表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/34

RANK-33 『思惑通りに……?』



 魔法勝負でマナミに勝てるとはゴウは考えていない。


 ようは戦い方だ。


 近付けさえすればリンカがいても、マナミに攻撃を届かせる事はできるはず。


「俺はケイトと闘いたいんだけどな」


 タッグマッチが決まった時点で想定していたマッチングだが、リンカの機動力が想像以上に高くて、ゴウでは対応しきれない。


「ケイトもどんな体力だっての、レジデンスが反撃できないくらいのラッシュをずっと続けてるよ」


 伴侶が想像以上に強い事は喜ばしい事だが、一国を預かる将来のある身として、婚約者に土を付けられる訳にはいかない。


「ジェラーム、やるぞ!!」


「了解です、ゴーヴァント様」


 チーム戦ではあってもお祭りの趣旨を考え、各々の対戦相手は各々で対応する考えでいたが、向こうがそれを望んでいないのなら、先ずはその方針を変えさせないといけない。


 ゴウとレジデンスは合流し、二人がかりで遠距離魔法攻撃を開始する。


「ゴウが魔法を? マナミぃ!」


 魔法攻撃のターゲットはマナミ&リンカ。


 上級冒険者の二人からの連続攻撃は半端ではない。


 しかも進路予想も優れていて、リンカの奇抜な足捌きも、動きを封じられるように先回りされる。


「ありがとうリンちゃん、ここまででいいよ。後は撹乱だけお願い」


「分かりました、ご武運を」


 リンカは煙玉で煙幕を張り、マナミから離れていく。


「おっきいのいくよぉ」


「なっ!?」


 マナミの宣言通りの特大の火魔法が、ほぼ無詠唱ではないかという時短で飛来する事に、ゴウ達は混乱する。


「まだまだいくからね!」


 極大の魔法を連発するマナミに、レジデンスは攻撃の手を止め、全力で魔力障壁を張って主を護る。


「リンカお願い!」


 マナミの攻撃が有効であると判断したケイトは、リンカと呼吸を合わせて前に出る。


 目標はレジデンス。


「あくまで俺を避ける気か」


 横をすり抜けようとするケイトに、ゴウは憤然として剣を振り上げる。


「避けてる訳じゃあないんだけどね」


 目標を変更してケイトは踵を返し、ゴウの剣を真正面から受け止めようと、魔剣ゲイルフェンサーを切り上げる。


 リンカはそのままレジデンスへと向かっていく。


「俺の全力を受け止められるかよ」


 ケイト達が魔谷渓での試練に挑んでいる間、ゴウは城の魔道士から魔術を学び、僅かな時間で詰められるだけ詰め込んだ。


 一歩下がると、身体強化の白魔法と同時に重力を操作する魔術を剣にかけ、次の踏み込みで大鬼の一撃に匹敵する一振りを、全力をかけて打ち込む。


「ゴウ、ケイトを殺すつもりですか?」


「やべ!」


 レジデンスの声に我に返るがもう遅い。


 ゲイルフェンサーには魔法を打ち返す能力があるが、重力魔法は剣にかけたからその効力を反射はできないはず。


 攻撃魔法は反射が可能であると、以前ケイトがゲイルフェンサーで教えてくれた時に、対策が必要と考えて、編み出した技だ。


「ケイト、避けろ!」


 しかしゴウが剣を止められないのと同様に、ケイトももう体勢を変えられる状態ではない。


「私とゲイルフェンサーをあまく見ないでよ」


 地面を掴む足に力を込め、ケイトは剣を振り切った。


「魔法剣の力も返せるのかよ!?」


 ゴウは剣ごと力を弾き返されて、投げ出しはしなかったが手に残る痺れは尋常ではない。


 改めて剣を振る力はない。


 黒魔法はまだ苦手だが、攻撃の手を止める事はできない。


 全力で魔術を絞り出す。


「おやめなさいゴーヴァント様、貴方はまだ魔術を完全に制御できていないでしょ」


 使い物にならないから使わないのではない、全力でないと発動できないから危険なのだ。


