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《完結》 ∞【無限】ミッション!~俺だけに与えられたシークレットミッションを達成して手に入れたSSS級の能力や神器で世界を見返す史上最強のハンターへ~  作者: 陽和
第2章~草根の土地~

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草根高校入学編⑦~オリエンテーション2日目~

オリエンテーションの続きを行っています。

お楽しみいただければ幸いです。

「特技に境界を見つけることとありますが、これは……」


 俺の前には、机の上に資料を広げた中年の女性と男性が座っている。

 延期になっていた特待生対象の書類確認という名の面接が行われており、別の場所では聖奈も同じようなことをしているはずだ。


 今は顔の彫りが深い男性が俺の書いた自己紹介文を見て質問をしてきているので、偽ることなく答える。


「最高で1日10ヵ所以上見つけたことがあります。参考資料として、観測センターが記録している清澄ギルドの境界登録件数が記載されている紙を付けていたはずですが?」

「確かにあるが……」


 どうしますかというように、男性が視線を女性へ向けていた。

 その視線に気付いた鎖骨がくっきりと出るほどやせている女性が眉間にしわを寄せる。


「ええ、これのことよね……本当に全部きみが見つけたのかしら?」

「もちろんです。疑うのでしたら、すぐにでも探してきます」

「いえ……不要です……よくわかりました」


 俺がはきはきと話をしたら、質問をするはずの2人が黙りこくってしまった。

 こちらから話をするわけにはいかないので、俺も静かに待っていたら、男性が紙を見ていた視線を少しだけ動かす。


「スキルの欄にSS級の空間アイテム収納と、S級の精霊召喚とありますが、見せていただけますか?」

「わかりました」


 この前の水鏡さんに見せた時のように、火と大地の精霊を呼んで装備を作った後、アイテムボックスから回復薬を取り出した。

 2人が使っている机の上に回復薬を置き、座っていた椅子に戻る。


 俺と向かい合うように座っている2人が何も言わず、手元の用紙へ必死にペンを動かして字を書いていた。

 しかし、それ以外一切俺への反応がなく、思考も【困惑】なのでもう少し披露する必要があるのかと勘ぐってしまう。


「どうでしょうか? 足りないのなら、まだできますが……」


 俺の言葉にはっとした女性は手を止めて、苦笑いをしながらこちらを向いてくれた。


「け、結構です。よくわかりましたよ」

「そうですか。それはよかったです」


 女性の思考が【焦り】に変わり、自分を落ち着けるように数回深呼吸をしている。

 それから数回質問をされたが、つかえることなくスムーズに返答することができた。


「それでは、以上で書類確認を終わりにします。今日はありがとうございました、気を付けて帰宅してください」

「ありがとうございました」


 最後は憔悴しきった2人に見送られ、部屋を後にする。

 他の部屋を見たら、まだ中で話をしている様子だったので、外で聖奈を待つことにした。


(スマホへメッセージを送っておけばいいだろう)


 校舎の外へ出ながら、オリエンテーションから数週間で師匠が行なったということを振り返る。


 調査会社を入れて徹底的に自分を含めた全職員の身辺捜査を行なって、少しでも金嶺と繋がっている人を洗い出したそうだ。


 さらに、金嶺の裁量で入学してきた在校生を呼び出し、書類に乗っている能力やスキルが本当なのか確認を行なった。

 その結果、特待を切った者や、ハンターとしての素質がまったくなく普通科に転科しなければならない者が出てしまったようだ。


(そんな人が平然と学校生活をしてきたんだから面の皮が厚いよな)


 偽の能力でも学校生活が送れるほどゆるい教育課程なのか師匠へ聞いたところ、これらの生徒は成績がとても悪く、実技訓練で何度も補講を受けさせられていた。

 それも、元校長が補講を行う教員に圧力をかけて、認定レベルに達していないにもかかわらず、通していたようだ。


(あの老婆のせいで学校の評判に傷が付き、立て直すために抜けた教員の穴をどうするか師匠が悩んでいた)


 俺にできることは草根高校の特待生として恥じない行動をするだけなので、普段の生活から引き締める意識を持つ。

 聖奈を待つために校門の近くで止まり、スマホでメッセージを送ろうとしたら誰かが俺の前に立った。


「ねえ、ちょっといいかな?」

「はい?」


 顔を上げると、どこかで見たことがある俺より背が高いショートカットの女の子が不思議そうにこちらを覗きこんでいる。

 草根高校制服を着ており、リボンの色を見ると青色なので俺よりも一つ上の学年だ。


「きみ、こんなところでどうしたの?」

「妹の特待生面談が終わるのを待っています」

「妹さん特待生なの!? すごいね!」


 今は普通の服を着ているため、待っている家族だと思われているのだろう。

 聖奈をほめられたお礼を言って、会話が終わったと思ったら、その女の子は俺の横で校門に寄りかかった。


「彼女さんとはうまくやっているの?」

「彼女?」


 女の子はこちらを見ることなく、空を見上げて聞いてきていた。

 俺は付き合ったことなど1度もないため、誰のことかと思っていたら女の子がすねた表情になる。


「ほら、ツインテールでかわいいえくぼができる子」


 先輩は軽く握った両手を頭の両側に付けてから、頬の下あたりを指差した。

 俺の周りでそんな特徴のある女の子は聖奈くらいしかいない。


「それは妹ですね」

「えっ!? 妹!? 同じ学年じゃなかった!?」

「双子なんです」


 俺の話を聞いて、先輩はそうなんだと呟きながらこちらの様子を伏せ目がちにうかがってくる。

 すると、ここから数歩離れて、少しだけ赤くした顔でこちらを見て笑ってきた。


「サービスするから、またハンバーガーを食べに来てね」

「ああっ! あのお店の店員さんですか」


 ハンバーガー屋さんでの笑顔と今の顔が重なり、この人と会ったことがあることを思い出した。


「またね!」


 先輩は元気一杯に俺に向かって手を振ってくるので、手を振り返すと満足そうに校舎へ走り出す。

 すれ違うように現れた聖奈は怪訝そうな顔をしながらこちらへやってきた。


「お兄ちゃん、さっきの人と何かあった?」

「んー? 特に何も、聖奈のことを双子の妹って伝えただけだよ」


 聖奈は軽くため息をつき、呆れるように俺のことを見てきた。


「な、なんだよ……」

「さっきの人、ハンバーガー屋でお兄ちゃんのことをずっと見ていた店員だよ? 覚えていないの?」


 せっかく私が追い払ったのにと言いながら苦い顔になる聖奈へかける言葉が見つからない。

 すると、なんだか急に学校へ入ってくる人が多くなったような気がしてきた。


「人がたくさん来ているけど、なにかあるのかな?」

「さっき聞かなかった? 今日、一般受験の合格発表日だって」

「聞かなかった。こんなにいるんだ……」


 続々と人が増え続けており、校舎の前に人垣ができ始めている。

 その人たちを見た聖奈が、俺の前に手を出して人差し指以外をにぎった。


「2次試験の合格者は約1000人、入学できる人は1割だよ」

「その人たちの模範にならないといけないのか……頑張らないとな」

「……うん」


 聖奈はなにか気になることがあるのか、間を空けて俺の言葉にうなずく。


「帰るか。俺たちがここにいたら邪魔だろうしな」


 帰るために歩き出そうとしたら、校門へ水守さんらしき人が入ってくるのが見えた。

ご覧いただきありがとうございました。


明日も投稿する予定です。

もしよければ、感想、ブクマ、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。


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