249話 〝黒の花〟舞う。※
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岩山の中腹に開けた乾いた石と砂の広場に、地鳴りのような足音と奇声が響きます。
『『ゴオオオオォォォッ……!』』
「それにしても助かりました。先行した獣型や巨虫型の魔物をディシーが引きつけてくれて。やはり亜人型のほうがわたしには向いていますから。ある程度の知能と、わたしを摘もうとする意思を持つこうした不埒もののほうが――とてもとても御しやすいのです」
小型の醜鬼、豚鬼、剛鬼、緑や赤、青、黄、そして黒。奇声を上げて向かってくる上位下位含めた大小の亜人型の魔物の群れに、わたしはしゃなり、と艶めく黒い髪と裾丈の短い着物の袖を揺らして前に立ちます。
薄く紅を塗った唇を優美につり上げ、ことさらに自らの存在を印象づけるように。
――わたしのお師匠さまは、最初にこうおっしゃられました。
(本格的な鍛錬をはじめる前にいっておきましょう。ネヤ。貴女はわたくし――サーシィ・サーザードにはなれません。そして、貴女の知る至上の〝無手〟の使い手にも、おそらくなれないでしょう)
そして、こうつづけられたのです。
「貴女がなるのは――最高の使い手となったネヤ・レイスなのですから」
そのときのお師匠さま――わたしの指針ともなったその言葉を口にして自らを奮い立たせながら、まっすぐに前を見つめました。
その遠い頂への階をどこまで上れたのかはわかりません。ですが、そのお師匠さまとの鍛錬の成果、いまはあますことなく、この場で存分に披露させていただきましょう……!
「【天網】」
まずは、一舞。虚空に円を描くように、流麗に、薫るように長い袖を振り、つう、と伸ばした指先からあたり一帯に魔糸を撒きます。
そう。〝黒の花〟として、レイス家当主たる愛するノエルにいさまに捧げるために磨いてきたこの所作をいま――にいさまのとなりで戦うための力に変えるのです。
すでにあたりに満ちた〝誘引〟の魔力とともに、目の前の有象無象を花へと導く甘き誘いとして。
『『ブオオオオォォォッ……!』』
――お師匠さまとの鍛錬は、まず〝知る〟ことからはじまりました。
お師匠さまのような、経験則と天性の勘に裏打ちされた鋭い洞察力もなければ、至上の〝無手〟の使い手たるレーヤヴィヤ姫さまのような、すべてを見透す神のごとき眼ももたないわたしが、いったいどのようにして〝視れば〟いいのか。
『『ギシャアアォォォッ……!』』
その答えは、ずっとわたしの手の中にありました。そう、いまもこの指先に――流した魔力とともに触れたものの感覚を伝えてくる、わたしの〝糸〟を通して。
ニ舞。ゆら、と。足に魔力を集中して、わたしはこの石と砂の広場を舞台に足を運びます。けっして速くはなく、遅くもなく。揺れる蝶のように、流れる蜜のように。
『『ブゴギシャォォォッ……!』』
ゆらとかわし、手を伸ばせばとどくと錯覚させて、誘い、惑わせ、導きながら、亜人型の魔物たちすべてに幾重にも幾重にも魔糸を絡めていきます――そして。
「頃合いですね。レイス流花護術、【花摘ミ手折リ】――【絡】」
足運びを止めると、両手を胸の前で交差させて、強く魔力を通した〝糸〟で一気に手折りました。
『『ブ、ブグガグギャァァァッッ!?』』
一つの群体として見立てたその亜人型の群れを、より複雑に絡まりあうように。
まず、豚鬼のへし曲げた腕で小型醜鬼の首を折り、同時に剛鬼を前のめりに転ばせて、その下の豚鬼や醜鬼をつぶします。そしてまた小鬼の腕を、豚鬼の足を、あるいは剛鬼の首を直接――そして。
『『ブ……ゴ……ギ……ギシャ……』』
倒れ伏す屍と、そのなりかけの山。舞い終えたわたしがふう、と息をつくその前には、惨憺たる光景がつくられていました。
ほかならぬわたしの――〝糸〟によって。
ということで、魔糸を使いこなせるようになったネヤ無双でした! まだつづきます!
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次回「巨大級と、踊る〝光〟」
引き続きネヤ視点。
では、また書き上げ次第。
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