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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第3部 光と闇と混沌と】2章 集う希望、蠢く絶望。

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246話 だれでもできる魔物討伐。※

※別視点。


本日もよろしくお願いいたします。




『『ゴオオオオォォッ……!』』


 岩山の上方、奥から唸りと地響きを上げて迫りくるおびただしい数の獣類や地を這う巨虫を中心とした魔物の群れに向けて、あたしは両手を前に突きだした。


 そして、"クロちゃん"――【黒元の精霊魔女(ダークエレメンテス)】たるあたしの精霊を魔力をこめて力いっぱいに撃ちだす……って、ちがうちがう!? その前に!


『あ、あー! み、みんなー! お待たせー! あたしが魔法撃ち終わったら、みんなもう動いていいからねー! あ! でもでもネヤちゃんの邪魔したら、だめだから!』


 ふう、あぶないあぶない……! あわてて段取り忘れちゃうとこだったよ……! ひとに指示だすのって、たいへんなんだね……。普段からやってるノエルはすごいなぁ……。よーし、今度こそ……!


 手にした小型拡声魔道具をしまいこむと、ふぅ〜、と一度息を吐いてから、ふたたびあたしは正面へと手を向けた。そして、唱える。


「我は刻み、我は(あらわ)す! ()()()()()黒き渦よ! 逆巻け! 呑みこめ! (かたち)あるもの、容なきもの! 誘引し、掌握し、総ていま我が手の中に!【黒き奔(ブラックホール・)流の渦(ヴォルテックス)――衛星(サテライト)】!」


 迫りくる無数の獣類を中心とした魔物の群れ。その目前にたくさんの小さな黒き渦が顕現する。


『『ゴオオオオォォッ!?』』


 ――そして、その瞬間。戦いの大勢は決したのだった。



「貫け! 【螺旋(スパイラル)槍牙(・ファング)】!」


「……焼き尽くしなさい! 【業火滅焼(オーバー・フレイム)】!」


『『ゴブガオォォォッ!?』』


 わぁ〜。みんなすごいなぁ〜。


 あたしがつくった()へ向けて、すごく強そうな槍使いの冒険者さんが魔力をためた錐揉み状の一撃を放った。


 別のところでは、女のあたしから見てもすごくスタイルのいい大きな帽子をかぶった女冒険者さんが長い時間をかけて生みだした大きな火球で別のひとつの的を丸ごと焼きはらっている。……胸は、あたしのほうが少し大きいかも。


 そんなとりとめもないことを考えながら、あたしはゆっくりゆっくりと退がっていた。魔力をこめた両手をまっすぐに前にかざしたまま。


 的――魔物たちをたくさんたくさん吸いこんだ、あたしのつくったそれぞれの"渦"が消えないように。


 ――目や手や足への魔力の集中、強化。苦手だったそれをたくさんたくさん訓練して、ようやくできるようになったあと、思ったこと。


 これ……、あたしには、あんまり意味ないなぁ……。


 もちろん、ロココちゃんといっしょに戦ったあのときの無力さも悔しさも、忘れてはいない。だからこそ、必死に訓練したんだし。


 でも、いざできるようになってみると、直接前に立って戦うわけでもない魔法使いのあたしには、それでできることがたいして増えるわけでもなくて。


 だから、あたしは――そこで終わらずに、もっとたくさん訓練してみることにした。手や足だけじゃなく、この指先のひとつひとつにまで、魔力を集中できるように。


 その結果得たのがこの、いままでとは比べものにならない魔力と魔法の精密な制御。たとえばいまなら、短い時間しか保てなかったそれを指先から微小の魔力を流しつづけることで、長く長く維持しつづける。


「「はぁっ! おおおっ! やあぁっ!」」


 まだ駆けだしくらいに見える若い冒険者パーティーがいっせいに攻撃して的をひとつつぶしたのを見て、あたしはひとつ指をたたんだ。


「プリス……! あわせて……!」


「わかった! マジク!」


 あ、上手い……! 風の嵐と氷のつぶて。まだ少年少女といっていい魔法使い同士の見事な連携でまたひとつ的がつぶれてあたしは指を折る。


 うん……! やっぱり、このやり方が正解だったね……!


 この"黒き渦"の魔法をこの戦いにあたしが選んだ理由。それは、これが一番安全だったから。


「撃ち抜け!」


「せいっ! とぉっ!」


 実力も経験も性格も、どんなひとたちが来るかもわからない、きっと連携もとれないこの戦場では、これが一番安全で、だれも傷つかない……傷つきにくい戦いかただったから。


「どらぁっ! ……まったく、魔物の大群を前に、『指示をだすまで待て』とかめちゃくちゃなこといいだすから、おいおい。このお嬢ちゃんたち大丈夫か? と一時は本気であせったぜ」


「はは。本当にな。だが、いざ蓋を開けてみればこれだ。この高難度クエストが、見ろよ」


「うおおっ! 【巨岩断ち(ガイア・クラァッシュ)】ッ! ……や、やった! 実戦で、はじめて決めた……!」


「くく。喜んじまってまぁ。ま、あんな溜めの長い未完成の技まで動かない的に試せる訓練場に早がわりってわけだ。……とんでもねえぜ。上空でずっと暴れつづけてるあの褐色の娘といい、お嬢ちゃんたち三人とも。くく。年甲斐もなくファンになっちまいそうだ」


「と、そういやぁ知ってるか? ちと小耳に挟んだんだが、なんでも王都では魔力撮影器とかいう新型魔道具で作成された、それは精巧なあの娘たちの肖像画が売られてるって――」


 ――え!? なにそれ……!? そんなの、あたしたち聞いてないよ……!? あ!? で、でもたしかに少し前に王城に呼ばれて、はじめて見る魔道具で、さつえい? とかいうのされたけど……!?


 ううぅ……! ていうか、あんまり近くでうわさしないでほしいなぁ……! ゆっくりとしか退がれないから逃げだせないし、恥ずかしいったらないよぅ……!


「あああ……! ちげぇ……! ちげぇよ……!」


 そんな、どこか弛緩しはじめた空気の中、突如としてそれは聞こえてきた。


 湧き立つまわりの冒険者の中浮かび上がった、あせったような、どこかせっぱつまったような、声が。


「こんな、こんな……! だれでもできるお膳立てされた的つぶしなんかをするために、俺はこんなとこに来たわけじゃねぇんだ……! くっそおぉぉぉぉっ!」


「あ!? ユースっ!?」


 そして、その声の主の男の子は走りだした。つぶしたばかりの的の前で立ちつくすのをやめ、静止をかける仲間らしき女の子の声も聞かず。


 最前線――あたしが"渦"に巻きこみきれなかった知能の高い亜人型魔物たちを引きつけて、いまも舞うように戦いつづけるネヤちゃんのところに。






ブクマ、評価、いいね! などの応援いただきありがとうございます。まだの方、ぜひお願いいたします!

感想もご自由にどうぞ。


マンガBANGでコミカライズ連載中!

また、webから全面加筆修正した電子ノベルが各種サイトで発売中です!


さて。ということで、成長したディシーの活躍でした。


また、先日より別作品「クビからはじまるぶっぱ無双」を公開しましたので、よろしければそちらもよろしくお願いいたします。


スクロールした以下のリンク先よりお読みいただけます!



では、また書き上げ次第。

それでは今後ともよろしくお願いいたします。

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