 ファイヤーマジックは火の玉を矢の様にしてケイトを襲う。


「やべぇ、やりすぎた!」


 ケイトのあまりの強敵っぷりに、つい力が入ってしまった。


「ベル、メル、行って!」


 ケイトは虚空に二本のダガーを呼び出し、それを手にすることなく火の矢にぶつけた。


「なっ!?」


 ケイトが短剣に名前を付けた。つまりあのダガーには召還魔法が掛けられている。


「いきなり剣が出てきた事は理解できるが、なんでそいつらが勝手に飛んでくんだよ」


 手の痺れはだいぶ治まった。


 まだ第二ラウンドも可能だ。


 だがケイトの手札が全部出たとも思わない。


「ねぇ、この服って」


「やっぱ気付いたか?」


 動きが止まり、悩むゴウに少しだけ考える時間が与えられる。


「当たり前でしょ、ちょっとも痛みを感じないんだから」


「ここは闘技場であり、神殿でもあるからな。痛みを精神ダメージに置き換えるアストラルマジックが働いているんだよ」


 ダメージが蓄積し、限界値を超えると失神してしまう。


 と言う仕組みだが、それほど万能でもない。


 先ほどのゴウの攻撃をケイトが受けていれば、精神ダメージが一気に押し寄せ、後遺症を残してしまうところだった。


 ってことは墓の中まで、黙って持って行かないといけない。


「この魔法も万能じゃあない、お前の性格じゃあ後先考えずぶっ倒れるまで押してくるだろ? だから黙ってたんだよ」


「ふーん、そんじゃああんた達の服も?」


「もちろん、一緒のもんだ」


 と言う事は元気そうなゴウも、まだまだ続けられるということ、それにずっと気になっている事もある。


「もうそろそろ本気出しなよ」


「今までも本気だったさ、ただちょっとここまでは、王族として意識しすぎだったな」


 体勢を低くし、対モンスター用のスタイルになり、それはケイトが知る冒険者ゴウのいつもの姿。


 今日一番のスピードで突っ込んでくるゴウを前に、ケイトはゲイルフェンサーを投げ捨てる。


「なんだ、諦めたのか?」


 大怪我を負う事はない。


 遠慮は無用と突き出されるゴウの大剣。


「リアン!」


 ケイトの手の中に出現するショートソード。


 長剣であるゲイルフェンサーでは取り回しが間に合わないと、軽い剣に持ち替えてゴウの大剣を弾き飛ばした。


「ベル、メル、お願い」


 リンカの式神で自在に操れる短剣をゴウの両肩に突き刺す。


 傷を負う事はないが、肩が急に重くなり、怠さで動きが鈍くなる。


「ゲイルフェンサー戻って!」


 大上段の構えから一気に振り下ろす。


「……へぇ、すごいじゃない、今のを耐えられたんだね」


「ああ、無様に気を失う訳にはいかないからな。けど完全に俺の負けだ。今の一振りで本当なら完全に死んだからな」


 精も根も尽きた。


 ゴウは潔く負けを認めたが、決闘の勝者はケイト達ではなかった。


「護るべき主をやられたのですから、ワタシ達の勝ち、とは言えませんね」


 レジデンスはマナミを降参させ、急いでゴウのフォローに回ろうとしたが間に合わず、それでもケイトに最後の一振りを当てる事には成功した。


「リンカが本気で参戦していたら、ワタシ一人では勝てなかったでしょうし」


 マナミが降参した時点でリンカも両手をあげ、結果としてレジデンスはケイトを倒す事ができた。


 ゴウほどのダメージを受けたわけではないケイトはもちろん失神などしなかったが、剣を捨てて、敗北を宣言。


 決闘祭は幕を閉じ、ジャッジは両者引き分けと判定。


 賭をしていた観客達はチケットを天高く投げ捨てた。


 引き分け札を買った者は、全体のほぼ僅かだったという。


 胴元であるポアラはうはうは状態。


 前代未聞のチームバトルとなった決闘祭の闘技場に、嘆きの怒号と、惜しみない拍手が送られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