253話 逃亡。※
応援いただき、ありがとうございます!
※別視点。
本日もよろしくお願いいたします!
「あの……なぜ、斬らなかったのですか?」
いま、目の前であっさりと巨大級の醜鬼を屠った黒く長い髪の女の子――闇の勇者パーティー〈輝く月〉のひとり、ネヤ・レイスは、くるりと振り返るとそういった。混乱の極致にある、俺に。
さっき「ユースさま」と呼びかけてくれたときの潤んだ瞳とは打って変わった、冷たい――いや、目の前の俺を見ていないような目で。
「先ほど、巨大級が貴方の目の前に倒れたときです。ご自慢の【光烈閃】とやら、威力だけは申し分のないあの技を放っていれば、それで終わっていたと思いませんか? 隙だらけだったのに、なぜ?」
――答え、られなかった。だって、俺は、あのときもう疲れてて。攻撃が通じなくて、必死に逃げまわって、いっぱいで、だから。
そんな、だまったままの俺に向かって、ネヤ・レイスは、ゆっくりと唇を弧につり上げる。
「……わかりました。なら、せめて邪魔にならないように、気をつけてくださいね?」
それは、とても、見惚れるほどに綺麗な笑みで形づくられた、心からの憐憫だった。
「はあっ……! はあっ……! ぜぇっ……! ぜぇっ……! はあっ……! はあっ……!」
――逃げて、いた。
俺のことなど歯牙にもかけない、あの笑みの前から。もしかしてこの女の子、俺のこと!?なんていまとなっては体を掻きむしりたくなるような情けない勘違いの前から、いたたまれなくて。
俺は――戦場を逃げだしていた。
「くそっ、どこだよ……!? こ、げほっ!? かはっ!? けほっ、げほっ!?」
一心不乱に駆けつづけた俺は、酸欠でまわらない頭で、きょろきょろとあたりを見まわしてそうつぶやく。
いつのまにか、ぽつぽつとだが緑が生えている。さっきまでいた戦場の岩場とはだいぶ雰囲気の異なるところまで来てしまっていた。
っつーか、マジで冗談抜きに喉が渇いて痛くて、苦しい……!? 手持ちのぶんは道中で飲みきっちまったし、や、やべえ……!? ど、どっかに水場は……!?
「はあっ……! はあっ……! やっと……見つけた……! もう……! なんで独りで、こんな奥のほうまで走ってんのよ……! このバカ……!」
「プリ……ス……!?」
うずくまり、動けないまま必死に水場を探し求める俺の耳に、もう聞き飽きるくらいに耳なじんだ声が聞こえてくる。
見上げればそこに、身につけた白いフードをはだけ、黒髪から汗を流し、息をきらせた俺の幼なじみが――俺のパーティー〈熱き血潮〉所属の水魔法使いの少女プリスが立っていた。
――心から俺を、心配するような目で。
ということで、前話のネヤの「ひどい」の答え合わせを受けて……ユースが逃亡しました。が、そこに口うるさいけど、可愛い幼なじみが駆けつけます! ……なんだこいつ? 主人公か? 的なところで次回!
さて。ブクマ、評価、いいね! などの応援いただきありがとうございます。まだの方、ぜひお願いいたします! 感想もご自由にどうぞ!
さらに、マンガBANGアプリとwebでコミカライズ連載中!
また、webから全面加筆修正した電子ノベルが各種サイトで発売中です!
さらにさらに、先日より別作品「クビからはじまるぶっぱ無双」「ダンジョンで暮らして〜」を公開中ですので、よろしければそちらもよろしくお願いいたします!
クオリティは、この「闇属性」に劣らないと自負しています!
以下のリンクからそれぞれ読めますので!
さと、大規模魔物討伐編、最終盤突入しました!
次回また「棒きれと、手のひら」にて。9月17日公開します!
それでは、今後ともよろしくお願いいたします!





