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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第3部 光と闇と混沌と】1章 すべて僕のものだ。

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203話 僕の勝ちだ。

本日もよろしくお願いいたします。

「うおおおおお!」


「ジャアアアアッ!」


 日がまもなく沈み終える、昼と夜のはざま。


 向かいあう僕とスライはふたたび刃をぶつけあう。同じ軌道、同じタイミング。ただし、僕のほうがわずかに鋭く。


 ここだ……!


 そして、衝突の直後、僕は刃をもう一度スライの変化を始める前の刃にカチン、とあわせた。


「なっ……!? また………!?  があぁっ!?」


 それだけで、あてが外れたように大きく態勢をくずしたスライ。その隙を見逃さず、僕はその両腕をすばやく斬りつける。


「ちぃぃっ!?」


 悪態をつきながら、スライが跳び退る。それを見とどけながら、僕はふたたび刃をちゃきっと構えた。


 いまのは、すぐに退かれたせいで、大したダメージにはならなかった。けど、すでに何度か同じように腕を攻撃しつづけている。このままいけば、おそらくあと一、二回で刀を握れなく――戦闘不能にできるはずだ。


 そんなことを考えつつ、次の攻防を頭に描いていると、ぶつぶつとつぶやくスライの声が僕の耳にとどいた。


「なんでや……!? なんで曲がらん……!? ぼくの【蛇刀】が……! なんでやあぁぁぁっ!」


 よほどあの【蛇刀】に信頼をおいていたのだろう。どうやら、ずいぶんと参ってしまっているらしい。


 いうまでもなく奥義をひとつも使えないことをのぞいて、この【左刀】のスライは同格の【右刀】のバーリオに勝るとも劣らない実力者だ。


 けど、さっき僕が【蛇刀】について軽くゆさぶったときのあの反応。


(さすがは奥義をひとつも習得できなかったお前が大金を積んでまでつくった専用武器だけあるよ。あ、【左刀】になれたのもその刀のおかげだっけ? ねえ、【蛇咬】のスライ)


(……ホンマけったくそ悪い、口の減らへんガキや……!)


 これは、使()()()……!


「スライ。まだわからないの? まあしかたないか。所詮は大した実力もないのに、そんな【蛇刀】なんていう武器だよりで【左刀】になれただけの、本当はただの三下暗殺者だもんね? あーあ、【右刀】なんて並び称されてるバーリオもかわいそうに。あっちは努力の甲斐あって【虚影零(ゼロハイド・)突破(ストライク)】まで習得したっていうのにさぁ」


「なんや……! どういう意味や、それは……! ぼくがあの脳筋バーリオに劣るとでもいうんかぁ……! それだけやない……! オマエがぼくの【蛇刀】になんかしたとでもいうんかぁっ……!」


 いつもの小馬鹿にしたような余裕の笑みはもはや見るかげもなかった。顔面にいくつもの青筋を立てて激昂し、スライが吠える。


 よし、あとひと押し……!


「さあね? わからないんなら、もう一度やってみればいいんじゃない? まあ何度やっても同じだとは思うけど」


「よういった……! なら、受けてみろや……! その距離から、なんかできるいうんならなぁ! さぁ! 咬めや! 【蛇刀】!」


 叫ぶと同時、長刀の刀身がぐにゃりと曲がり、鞭を思わせる変則的な軌道で僕に迫った。


 ――そう。こうなれば、もうただの鞭だ。


「なっ……なんやとっ……!?」


 一回、二回、三回。


 スライへと高速で接近しながら、曲がりくねった鞭のような【蛇刀】の刀身をたたき、微細な魔力をそのたびに流す。


 それだけで、ぐにゃりと折れ曲がっていた【蛇刀】が変化を解除され、もとの長大な刀身をとりもどした。


「ぐっ……!?」


 その急激な変化についていけず、刀を振っていたスライが前のめりにがくりとバランスをくずす。


「まさか……!? この短時間で【蛇刀】を変化させる魔力の質を見極めたとでもいうんか……!? 対となる質の魔力を流すことでもとの直刀に無理やり戻したとでもいうんかぁっ……!? そんなことできるわけないやろっ……!?」


「できるさ。僕をだれだと思ってるの? もと【左刀】――【蛇咬】のスライ。レイス家現当主ノエル・レイス。レイス流暗殺術のすべてを修めた歴代最高の使い手だよ」


「がぁぁぁっ……!?」


 肉薄すると同時、まだ驚がくから立ち直れないスライの右手を斬りつけると、まずはその手のひらから【蛇刀】がぽろりとこぼれ落ちた。


「ま、まだや……! まだ……! この痛みも消せる【原液】を配合した特製魔薬さえ飲めば、があぁっ!?」


 とっさに下がるスライが左手で懐からなにかをとりだそうとすると同時、追いすがりざまに斬りつけると、何本かの小瓶がその左の手のひらからこぼれ落ちた。


 ――そのまま、カシャンと乾いた音を立てて、真下に黒くどろりとした液体だまりをつくる。


「が、あ、あああぁぁっ!?」


 さらに、返す刃で右足と左足を二度ほど斬りつけると、もうスライは刀を持つことも、立っていることもできなくなる。そのまま、がくりとひざをついて、あっさりとその場でくずれ落ちた。


「……僕の勝ちだ。スライ。安心しろ。僕はお前を殺さない。かわりに誓え。二度と僕とネヤには手をださないと」


「なん……でや……! なんで……オマエなんかが……! 【レイス家】のためにつくす気もないオマエなんかが……そんな才能を……! なんで……なんで、ぼくやない……! がああぁぁぁぁぁっっっ……!」


 地面に突っ伏して、身の内から沸き上がる感情のままに嗚咽し、咆哮するスライ。それは、僕にどこか――断末魔を思わせた。






ブクマ、評価、いいね! などの応援いただきありがとうございます。


次回「【蛇】」


では、また明日よろしくお願いいたします。

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