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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第3部 光と闇と混沌と】2章 集う希望、蠢く絶望。

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211話 強くしてください……!

2章のプロットがほぼ完成したので、再開します。

本日もよろしくお願いいたします。

「ノエルにいさま……! お願いです……! どうか、わたしを強くしてください……!」


 元レイス家の暗殺者たちの襲撃を退けた数日後。ディネライア王国、王都にある僕たち〈輝く月(ルミナス)〉の拠点。ブラッドスライン家の屋敷のリビング。


 朝食を終えて、そのままみんなでテーブルを囲み、お茶を楽しんでいたどこかまったりとした時間に、ふたりがけのソファに座るとなりから突然そう告げられる。


 僕の“妹“ネヤ――縛られたそのおぞましい“真花“という使命からようやく解放することができた最愛の家族。


 その、すぐ目の前に映しだす僕と同じ黒曜石のような色の瞳が、はっきりとした意志の光をもって、輝いていた。


「理由を聞かせてくれる? ネヤ」


「わたしは……わたしは……! なにも……できませんでした……! あのとき……なにも……!」


 まっすぐに見つめる僕に応え、ぎゅうっと着ている着物の片そでをつかみ、うつむき小さな体を震わせながら、ネヤは語りだした。


 元レイス家の暗殺者――僕が殺した”左刀“スライ・レイスに襲われたあのとき。手も足もでなかった、あまつさえ最後にはただ座りこんでしまった自分への、その後悔を。


「わたしは……守りたかったんです……! わたしを守ってくれたにいさまを……! 今度は、わたしが……って……! なのに……! わたしがにいさまのその手を……あんなにいやがっていたその手を……汚させてしまった……!」


「ちがうよ。ネヤ。あれは僕が――」


「わかっています……! にいさまは、後悔なんてしていない……! それでも、わたしは……! わたしが……いやなんです……!」


 すっ、と音もなくネヤが立ち上がる。ぎゅうっと右手でその小さな胸をおさえながら、その黒く艶やかな長い髪をふり乱し、叫んだ。


「もう守られてばかりは、いや……! わたしは、にいさまの力になりたい……! それだけじゃありません……! わたしは、ここが好きなの……!」


「ネヤ」


「ネヤちゃん……」


「ロココ、ディシー、ニーベ……! “家“をとびだしたわたしを受け入れてくれた、わたしの大切なひとたちと……! わたしは、本当の仲間(かぞく)になりたい……!」


 みんなに向けて思いのたけを叫ぶネヤのその瞳からは、あふれだす想いと同じように涙がぽろぽろとこぼれていた。


「だから、お願いします……! わたしは、強くなりたい……! もう待つだけなのも、守られるだけなのもいや……! 〈輝く月(ルミナス)〉の一員として、戦えるように……! みんなとずっといっしょにいたいの……!」


 すっ、とネヤが頭を下げる。それは、とても洗練された仕草で、“花“として育てられたネヤの、いまの精いっぱいの気持ちをあらわしているかのようだった。


「……わかった。いいだろう」


 ――いままでただひとり、一度も口を開くことのなかったニーベリージュが立ち上がり、そして、虚空にその右手を振るった。


 次の瞬間、バチバチとした青い光とともに、その手の中には槍斧(ハルバード)が握られていた。


「ニーベ?」


「ニ、ニーベさん!?」


「ニーベ!? ネヤになにを……!?」


「ノエル。本来なら、リーダーである君の役目ではあるが、ここは私にゆずってもらおう……!」


 ガタっと次々に立ち上がる僕たちに一べつもくれることなくそう告げるとともに、ニーベリージュの槍斧(ハルバード)の切っ先がまっすぐにネヤへと向けられた。


「さあ、私と戦え……! ネヤ・レイス……! 君になにができるのか、その力を私に見せてみろ……! その覚悟が――命をかける覚悟があるのなら……!」



 そして、少しのあいだ、びくりと立ちすくんでいたネヤはやがて――


「はい……! それこそが、わたしの望みです……!」


 ――ニーベリージュの色違いの紫と赤の瞳をまっすぐに見すえ、うなずいた。


 その黒曜石のような瞳に、はっきりと決意と覚悟の光を宿して。






ブクマ、評価、いいね! などの応援いただきありがとうございます。


ということで、ネヤ対ニーベ開始です。


次回「10歩」別視点。


お気づきかと思いますが、ある理由により、今回から使う記号を増やしました。読みやすくなっていれば幸いです。


それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

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