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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第3部 光と闇と混沌と】1章 すべて僕のものだ。

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206話 なにを犠牲にしても。

本日もよろしくお願いいたします。

 ――その瞬間、僕の体は、よどみなく動いた。



 ネヤが、僕の【妹】が、【蛇】のような異形の形相と化したスライと相対している。


 足をがくがくと震えさせ目に涙をためながら、それでも決意を秘めた顔で、必死に。


『モうおイたの時間は終ワりや……!』


「いやです……! もうわたしは逃げません……! わたしとにいさまの未来をこれ以上、邪魔しないで……!」


『ガっ……!? アッああアああァぁっ!?』


 その【真花】としての膨大な魔力を用いて、迫るスライの四肢を文字どおり次々と手折っていく。


 【隠形】を用いての奇襲ならば別として、【レイス家】最高の魔力を持つ【真花】であるネヤに正面からでは、スライが敵うはずもなかった。


 けれど。


『アあああがアぁぁぁァァッっ……!』


「な、なぜ……? なぜなのです……!? なぜ倒れないのですかっ!?」


 その尋常ならざる狂気は、手折られるたびに、おさまるどころかいっそう膨れ上がっていくように見えた。


 徐々にスライがネヤに迫っていく。粉々に折られた四肢を真っ黒な魔力で固めてまでも進む、止まらない狂気のかたまりが。



 ……左腕。右足。


 魔力を集中させて、損傷した部位を固める。


 いつかは、来る気がしていた。僕がどんなに望まなくとも、戦いに身をおく以上は。いつかは、この時が。


 そして、その時には迷わないと決めていた。


 だって、僕には絶対に守りたいものがあるのだから。……たとえなにを犠牲にしても。


「いやぁぁっ! 来ないでぇぇぇっ!」



 ……違うよ。ネヤ。君にいつかそのときがくるとしても、それは、いまじゃない。


 ――その瞬間、僕の体は、よどみなく動いた。



『ア……!? あァ……あ……!?』


 【隠形】で一気に接近し、狙いどおり、寸分たがわずその左胸を背後から刺し貫く。


『ガっ……!? はッ……!?』


 後ろでに振り向き、ごぽ、と血の泡を吹くスライと目があった。その血色を失いつつある肌の色は、いままさに命が失われていくかのようで。


 反射的に引き抜くと、べっとりと塗れた赤い血が青と黒の刃から滴り落ちた。


 見下ろすその口もとがゆがみ、かすかにつり上がる。


「なん……や……。できる……や……ない……ですか……。ノエル……()()……」


 そして、全身の力が抜けたように、僕へと倒れこんできた。


 ――そのあと、最期にスライが告げた言葉は、僕にしか聞こえなかったのかもしれない。



「これで……【レイス家】……は……。ぼくも……安……し……」



 ハッとして顔をのぞきこんだそのときには、スライはすでに絶命していた。


 どこか、なにかをやりとげたような満足そうな笑みで。



 ――僕の手の中には、ただ消えない感触だけが残っていた。






ブクマ、評価、いいね! などの応援いただきありがとうございます。


ということで、ノエルの覚悟でした。


次回「守れたもの。」


では、また明日よろしくお願いいたします。

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