなにおいしいのか!?」乞うご期待!!(嘘)




