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《完結》 ∞【無限】ミッション!~俺だけに与えられたシークレットミッションを達成して手に入れたSSS級の能力や神器で世界を見返す史上最強のハンターへ~  作者: 陽和
第9章~日常の変化~

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草凪澄人の日常⑨~テレビに映る聖奈~

澄人がテレビに映っている聖奈を見ております。

 少し間をおいて覚悟を決めた顔をした聖奈が、一歩前に出てはっきりと答える。


「草根高校に入学し、仲間と切磋琢磨できたことが一番私の成長に繋がっていると思います」


 その言葉に、レポーターの男性が嬉しそうな顔をしながら大きくうなずく姿が画面に写っていた。


(聖奈……お前……)


 聖奈の口からこんなにまともなセリフが出てくることに驚いた。


 同じ感想を持ったのか、真友さんや朱芭さんも信じられないといった表情で聖奈を見つめている。


(いつもこれくらいしっかりしてくれていたら助かるんだけど……成長したんだな……)


 その後、聖奈以外の部員の言葉を聞いたレポーターが緊張した面持ちで異界ゲートを眺める。


「そ、それではこれから異界ゲートへ突入してみたいと思います」


「では、私たちが先に突入して安全を確保しておきます」


「よろしくお願いします!」


 元ハンターでも異界に突入した経験はないのか、レポーターの緊張感が増していた。


 異界ゲート周辺は結界が張ってあるので安全だと説明をしていたが、それでも恐怖感が拭えないらしい。


「それじゃあみんな、行くよ!!」


「「「「はい!!」」」」


 天草先輩の合図で全員が大きな返事をして異界ゲートを潜り始める。


 その集団を眺めていたら、アラベラさんがいないことにようやく気付いた。


(二つ名ハンターは目立つからわざとか……いや、俺のせいか)


 アラベラさんは二つ名ハンターなので、宣伝をするのならいた方が良い。


 どうしていないのだろうと考えていたら、俺がアラベラさんの両親を蘇生したからだろうと、すぐに結論を出せた。


 テレビではレポーターの男性が異界に建てられた観測所を見て絶句している様子が映し出されている。


(休んでばかりいられないし、俺も行くかな)


 もう検査はすべて終わっており、明日の朝まで休むだけらしいので、俺は身支度を整えた。


 いつもの服を着てから黒いローブを羽織り、ナースコールを使って看護師さんを呼ぶ。


「どこか出かけられるんですか?」


 病室に駆けつけてきてくれた女性の看護師さんへ帰ることを伝えてから病院を後にした。


◆◆◆


 外に出ると夜になっており、街灯の明かりしかない道はとても暗い。


 ワープで家まで帰る気になれず、適当に夜道を歩いている。


 自分の考えを集中してまとめる時間が欲しいと思い、こうして外出したけど、何もまとまることはなかった。


 ただ一つ思うことは、境界をなくすことはできないと俺が決めつけてしまっているということだ。


(異界で結界石を使えば境界ができる……それをなくすということは異界の住人に死ねと突きつけることになる……)


 どんなつもりで澄が勾玉を異界へ託したのか、俺には知る由もない。


 託した本人は異界のせいで地球が境界のモンスターに侵略されると予想しなかったのだろうか。


(過去に行けるのならこの疑問を解決できそうだけど……できないんだよなぁ……そんな機能や能力ないし)


 時間に関与するスキルは持っている人がおらず、スキルショップにも見当たらない。


 タイムスリップなんてものへ希望を持ちそうになる自分へ失笑してしまう。


(何を考えているんだ……余計なことを考えてしまうな)


 はぁっと大きくため息をつくと、コンビニの前に着いていた。


 中に入って雑誌のコーナーへ進み、適当なものを手に取ってパラパラとめくる。


(今は異界の復興が終わるのを待つ……それ以外のことは後でも良い……何を焦っているんだ?)


 ミュルミドネスに神の一太刀を防がれてから、妙な不安が俺の胸にくすぶり続けている。


 草薙の剣は俺の前に現れたものすべてを打ち破ってくれていた。


(あいつに防がれるまではっ!!)


 神の一太刀が防がれた光景をフラッシュバックさせてしまい、持っていた週刊誌を握りしめて歯ぎしりする。


(神の一太刀を絶対に防がれないようにしたい……そのためには親和性を上げる)


 今は【C】となっている神器の親和性を一つでも上げる。


 そうすることで神の一太刀の威力も向上するだろう。


(行くか……親和性を上げるなら使い込むしかない)


 クシャクシャにしてしまった雑誌を購入し、コンビニを出た。


 ワープを行うために人気のない場所を探して足を進めたとき、ポケットに入っているスマホがブーブーと唸り始める。


 電話なのか、メッセージとは違う振動が手に伝わってきた。


「ヘレンさん? はい、もしも——」


「澄人か? 今どこにいる?」


 電話に出るなりヘレンさんの声が聞こえてきた。


 少し焦っているような声を出しているのに不思議がりながら答える。


「病院近くのコンビニです。これからちょっと遠征へ行こうかと思っていたところです」


「ダメだ。すぐに戻ってきてくれ、直接話したいことがある」


「なんですか? 概要だけでも教えてください」


 ヘレンさんは切羽詰まった様子で電話をかけてきていた。


 それだけ重要な用件だということが伝わり、こちらとしても聞き返さずにはいられない。


「…………落ち着いて聞いていて……私が何を言っても取り乱さないでくれ」


「……わかりました。それで話とは?」


 かなりの念の押しように、俺は無意識のうちに姿勢を正していた。


 ヘレンさんにここまで言わせる出来事が起こっている。


 それが何かはわからないけど、聞く以外の選択肢は存在しなかった。


「草凪澄人と血縁関係にある者が世界ハンター協会のデータベースに登録されていないことがわかった」


「…………え?」


 唐突な言葉を聞き、理解するのに時間がかかってしまう。


 頭の整理が追い付かないうちに次の言葉がスマホから聞こえてくる。


「……澄人と血縁関係にある者は、日本……いや、世界のどこを探してもいない」


「ちょ、ま……その結果は正確なんですか!?」


「ああ、私も信じられなくて何度も検査をしてもらった」


「聖奈は!!?? 妹ですよ!!??」


 頭の中はぐちゃぐちゃになっており、思わず叫んでしまい、近くの建物へ反響するように響き渡った。


 その話を聞けば聞くほど心臓の鼓動が早くなって気持ち悪くなっていく。


「詳しい話は直接病院で……迎えに行こうか?」


「……ワープをします……ご心配なく」


「そうか……待っているぞ」


 こんな状態で、この後の話を聞くことなどできるはずがなかった。


 震える手でスマホの通話を切るボタンをタップすると、そのまましばらく動くことができずにいた。

ご覧いただきありがとうございました。

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これからもよろしくお願いします。

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