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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第3部 光と闇と混沌と】2章 集う希望、蠢く絶望。

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262/277

260話 前夜祭(1)。※

お待たせしました。応援いただき、ありがとうございます! 


別視点。210話以来となるあちらの視点です。

本日もよろしくお願いいたします!



 カチャ。


 煌々と照らされた豪奢な部屋。


 テーブルの上の紅茶をひと口飲み、ふう……と息を吐くと、ふわふわとした白い髪に真紅のドレスを着た愛らしい見目の少女は、()()に向けて、その薄桃色の唇を開いた。


「〝魔物大行軍(スタンピード)〟を起こせる――それが、【魔王】と()()()()()に至った超常個体の特徴のひとつ。一定程度以上の魔力に加え、わたしが与えた因子を持つも、まだその域には至らないあなたたちは――そうね? うふふ。さしずめ【魔将】といったところかしら?」


 そのつぶやきに、ふたつの寝台の上で野太い声と繊細な声、対照的なふたりの男のうめき声が上がる。


「なに……ひとりで……講釈おっぱじめやがった……! この……女……! こっちは、てめえの()()のせいで……いま……! 全身引き裂かれてるみたいな激痛に……苦しんでる……ってのに……!」


「クフ……フ……! よろしいではないですか……! ハルヴ……! 【錬金魔王】〝冒涜(ぼうとく)〟のアーリケ・リリミエスタという麗しの……淑女(レディ)より与えられたのであれば、この痛み……むしろ、極上の甘露というもの……! ああ……! 私の全身の血が無理やり抜かれて……入れ替えられていくようです……! クフフ……! たまりませんねぇ……! ああ……! これが体が()()()()()()という感覚ですか……!」


「ハッ……! てめえといっしょにすんじゃねえよ……! キュレ……! この吸血ド変態野郎が……!」


「うふふ。恍惚に、悪態。どうやら意識ははっきりしてるみたいだし、ふたりとも経過は順調なようでなによりだわ。では、遠慮なく勝手につづけさせてもらうわね? ハルヴ。キュレ。それと、〝(イー)〟?」


 心から満足そうに唇を孤につり上げると、愛らしい少女の見目をした魔王――【錬金魔王】アーリケ・リリミエスタは、ちらりと壁際に背をあずけて立つ沈黙を保つもうひとりの仮面の男に目を向けてから、ふたたび口を開いた。


「星辰。数十年、あるいは数百年に一度、時と場所が魔力に満ちたとき、異常活性、凶暴化した魔物たちが引き起こす人間たちにとっての災厄。それが本来の〝魔物大行軍(スタンピード)〟。そう。近くディネライア王国で起こる〝紅キ月ノ夜〟のように。けれど、人間たちも馬鹿ではないわ。予言に、過去に起きた事象。それらを紐解き仕組みを研究解明し、未然にそれに備えるようになった。つい先ごろ行われた大規模討伐作戦のように。そして災厄は最小限に抑えられ、いつしか名ばかりのものとなった。けれど」


 そこで一度【錬金魔王】アーリケは、その金の瞳と口を閉じる。


 そして、「「うぁぁ……! あぁぁ……!」」と佳境に達した肉体の変化に、もはや一切の余裕をなくした実験体二体のうめき声に心地よさそうに目を細めると、ふたたび口を開いた。


「例外があった。それが【魔王】。時も場所も選ばず、自らの膨大な魔力から発する影響のみで〝魔物大行軍(スタンピード)〟を引き起こせる、まさに人間たちにとって脅威にして災厄同然の個体。もっとも【獣魔王】なら獣、【死霊魔王】なら死霊系(アンデッド)のみといったように、本来の〝魔物大行軍(スタンピード)〟よりもその影響範囲は自らの魔力の質によって限定されてしまうし、うふふ。魔力組成を改造して周囲に影響しないようにしたわたしや、別の理由のもうひとりのように、いまの【七の魔王】の中でも〝魔物大行軍(スタンピード)〟を起こせない例外もいるけれど」


 ようやく体のつくり変えが終わり、激痛から解放された実験体二体は寝台の上で上半身を起こし、「「はぁ、はぁ……!」」と荒く息をつく。


 〝魔物大行軍(スタンピード)〟を起こせないという、【七の魔王】として欠陥ともいえるその事実。だがそれを耳にしても、この二体の実験体のアーリケに対する畏怖は少しも揺らぐことはない。


 たったいま完了した自らの体に施された処置――魔力を抑え、()()()()()()()()する――と、逆にいえば、〝魔物大行軍(スタンピード)〟を起こせるほどの膨大な魔力を完全に抑えこむほどの卓越した技術。


 そして、いま自分たちがいるアーリケの拠点たるこの城。そのおよそ()()()()()場所こそが、その気になれば〝魔物大行軍(スタンピード)〟をたやすく超える地獄をアーリケがつくりだせるという事実にほかならず。


 ゆえに、いまはまだ二体はアーリケにその頭を垂れる。


 利用し力を手に入れ終えた暁には、その細首に牙を突き立て(すす)り喰らう――奇しくも同じ欲望に、唇をぺろりと短くなった舌で(ねぶ)りながら。


「うふふ。なかなかの出来ね。一時的とはいえ、〝人間〟になり下がった気分はどうかしら? 【狼魔将】ハルヴ。【血魔将(けつましょう)】ラルド・キュレ。では、そこにいる〝E〟も加えて説明をはじめましょう。間近に迫った【創魔(カニバル)争喰祭(・カーニヴァル)】――わたしの一大実験にして、あなたたちが相争い新たな【魔王】を決めるための舞台について」


 そして、実験体の面従腹背(ふくはい)のその思惑などすべて見通した上で、【錬金魔王】〝冒涜〟のアーリケ・リリミエスタは、嘲笑うように優美に唇に弧を描いた。



ということで、【錬金魔王】の勢力がいよいよ【創魔(カニバル)争喰祭(・カーニヴァル)】に向けて動きだします。その内心はバラバラですが。アーリケの思惑どおりに。



さて。ブクマ、高評価、いいね! などの応援いただきありがとうございます。まだの方、ぜひお願いいたします! 感想もご自由にどうぞ!


さらに、マンガBANGアプリとwebでコミカライズ連載中!

また、webから全面加筆修正した電子ノベルが各種サイトで発売中です!


さらにさらに、先日より別作品「ダンジョン暮らし〜」「クビからはじまるぶっぱ無双」を公開中ですので、よろしければそちらもよろしくお願いいたします!


クオリティは、この「闇属性」に劣らないと自負しています!


以下のリンクからそれぞれ読めますので!



では、次回また書き上げ次第!

あと1話あちら側の視点を挟み(2話に増えました)、2章最終盤の〝紅キ月ノ夜〟へと突入する予定です。


それでは、今後ともよろしくお願いいたします!

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