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ディヴィジョンマウンテン第76層

 お昼の後74層のカニも倒しつつ突破し75層へ。ここからは川と池が大きくなって陸地がさらに減ってくる。サーチエリアで深さを確認すると、池は一番深いとこだとベードでも沈む深さみたいだけど、川は僕の腰くらいの深さだから落ちても何とか平気そうだ。モイザとフレウドだと沈んじゃう深さだから気を付けてほしいところだけど。

 で、そんな池の中には魔物の気配があるわけだけど、ちょっと上のほうに来てた一匹を見つけた。これまた現実にはいなさそうな大きさだな。真っ青な色で青なのに水の中で結構な存在感を放つ。何より下で見たカニよりもでかいハサミが気になるザリガニだ。


----------

≪識別結果

マウンテンポンドビッグシザークレイフィッシュ 危:C

山の池に住む大鋏をもつ躄蟹。大鋏による強力な近接攻撃だけでなく、大鋏から放たれる水弾は強力な貫通力を持つ≫

----------


 資料にもあったようにあのでかいハサミに挟まれなければいいというわけじゃなく、鋏からの水弾は直撃は避けるようにってあったから気を付けないとな。

 しかしこの池の中に20匹もいるようで、水面付近に来てる一匹だけならいいけど、下のほうにいる他のまで来ると面倒そうだな。しかもザリガニだから陸地も行けるだろう、陸に上げて戦っても有利とはいえないな。

 もっとも、水の中にい続けられたらそれは不利になるから陸上に追い出すのは必須だけど。僕が氷術でも使えればだいぶ楽なんだろうけどな。資料によると一番いい処理方法は池ごと凍らせるような氷術らしい。

 ちなみにどんなに凍らせてもしばらくすると勝手に溶けるのがダンジョンの仕様だそうなので安心とあったけど、別に凍ったままでも不便はないと思うんだよな・・・

 さて、この数襲ってこられたらどう対処するのが一番だ?おそらくモイザの糸はハサミで切られるからきついだろうし、ベードの影は3つしか拘束用に伸ばせないみたいだし。


「・・・無視するか?素材はほしいが無理に戦ってみんなが傷つくのは嫌だな。」


「きゅ・・・」


「なに言ってるんだって?いいじゃないか僕のエゴで。ちなみにいうけど、僕はレイトにも怪我とかはしてほしくないぞ?めったなことじゃそんなことにはならないだろうけど。」


「・・・きゅ。」


 なんかはずかしそうにそうかと返されたけど、そのあと僕達だけで20匹をどう対処する考えると頭上でうなり始めた。


「はぁ、炎の紐による拘束なら20本の紐を作れるから何とか全部拘束できるかもしれないけど、20匹を水から出した後、即座にできるかはちょっと怪しいな。」


「きゅ?」


「ん?あぁ、20匹拘束できるとは思う。ただ炎だから拘束の効き目は多分薄いぞ?しかも一匹一本だから拘束が甘いとハサミで抜けられるかも。」


「きゅきゅ。」


「ならいけるって?いや、無理に戦い始めなくても・・・」


「きゅ!きゅきゅ。きゅー。」


「コ!?コ・・・ココ!」


 なんかレイトがフレウドに指示してたけど、多分ザリガニ陸上げの指示なんだと思う。しょうがない、やれるだけやるか。


「ベード、モイザ、僕の拘束の甘そうなやつにはすぐさま攻撃できるようにしておいてくれ!フレイムストリング!よし、フレウド、いつでもいいぞ!」


「ばぅ!」「――――!」「ココココ!」


 僕が炎の紐を20本出現させて合図すると、フレウドが両翼を前に構えて大きく振り上げる。すると池のそこから竜巻のごとく風がまきあがっているみたいで、水ごとザリガニたちが宙に浮きあがる。これじゃ炎じゃ拘束できないんだけど!?と思ったけどすぐに水のほうが先に落ちて、ザリガニ20匹はそのまま宙に放りだされた。


「コ・・・」


 フレウドがもう限界と羽を下ろすけど、すでに僕の炎の紐ですべてを拘束しようと伸ばし始めてる。よし、何とか全部キャッチ。そしてできるだけハサミは縛り付けてと行きたいけど、7匹はハサミが自由になったままだ。むしろ13匹もうまく拘束できた自分をほめたいくらいだ。全部に拘束解こうと暴れられてすっごいきついけどな!

 すぐさまハサミが自由なザリガニに向かって影と粘土の槍先が飛んでいき、ハサミで僕の拘束を切ろうとしていたのを防いでくれた。ちょっとひるんだすきに炎を伸ばしてハサミまで拘束する。


「で、この後どうするんだよ!僕かなりきついぞ!ベード、モイザ、フレウド頼んだ!」


「ば、ばぅ!」「――――!」「・・・コ!」


 僕は拘束維持で結構疲れたけど、そこからは消化戦だった。ザリガニたちにモイザとフレウドの粘土と風の矢の雨が降り注ぎ、矢の受ける数が少ないザリガニにはベードの影が貫いてすべてを消滅させることができた。


「はぁ・・・いやもう、数多いのはごめんだよ。一匹相手なら何とでもしようがあるんだけどな・・・」


「・・・きゅ。」


「だらしないって?そうは言うけど身を護るのにいちいちウォール使わないと危ないしな・・・」


 水弾を放たれていないからわからないけど、ウォールの魔法で防げたかは正直微妙なとこ。数が多くて来る位置がわかってるような技ならトランスポートでその技を移動することもできなくはないけど、そんなのはめったにないわけで。

 今絶対に避けるなら空間掌握して一気にみんなで転移して避けるしかないよな。うーん、ちょっと思うところは安心して任せられる盾役がほしいよな。回避戦闘、拘束戦闘だけしてちゃ安定してるとはいいがたい気がしてきた。

 ないものねだりしてもしょうがないな。炎と風に関してはフレウドが吸収できるんだし、この水不利状態さえ超えればそんなこと考えなくてもいいかもしれない。


「とにかくザリガニはもういいだろ?ベードさっさと77層前まで抜けちゃおう。」


「ばぅ!」


 ベードにそういうとほんとに一気に駆け抜けてくれる。川はかなり太いけど、ジャンプで一気に飛び越す。76層では少し足が川に入って水が飛ぶときもあったけど。

 77層からはまた違う魔物で、資料では一匹ずつ相手できるとあったし、炎が効きにくい複数相手について考えるのは80層突破してからでもいいかな、なんて考えてるとレイトから声をかけられる。


「きゅきゅ。」


「なんだレイト?ベードを連れて下に降りるのか?」


「きゅ。」


「ベードの特訓、なのか?僕じゃなく?まぁベードがいいならいいけど・・・」


「ばぅ・・・」


 なんかベードが申し訳ないと言ってきたけど、何が悪かったんだ?特に悪い部分なんてなかったけどなんかレイトとベードには考えがあるようで。


「良いけどそれならだいぶ早いけど夕飯を済ませちゃおう。食べておいたほうが特訓にもいいだろ?」


「・・・きゅ。」


 よし、レイトも夕飯ムードになったみたいだし作るから待っててくれよ?ベードにはしっかり肉を食べてもらうとして、モイザはまたミルクで、フレウドはやっぱ魚がいいかな?

 僕は粉モノ食べたくなったしちょっと頑張ってお好み焼きでも作るかな。そういえばちょっと高めで買わなかったけどタコの素材も売ってたな。確かあれにはマウンテンってついてなかったけど、80層越えたらタコがいるらしいから、そいつ倒したらたこ焼きでも作ってみるのもいいかもしれない。・・・丸めて焼ける器材がないと無理か。

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