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《完結》 ∞【無限】ミッション!~俺だけに与えられたシークレットミッションを達成して手に入れたSSS級の能力や神器で世界を見返す史上最強のハンターへ~  作者: 陽和
第8章~未来のために~

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天草紫苑の長い一日後編~バーガーショップ草地にて~

澄人の行動について話し合うため、一年生Gがバーガーショップ草地に集まります。

SENA【お兄ちゃん!! 説明!!】


Arabella【スミト、電話に出てよ】


まゆまゆ【澄人くん! 見ていたら返事をして!】


♰翔♰【もう行ったのか?】


 私よりも早く聖奈のメッセージがグループ上に表示され、それに続くように他の人もメッセージを送っていた。


 みんな草凪くんに詰め寄ろうとしているけれど、誰とも連絡が取れていないようだ。


(あ、そうだ。姉さん……)


 メッセージを読んでいたら少し冷静になってきて、自分が一人ではないことを思い出した。


 姉さんへ声をかけようとしたところ、テレビから聞き覚えのある単語が聞こえてくる。


 私と姉さんは目が合い、無言でテレビを指さす。


『異界で建物を建てている場所は、日本の草根高校にある異界ゲートから突入した付近になります』


「これ……うちの学校だよね?」


「うん……うちの校舎だよ……」


 2人で驚きながら再びテレビから流れる質疑応答へ耳を傾ける。


(今日は草根高校周辺がパニックになっているんじゃ……)


 こんな内容が公表されたとなると草根高校がさらに有名になってしまう。


 部活動が休みでよかったと安堵した時、姉さんが私を見ながら微笑む。


「今日学校へ近づかないほうがよさそうね」


「本当にね」


 姉の指摘に、私は苦笑いを浮かべつつ姉さんの言葉に同意する。


 ようやく頭で考え事ができるようになり、私はスマホに新しいメッセージがないのか確認した。


♰翔♰【今、寮の放送で今日は学校へ行かないように連絡があったよ】


真【寮の外にでるのも控えた方がって感じだったよね】


楠瑛【紫苑さん、バーガーショップの件は大丈夫でしたか?】


SENA【私パフェのお腹になっちゃったから、集まれなくてもいいから先居るね】


まゆまゆ【聖奈、あなた……】


 相変わらず聖奈のマイペースさに笑みがこぼれ、私はスマホ上へ指を滑らせた。


紫苑【いつでも大丈夫みたい。何時に集合する?】


真【今は寮の前に人がいないから、私たち寮生は早めに着いておくね】


まゆまゆ【それじゃあ、準備ができた人からお店へ。12時前には集合できるといいな、くらいでよろしく】


紫苑【わかった。私は部長とお店へ向かうよ】


 癖で部長ではなく、姉さんと打ちそうになってしまったのを訂正できてよかった。


 予定が立ったところで、一旦落ち着こうと紅茶へ手を伸ばすとコップがない。


 いつの間にか姉さんが台所に立っており、カチャカチャと私のコップも洗ってくれていた。


「飲み終わっていたから洗ったよ。飲むんだったら入れるけど?」


「うーん、姉さんと一緒にお店へいくからいいや。もう出るよね?」


「これを片付けたら行くよ」


「五分待ってて!」


 それ以上待たないからという声を背にして自分の部屋へ戻る。


 一分で身支度を終えようと思いながらも急いで荷物のチェックをしていると、大切な写真立てが倒れてしまっていた。


(あっ! ダメダメダメ! ちゃんと立てていないと)


 大切な大切な写真立てを持ち、入っている写真を眺める。


 ここには私が理想とする人物である、【完璧な管理者】ヘレン・スタマーズさまの生写真が入っている。


 マネージャーをしているソニアがコンサートをするときに来日した際、私が空港で撮影した写真だ。


(私もこの人と同じように、境界で戦うハンターがなんの心配もないくらいの管理ができるようになりたい)


 ヘレンさまの写真を眺めていたら準備の手が止まってしまい、いつの間にか約束の時間が経とうとしていた。


 考えることを途中で止め、急いで玄関へ向かった。


 姉さんと一緒にバーガーショップの前に着くと、アルバイトのために裏口に回った姉さんを見送る。


 私もお店へ入ろうとすると、見慣れない車が駐車場に停めてあった。


 車にあまり興味のない私でも知っている赤いスーパーカーであり、ボンネットにある跳ね馬のエンブレムは光り輝いているように見える。


(これ絶対高い車だ……乗っている人もすごいんだろうな)


 高級車の横を通りながら眺めていると運転席にいる女性と目が合う。


(【完璧な管理者】ヘレン・スタマーズさま!? どうしてこんなところへ!?)


