267話 〝赤キ月ノ夜〟6ー誘引という名の。
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ニーベリージュと、僕の妹ネヤ。
あのふたりの技の根幹は、やはりどこか似ている。
威圧と誘引。
そのふたつは、まったく真逆の性質ながらも常人にはない特異な魔力特性であるが以上、それは必然といえた。
「【天の蜜糸】」
毒々しいまでの赤い月が照らす空の下。
ロココと協力して迫る超大級の触腕を吹き飛ばした直後、まるで耳もとでささやかれたかのように、甘やかなネヤの声が僕の耳にとどいた。
この技も、そう。
対極となるニーベリージュの【追い立てる波】が殺傷力のかわりにその威圧の性質を極限まで高めたものだとするならば――
『ビ……ィィィィィィィィィィァァァッ!』
赤き終末の捕食粘体がその森を呑みこんだ巨体を歓喜に震わせ、ズズズ……!とその方向を変える。
『ビィィィィィォォォォァァァッ!』
そして、地響きを立て、走りだした。緩慢なさっきまでとはまるで違う、まるで荒れ狂う波のごとき速さで。
「よし! いくよ! ロココ!」
「うん! ノエル!」
まとう【黒衣隠形】の闇をあやつり、急速に降下。
一方のロココは、逆に赤い呪紋を楔に災厄の上部へとへばりつく。
そして、同時に。
「おおおおおおおおおおおおっ!」
「はあああああああああああっ!」
走りながら斬りだした。
僕は地を、ロココは災厄の体そのものを足場にして。
けたたましい地響きを立てながら急速に前へと進攻する赤き終末の捕食粘体のその側面を併走して、斬りつづける。
『ビィィィィィォォォォギァァァッ!』
今度は、災厄は見向きもしない。先ほどまでのように僕らに本能による食指すら動かさず、ただ一心不乱に前へと、そのかぐわしい蜜の先へと進みつづける。
たどるのは、一本の糸。
常日頃、ネヤが無自覚にふりまいている甘い蜜のような魔力、その誘いを――ただ一本の魔糸に凝縮し、滴らせ、延ばす。
それは、あたかも天上から降りそそいだと見まごうほどの極上の甘露となって、その雫にわずかでも舌先が触れたものを――
『ビィィィィィォォォォグィガァァァッ!』
――我を忘れさせ、求めさせる。それはもはや、誘引という名の暴力とさえいえた。
『ビ……ィィィィィィィィィィォォァァァッ!』
やがて、災厄の目がその蜜の源をとらえる。
艶やかな黒髪。濡れた唇。頬をほんのりと朱に染め、たおやかな手をしずしずと招くようにのばした――
『ビギギギギィィィガガガィィィギィァァァッ!』
その目には、もう蜜の源しか映らない。
――たとえ、それが。
「我は刻み、我は顕す! その純粋なる破壊の暴威をもって、我が敵を圧砕し、粉砕し、撃滅せよ! 【超重破壊黒球】!」
ニーベリージュに守られたディシーの詠唱。
黒き精霊の刻まれた【珠】が超大級へと肥大化し、正面から高速で迫るも、災厄の目はそれをとらえない。
そして。
「――さらにっ! いっくよー! クロちゃん! 【瞬間増幅】! 【超重破壊黒球・黒星大膨張】!」
『ビ、ガガグギギゴゴグィィガギィィァァァッッッ!?』
その【珠】が自らの脅威となるまでに急速に肥大化しても、衝突の瞬間まで、やはり気がつくことはなかった。
ということで、ディシーの新技炸裂です。詳細は次回。この災厄との戦いは、絵にしたら相当派手だと思います。
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2月1日更新!
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