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南方戦争12

予感がするので先に言っておきます。多分次回も遅れそうです、、、すみません

 

「ふむ。軍師殿の提案したヒュジャル横断。最初は何を莫迦なことをと思っていたが、、、なかなかどうして理に叶っているものだ」


 開戦数分前、ヒュジャル砂漠ではとある大隊が砂ぼこりを巻き上げで走っていた。


「そうっすかぁ?中佐にとってどうだったかは知んないすっけど、この数ヶ月、自分には地獄でしたよ。じ ご く。我らが天才軍師さまは寒暖差とか一切考慮してないんじゃないっすか?」


「貴様の鍛えが足りてないだけだろ」


「うわひでぇ。一刀両断っすか」


 軽口を叩きつつ、和気あいあいと走り続ける大隊。数ヶ月こうして進軍してきたにも関わらず、彼らからは、疲労も衰えも見受けられなかった。



「中佐、前方に防壁及びオルジア所属と思われる面々を確認致しました。また、ここ一帯に地雷等のトラップは見受けられませんでした」


 斥候部隊の報告に、銀髪の少女は頷く。


「そうか。総員注目!!これより我々は戦場を横断し、セプリプルブスの上層部と合流する。各自砲の点検を済ませておけ!」


「「「「「「YES!!マム!!!!!」」」」」」


 隊員の返事を聞いたのち、銀髪の少女は前方に自身の右腕に固定された白銀の筒を向ける。



 ドォン!!!!!



 そして一発の質量弾を放ち、前方にいたデザイアを衝撃波で一気に吹き飛ばした。

 この間、少女の足は一切止まっていない。隊の先頭でそれまでと変わらぬ速度で走り続けていた。


「セプリプルブス共和国の諸君!!私はルージェ公国軍中佐、第一砲兵大隊大隊長のシルビア・レコネット!!大層な遅刻をして汗顔の至りだが、援軍に参った!!」


 放つ。吹き飛ばす。放つ。吹き飛ばす。

 大声で名乗りをあげつつ一度も周りを見ずに放たれる砲撃は、その全てがデザイアに当たり、キリシマの方へと吹き飛ばしていた。


「ちょ、中佐、何やってんですか!?あの襲われてるの樹皇人っすよ?上位者っす。ヤバいですって」


「なに、問題ない。あの方はこの世界の支配者階級だ。か弱い人間が助けを求めたところで、特に気にも止めんだろう」


「あとでどうなっても知らないっすからね!?」


 はっはっはっと高笑いをしながらデザイアを吹き飛ばす少女。

 吹き飛ばされるも、大したダメージはないとわかると自ら吹き飛ばされに行きキリシマに強襲をかけるデザイア。

 大胆で豪胆な上司に肝を冷やす砲兵。戦場はなかなかに混沌としていた。








 2日程前、全身を茨に蝕まれた少女が、懐中時計をくびから提げる少女に引っ張られていた。


「花畑と睡眠。私は睡眠の方が大切だと思うわ」


「わーかったから。ほら、行くよ」


「こら、辞めなさいな。人は引っ張られながら寝るなんてことはできないの」


「、、、時魔法【加速】」


「ターミア、それはだめだわ。首が、アッ」


 襟首を掴まれた茨の少女の首から、ゴキッと鳴ってはいけない音がなった。






 そして現在。


「やっとついたー!それじゃ私雷神の相手するから他の頼んだよ?」


「ターミア、前も言ったのだけれどその」


「言い訳しない」


「、、、しょうがないわね。【誘眠のいざない】」


 時計の少女に睨まれて、茨の少女は魔法を使う。茨の至るところから蕾が出来、徐々に開き、綺麗な薔薇を咲かす。そして花びらから溢れ出る花粉が風に流され、デザイアを一瞬にして昏倒せた。


「、、、あれ?他のメンバーは?」


 時計の少女は首をかしげる。彼女の予想では、オルジアのメンバー、その全員が眠りはせずともぐらつきはするはずだったのだ。


「だから言っていたじゃない。私は今回戦力外って。六芒星は無機物でしょう?宙の、、、E?D?、、、宙の彼女も無機物。そして雷神は自己洗脳状態。ただでさえこれだけの条件が揃っているのに、対象指定までさせられたら私の能力じゃ効きやしないわ」


「、、、私、雷神の相手してくるね!!」


 一気に加速し、時計の少女が茨の少女の視界から姿を消した。


「疑問。あなたの言い方だと雷神でも眠らせられる様に聞こえる」


「そう言ってるのよ。無差別であればある程、時間を掛ければ掛ける程、私の能力は効力を増すもの」


 茨の少女は、自分の後ろに立つ少女へと、胡乱げな視線を向ける。


「ユースティア。私も疑問があるの。あなた、さっきから私の首に刀の刃をむけているけれど、まさかオルジア側として来た、とか言わないわよね?」


「そのまさかって言ったら?」


 茨の少女は肩をすくめる。


「最悪ね。だって幽霊が眠るのか、私知らないもの」


(ねむり)の酪園】


 スパンッ!!


 茨の少女の首が、ユースティアの斬撃によって宙をまう。

 ドサッと倒れた茨の少女の死体を確認した後、ユースティアは姉へと武器を渡しに向かった。


「意外ね、幽霊も夢を見るなんて。いえ、都市伝説だからかしら?」


 茨の少女の首、、、にユースティアには見えていた枕を下に、茨の少女は横になったまま首をかしげた。


「夢を見るなら、眠ってもくれるかしら」


 ふわぁぁぁと欠伸を一つ。茨の少女はうとうとと眠りの泡沫へと誘われていった。

 、、、ついでに、未だ増え続ける、大量の眠りへと誘う花粉をばら撒きながら。




 一方その頃、妹からとあるスナイパーのプレイヤーのお古を受け取ったデザイアは、とりあえず自傷によって眠気を覚ましていた。





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