 おじさんのお店をこんなところというのも失礼だが、この場違いすぎる人がどうしてここにいるのか気になる。


 ヘレンさまはこちらへ向かって笑顔を見せた後、ドアに手をかけて出てきた。


「おはよう、ここがバーガーショップ草地で合っているのかしら?」


「へっ!? あっと……はい。そうです」


 急に声をかけられたため変な声が出てしまい、頬を赤く染めながら挨拶をする。


(え……なんでこっちに来るんですか……)


 まさか本当にハンバーガーを買いに来たわけではないだろうと疑問を抱いている間にもどんどん近づいてくる。


 するとヘレンさまの表情がとても柔らかくなり、私の前で足を止めてくれた。


「あなたも入るんでしょう? 行かないの?」


 首を傾げながら私を見る姿はとても美しく、思わずドキッとする。


(これがあの有名な完璧な管理人……すごくきれい……)


 テレビで見たことはあるけれど、こんな風に対面するのは初めてなので緊張してしまう。


 しかし、いつまでも外で立ち尽くしているわけにはいかないので、深呼吸をして店内へ入ることにした。


「……入ります」


「行きましょう」


「いらっしゃいませ〜」


 なぜかヘレンさまと一緒にお店へ入ることになり、カウンターの奥からおじさんの間延びした声が聞こえてくる。


「すみません、待ち合わせをしていたものですが」


「はいはい、うかがっております。奥の部屋になるので、こちらへどうぞ」


 ヘレンさまはおじさんに唯一ある奥の個室へ案内されてそのまま消えていった。


 何事もないように振る舞うおじさんの様子に私が戸惑ってしまう。


(おじさん、ヘレンさまのこと知っているの!? すごい人なんだよ!?)


 心の中でツッコミを入れていると、調理の準備が終わったおばさんが私の方へやって来た。


 先ほどのことが頭から離れずどうしたらいいのか分からなくなっていると、微笑みかけてくれる。


「あら、紫苑ちゃん、いらっしゃいまし。お友だちは奥に来ているみたいだよ」


「奥? それって個室のことですよね?」


「ええ、そうだけど?」


 何食わぬ顔で答えられてしまい、さらに頭の中にクエスチョンマークが増えていく。


 個室に通されたということは、おじさんもヘレンさまの来店に驚いていないということ。


 どうしたものかとお店を見まわしていたら、おばさんが笑顔でうなずく。


「ついでだからこれを持っていってくれる? 五人分のパフェだよ」


「……はい、持っていきます」


 私が返事をしてお盆を持つと、おばさんがバランス良く五つのパフェとロングスプーンを乗せてくれた。


 落とさないようにゆっくりと運び始めると同時に、頭の中である予想を立てておく。


(実はそっくりさんで……そんなことはない、私が見間違えるはずないもん)


 考え事をしていたらパフェを乗せているお盆が揺れ、落としそうになった。


 雑念を捨てないと運びきることができないと判断をし、意識を切り替える。


「おまたせしました。パフェになりま……」


 奥の部屋について扉を開けたとき、正面に座っているヘレンさまと目が合ってしまった。


(やっぱり偽物じゃなく本物だよ!!?? どういうことなの!!??)


 混乱しながら部屋へ入室すると、私の横から手が伸びてきた。


「紫苑ちゃん、届けてくれてありがとう!! パフェパフェパフェ〜!!」


 いつの間にか部屋にいた聖奈がお盆ごとパフェを奪っていく。


 パフェの容器に顔を突っ込んで食べ始めそうな勢いに圧倒され、私は何もできずに部屋へ一歩入ったまま棒立ちしてしまった。


「聖奈、それは私たちの分もあるんだから残しておいてよ。天草紫苑さん、こんにちは」


「こ、こんにちは……草壁さん……」


 ヘレンさまばかり見ていたら、横に座っていた草壁さんのことが目に入っていなかった。


 部屋の隅の方では聖奈とアラベラがパフェを美味しそうに食べており、どんな空間なのかつかみきれない。


「急で悪いんだけど、あなたが希望していると聞いているから、清澄ギルドへの加入審査面接をするわね?」


「えぇっ!?」


「わかると思うけど、私がギルドマスターの草壁澄香で、こちらが副マスターの——」


「ヘレン・スタマーズです。よろしく」


 挨拶と同時に私へ差し出されたへレンさまの指先は綺麗に整えられていて、私なんかが触れてもよいのかと躊躇してしまう。


(えっ!? えっ!? 何が起こっている……の?)


 うかがうように視線を上げていくと、ヘレンさまの澄んだ青色の瞳に引き込まれてしまった。

ご覧いただきありがとうございました。

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