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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第3部 光と闇と混沌と】2章 集う希望、蠢く絶望。

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263話 〝赤キ月ノ夜〟2ー叫び、嗤い、笑う。※

お待たせしました。応援いただき、ありがとうございます! 


本日もよろしくお願いいたします!



 その毒々しいまでの赤に染まる満月に、いつもは焦がれてやまないその光の下に、いられなくてよかったと、いまだけは心からそう思いました。


(うごめ)く赤い波が災厄となりて――』


 窓の外、私はまず、妹のププルフェの予言のうち波という単語(フレーズ)から、海に面した王都近郊の港町を視ます。


 赤く照らされた海は、静かなものでした。……といっても、相対的なものですが。


 【大海魔王】マーミィアクィン・オーシャンメインの魔力に魅入られ、事実上常に〝魔物大行軍(スタンピード)〟状態にあるほぼすべての海の魔物にとって、〝赤キ月ノ夜〟の影響はほとんどないといっていいでしょう。……あくまで知識として知っているだけですが。


 とにかく、いつもどおりに夜警にでている冒険者と上陸した少数の魔物、小さな家くらいはありそうな大きなイカやタコ型の水棲魔物との散発的な戦闘――たとえば魔法使いらしき少女が足を触手に絡めとられたり、それをリーダーらしき少年が激昂とともに光の剣閃で斬り飛ばしたりしている以外は、静かなものでした。


 それから、順々に。先の大規模討伐作戦の舞台となったドルギガ山岳地帯。古戦場跡。暗夜の森。それから、御神木のある山。


 王都から離れて、グランディガルド山脈のほうへと向かい、妖樹の森も。ときに、〈輝く月(ルミナス)〉のみなさまから聞いた冒険の逸話を胸に浮かべながら、赤く染まるそれぞれの場所を視ていきます。


 そして、王国との小競り合いが絶えず常に緊張関係を強いられる隣国、帝国のすぐそば。実質的にその緩衝地帯となっている廃都。……なんでも先日、一夜にして住民が忽然といなくなってしまった事件があったと聞きました。


 帝国が労働力、奴隷として接収したとか、恐ろしい力を持つ魔物が現れ、全員食べられてしまったとか、いろいろ噂だけはありますが、詳しい原因はいまも不明のままです。


 それに、住民が消えただけで街としての最低限の機能は損なわれていなかったことから、犯罪者や行き場をなくした人たちなど、新たな住民がまた徐々に増えてきているとも聞いています。……ひとって、本当にたくましいですね。


「ふう……」


 額の汗をぬぐい、長く息を吐きました。


 これで、ひととおり視たでしょうか。ひさびさに千視の眼を長時間酷使しすぎたからか、さすがに疲れました。


 テーブルの上に手ずから用意した紅茶とお菓子に手をのばします。


 ――うん。いい出来。


 さくり。


 目を閉じて休めながら手製の焼き菓子を頬張ると、甘い果実のジャムが口の中でほどけました。それを紅茶といっしょに味わいながら飲みこみます。


 これは、次の〈輝く月(ルミナス)〉のみなさまとのお茶会で披露しようと思っている私の新作です。


 秘匿され、行動を制限される私と妹のププルフェに国王であるお父さまが許してくれた、たぶんあと数年だけ過ごすことができるお友だちとの大切な時間。


 それが過ぎれば、お役目として、私は次代の千視姫を……おそらく、いまのままならば、あの方と。


 いまはこの地にいない、私たち姉妹とは違う正統なる王家の――


「…………え?」


 ――そんなとりとめもないことを考えていたから、気づけたのかもしれません。


 憂いとともに彼方を視ていたわたしが、それをとらえたのは。


「あれ……さっきも視た……暗夜の森……? でもいま、一瞬…………動……い……っ…………!?」


 その瞬間。はじかれたように椅子から立ち上がると、魔力通信器をつかみ、逸る気持ちのままに叫びました。


「お父さまっ! いますぐ〈輝く月(ルミナス)〉のみなさま、それから待機中の冒険者の方々に連絡をっ!」




  ――千視姫レーヤヴィヤの叫びとまったく同じ時。ふたつの場所で、ふたりの男女がそれぞれに声を上げた。


「ふん。お前の望みどおりに種は撒いてやったぞ。【錬金魔王】〝冒涜(ぼうとく)〟のアーリケ・リリミエスタ。さて。あとは高見の見物とさせてもらおうか……! あの凶人がつくりあげたこの災厄にお前たちがどう立ち向かうのか……! なあ、闇の勇者ノエル・レイス……! そして、いまこの王国に集いし――」


 毒々しいまでの赤い月の光に照らされ、いままさに中の生物や魔物、そして森そのものをも喰らい、増殖、肥大しつづける赤い粘体(スライム)を魔力を目に集中し、彼方から視ながら仮面の男が嗤う。



「うふふ。ご苦労さま。〝(イー)〟。さあ、暴れなさい。踊りなさい。そして、喰らいつくしなさい。際限なく魔力に焦がれ、求めるその衝動のままに。明ければ自ずから崩れ落ちる、わたしがつくりあげた泡沫の一夜の夢。ふふ。最初に立ち向かうであろう闇の勇者(あの子)は、どんな名前をつけてくれるのかしら? 素敵な名前だとうれしいのだけれど」


 煌々と照らされた豪奢な自室。


 その光景を閉じた金の瞳の中に視ながら、揺り椅子に座るふわふわとした白い髪の少女は、グラスの中の血のように赤い液体を薄い笑みとともに飲み下した。



ということで、いろいろと小ネタをはさみ、仕掛け人たちが高見の見物しつつ、レーヤがついに異変に気がつきました。いよいよ災厄を止めるために動きだします。




さて。ブクマ、高評価、いいね! などの応援いただきありがとうございます。まだの方、ぜひお願いいたします! 感想もご自由にどうぞ!


さらに、マンガBANGアプリとwebでコミカライズ連載中!

12月5日0時最新話更新予定!

マンガ分冊版とwebから全面加筆修正した電子ノベルもAmazon、DMM等各種電子販売サイトで発売中です!


そして、なんと前作「お湯が出せるだけのハズレスキル天恵お湯〜」がネット小説大賞11二次選考71作に残りました!

受賞できるかはわかりませんが、一定のクオリティーが認められたと思っています!



では、次回「〝赤キ月ノ夜〟3ー終末の捕食者」にて!

12月30日更新予定!


それでは、今後ともよろしくお願いいたします!

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