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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第1部 輝く月】3章 あたしの救世主さま。

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59話 切り札。

「え~っと、このへんかな……? あ、あったあった」


 犯罪組織【はき違えた自由(ノーアウトフリー)】の本拠地の魔力照明でまぶしいくらいに照らされた倉庫の中。


 リーダーの蛙魔物のような顔をした男、ゲスリーを守る最後のひとり。やせぎすの暗殺者の男を下した僕は、その懐をごそごそとまさぐっていた。


 目的は当然解毒薬。懐からとりだしたピンク色のそれを瓶のふたを開け、においを確かめてから一息に飲みほす。


「うぐぶっ!?」


 苦虫を嚙み潰したようなひどい味だった。暗殺者一族の実家でたたきこまれた知識がなければ、逆にこれを毒だと思っていたかもしれない。


「ふう……」


 でも、これで一安心だ。解毒薬があってよかった。もしなかったら、残り少ない手持ちの上級回復薬を使うかロココに頼まないといけないところだったし。


 まあ自分の手もとに解毒薬なしで相手に毒を盛ろうなんて危険すぎて、よっぽどの狂人しかやらないだろうけど。


 さて。なんにせよ、これで――


「ゲスリー。これでもうあなたを守るひとはひとりもいなくなったよ? もうあきらめておとなしくしたらどうかな?」


 ――黒刀とともにまっすぐに、僕はゲスリーに降伏勧告を突きつけた。


 そうしながらも油断はしていない。あの暗殺者の男を倒すのに少々リスクのある手をとったおかげで体力も十分だ。


 ゲスリーがどう動こうともすぐに対応できるようにすでに足に魔力を集中し、いつでも飛び出せるように備えてある。


「ゲハハハハハァッ! おとなしくしろ? なぜだ? 俺はまだ切り札を切っていないというのに!」


 勝ち誇ったように高笑いを上げるゲスリー。同時にバッと大仰に両腕を広げた。


 ……やっぱりなにか隠し持っていたか。さあ、そこからどうでる? 魔法でも武器でも、そのモーションに入った瞬間に、僕がその腕斬り飛ばしてでも――いや違う!? まずい!?


 目の端でその変化をとらえた瞬間、僕は走り出していた。


「ゲハハハハハッ! 気づいたか! だがもう遅い! お前があの役立たずのクズ暗殺者と戦っていたあいだに、すでに仕込みは済ませてある! さあ! 俺の可愛い下僕(こども)たちよ! 来いぃ! この【闇】属性の魔物使い(モンスターテイマー)、ゲスリー・フールフリーさまのもとにぃ!」


 ゲスリーの後ろにうず高く積まれた木箱。100以上あるそれが、いっせいに膨張し、爆ぜ割れ、そして飛びだしてくる。


『『『ピィィィィィッ!』』』


「くっ!?」


 黒色粘体(ブラックスライム)


 一体一体は大型犬程度の大きさのそれがプルプルとゼリー状の体を震わせ、特徴ある反響音を奏でながら、ゲスリーを守るように僕の前に次々と降り積もっていく。


 ……くそっ! しくじった!


 その特性は知っていた。だから僕は距離をとり、下がらざるをえない。その変化にまきこまれないために。


 そして、次の手を打つために。


「さあ! 俺の可愛い下僕(こども)たちよ! 混ざれ! そして、溶かせぇ!」


「ロココ! 次に僕が合図したら、いっせいに呪紋を僕のいうほうにぶつけて!」


「う、うん! わかった、ノエル!」


 ……ん? 溶かす? 意味のわからない言葉が混ざってはいたものの、僕の想像どおりに事態は推移しはじめていた。


 

「あ、あ……! い、いや……!? ど、どんどん大きく……!? あ、あんなに大きく……!?」


「ゲハハハハハァッ! いいぞ! その調子だぁ! さあ! もっと大きく立派になった姿を俺に見せてくれぇ! 下僕(こども)たちよ!」

 

 粘体(スライム)系魔物が共通して持つ最も恐るべき特性。それは同族同士が近くにいると結びつき、合体すること――それも、際限なく。


 100体以上いることから考えると、もしかしたら【巨大(ギガント)】を超えて【超大(ヒュージ)】までいきつくかもしれない。


 だとしたら……!


 せっかく僕たちに因縁をつけてきたあの冒険者たちからまきあげた武器を売ったお金で新調したばかりの鞘だけど、しかたない……!


「うおおおおおっ!」


 黒刀を鞘に納め、頭の中に軌跡を描くと、僕は倉庫の外周へと向けて一心に走りだした。

お読みいただきありがとうございます。すでにブクマ、評価などいただきました方、深く感謝申し上げます。おかげさまでふたたび日刊ランキングに2日連続でのることができました! 


新しくお読みの方、ぜひ応援のほどよろしくお願いいたします!


そのお礼として、作者は精いっぱい更新をがんばっていきますので!

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