257話 あっさりと。
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久しぶりの主人公視点!
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『ゴグァァァァァァァッ!』
風の竜………!?
〝闇〟をまとい走る僕の目が見定めたのは、右の翼をもがれ、腕から血を流した巨体が怒りと憎悪の咆哮を上げるそのうしろ姿。
残るその強靭な左の爪が、剣を振りきり硬直した僕と年のさほど変わらない少年へとまっすぐに向かい――
「うおおおおっ! レイス流暗殺術! 奥義!」
――その瞬間、足に魔力を集中した僕は爆発的に加速し、考える前にその刃を目の前の敵に突き立てる。
「【虚影零突破】!」
『ゴグゥガガォォォォアァァァァッッ!?』
残る左の翼と腕を吹き飛ばされた竜が痛みと苦悶に絶叫し、その赤く血走った目がぐりんと僕の影をとらえた。
『ゴウグガァァァァァァァッ!』
両の翼と腕を失った巨体がその残る武器――強靭な尻尾を鞭の、嵐のように振りまわす。
高速全力攻撃と、それすらも隠す超高レベルの【隠形】という、まったく違うふたつの魔力の使いかた。
それを同時に行う奥義の代償に、一時的に魔力制御がガタガタになった僕に、当然その尾を避けることはかなわない――
「奥義……!」
ヒュン……!
――いままで、なら。
「【虚影零突破】!」
『ゴギガアァァァァァァッッ!?』
半分ほどに減じた黒い尾を引く〝闇〟をまとい、一気にうしろに跳躍。
そして、一瞬で距離を詰めなおした僕の二度目の一撃がその強靭な尾を吹き飛ばした。
『ゴウガッ!? ゴウガアァァァァァァッ!?』
残る武器を失い、血眼になりながら周囲にいるはずの僕を探す風の竜。だが、すでに僕はそこにはもういない。
「奥義……!」
ヒュン……!
「【虚影零突破】!」
『ゴグガッ………………………!?』
そして、一瞬の隙をついて肉薄し突き立てた僕の三度目の一撃がその断末魔ごと風の竜の頭を吹き飛ばした。
「ふう……」
安堵の息を吐く僕の体から、まとう〝闇〟が急速に薄れていく。
――やっぱり、いまの僕には三発が限界か。
あの火の勇者フラレムとの決闘の最中、ついにその力の片鱗を引きだすことに成功した闇の聖剣。
そして、その後も聖剣と向き合い、訓練をつづけることで編みだしたのが、この黒い〝闇〟をまとう【黒衣隠形】。
その禍々しい見ため以上に、いままでの【隠形】との最も大きな違い――それは、僕の魔力に依存しないこと。
そう。高速全力攻撃を僕の魔力、それすらも隠す超高レベルの【隠形】を闇の聖剣が生みだす魔力で分けて制御する。
それにより奥義の欠点である反動による硬直を完全に失くし――さらには発展させ、連発さえも可能にした、これが新たなかたちとして進化した奥義【虚影零突破】。
まあ、もっとも最初の一撃以外は、さすがに完全に相手の意識の外からとはいかないだろうから、二撃目以降の威力はたぶん二割減ってところだけど。
それでも十分以上に強力な、いまの僕がほぼ条件なしに放てる最大の切り札だ。
そう。少なくとも、魔物最強種のひとつである竜をこうしてあっさりと、最初に急所をはずしても僕ひとりで倒せるくらいには。
「闇の……勇者…………!」
ぼそりと聞こえてきたそのつぶやきに目を向ける。
僕と年のさほど変わらない、満身創痍の少年が僕を見つめていた。
敵意と感謝、困惑とあきらめ、そのすべてがないまぜとなってぐるぐると回る――ぐちゃぐちゃな渦のような目で。
ということで、主人公ノエル、あっさりと竜を倒しました。新しくなった奥義の最も優れているのは、無防備になる瞬間がないことです。限界を超えれば別ですが。
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では、次回「ぐちゃぐちゃもどろどろも」にて!
10月4日公開!
大規模討伐作戦編次回含め、あと2話!
ついに出会ったノエルとユースは、はたして……?
それでは、今後ともよろしくお願いいたします!





