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《完結》 ∞【無限】ミッション!~俺だけに与えられたシークレットミッションを達成して手に入れたSSS級の能力や神器で世界を見返す史上最強のハンターへ~  作者: 陽和
第9章~日常の変化~

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草凪澄人の決断⑧~大神実命の使いどころ~

澄人が大神実命を使って瘴気を浄化しています。

 俺は目を閉じてしばらく黙祷を捧げると、メーヌが急に声をかけてきた。


『ここだけ神性な雰囲気になってきたね!』


「メーヌでもわかるのか。よかったよ」


 目を開けると、メーヌが俺の顔の前で気持ち良さそうにふわふわ浮いていた。


 この場が清浄になったことで次の作業がやりやすくなる。


 自分の中の能力に意識を向け、精神を集中させた。


(あれは……どこだ……)


 捕食して吸収したモンスターを復元させるために手掛かりとなる能力ばかりに気を取られる。


 俺が蘇生したいモンスターは無能力の時に捕食をした。


 逆に何も感じないモンスターの方が探し出すことが難しい。


(フローズンフロッグ多すぎるだろ……何百体捕食したんだよ……見つけた)


 数あるモンスターの中で、唯一俺への影響が何もなかったモンスター。


 そいつを蘇生するために、体の中を意識しながら神の祝福を発動させた。


「現れろミュルミドネス。賭けに勝つぞ」


 俺が呟いた瞬間、周囲に眩しい光が足元にあふれ出す。


 その光は徐々に形を成していき、俺の前には小さな枯れ木のようなモンスターが姿を現していた。


 大神実命の効果なのか、枯れ枝のモンスターからは瘴気が完全に消えている。


「こ……ここは……」


「ミュルミドネス。俺がわかるか?」


「草凪澄人!? 瘴気!! いない?」


「お前の世界を作るチャンスを与えてやろう」


「な、なんだと?」


 俺は驚きを隠せないでいるミュルミドネスへ笑顔を向ける。


 そして、ミュルミドネスを捕食してから、ここにくるまでのことを説明した。


 俺の話が終わると、彼は信じられないと言わんばかりの表情をしている。


「私が世界樹を守ればいいのか? そうすればこの世界を好きにしても良いと?」


「そうだ。お前が世界樹を守れば、はざまの世界を好きにしてくれてかまわない。どうだ?」


 ミュルミドネスが嬉しそうな顔を見せたのは一瞬で、すぐに無理だと弱々しい声を漏らす。


「私は単体では無力だ……あのお方がいなければなにもすることができない」


「この苗木を拠り所にするのは無理なのか?」


 俺は苗木を指さすと、ミュルミドネスはゆっくりと器用に枝を曲げてうなずいた。


「それはできない。私が成長を阻害することになる」


 俺が苗木に手を伸ばすと、ミュルミドネスが慌てた様子で手を掴んでくる。


「触るな! この苗木は繊細なんだ! それに……こんなに小さくてはな……」


 ミュルミドネスは俺から守るように世界樹の苗木の前に立ちふさがり、愛おしそうに見つめる。


 俺はそんなミュルミドネスを見て、ある提案をする。


「それなら、寄生できる別の植物を用意すれば問題はないんだな? 大神実命はダメなのか?」


 俺の提案を聞いたミュルミドネスは、大神実命へ手を伸ばして固まってしまった。


 世界樹の苗木を守るように立っていたミュルミドネスが悲しそうに振り返る。


「瘴気に影響をされない植物なんていない……大神実命に寄生しようとしたら私が消える」


「ちなみに、瘴気に影響されない植物は、神性属性を持つ植物で合っているのか?」


「そうだ。全世界を探しても、そんな植物は七色の樹さましかいない……お前に消されてしまった……私の主は」


 悔しそうにしているミュルミドネスは仕方がないことだと自分を納得させている。


 しかし、俺にはその考えを覆すことができる手段を持っていた。


「だったら、なんとかできる」


「何!?」


 ミュルミドネスが大きな口を開けて驚くのを尻目に、神の祝福を発動させた。


 一度覚えたスキルなので後はポイントでどうとでもなると考えながら、神性属性を付与してくれた相手を蘇生する。


 地面へ植えるように蘇生させると、小さくて綺麗な【七色の芽】が光の中から現れた。


「主さま? 草凪澄人……なにを……? これは……」


「神域に根を張っていた七色の芽を抜いたんだ。それをここへ植え替えた」


 七色の芽を蘇生したので、俺から神性の親和性がCに後退したものの、ポイントですぐにSへ昇格させた。


 地面へ植えられた七色の芽を見ているミュルミドネスは呆然としていた。


「神性属性もあるし、七色の芽ならお前も寄生しやすいんだろう?」


「なぜ……そこまでしてくれるのだ……?」


 俺の言葉を聞き、ミュルミドネスは疑問を口にしながら涙を流す。


 一度異界の文明を滅亡させた相手へここまでの慈悲をかける人間はいないと思っているようだ。


「これは賭けなんだよ」


「賭け?」


「お前がこの世界だけで満足してくれるなら俺の勝ち。異界や地球に侵略したら俺の負けだ」


「私を……信じるというのか? 私は異界を滅ぼしかけたんだぞ?」


 ミュルミドネスは俺の目を見ながら、自分がしたことに対する後悔の念を強くしている。


 それでも俺はミュルミドネスを信じてみようと思った。


「お前には瘴気を消そうとする信念があった。それに、お前を捕食するときに自分だけの世界をやるって約束したからな」


 俺が笑みを浮かべると、ミュルミドネスは涙を流したまま目を閉じて動かなくなる。


 すると、枯れ枝のような体から若々しい葉が生えてきて、みるみると体が瑞々しくなっていった。


「すごい……これが拠り所を見つけたミュルミドネスか……」


 その体からは神性が付与された魔力が溢れ出ていた。


 ミュルミドネスは両手を広げて世界樹の葉を眺めている。


「これで……私は再び七色の樹さまと一つになれた」


 異界を七色の森で侵略していたモンスターとは思えないほど穏やかな表情をしていた。


 俺はそんなミュルミドネスへ話しかける。


「世界樹が成長するのを見守ってほしい。できるか?」


「あぁ、もちろんだ。何百年でも何千年でも守り続けてやる」


 世界樹の苗木に寄り添うようにして、ミュルミドネスは静かに答えた。


 その目からは強い意志を感じられ、心から安心して世界樹を任せられる。


「これからよろしく頼む」


「こちらこそ、本当にありがとう」


 俺の差し出した手を握り返すミュルミドネスの手は暖かく、心まで温まるような気がした。


——ズリッ!ズリッ!ズリッ!ズリッ!


 俺とミュルミドネスが世界樹の苗木の前で話し込んでいると、何かを引きずる音が近づいてくる。


(この音は……そういうことか……)


 俺とミュルミドネスが音のする方へ振り向くと、巨大な黒い影が左右に揺れながら大きくなっている。


 ミュルミドネスもその姿を見ているのか、顔を強張らせた。

ご覧いただきありがとうございました。

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