201話 想像を超える切り札。※
別視点。
本日もよろしくお願いいたします。
……背後!
四方に広げた青の霊火が揺らめくと同時、私は振り向き、槍斧を振りぬいた。
「はああああああっ!」
「ちぃぃぃぃぃっ!?」
いままさに襲いかかろうとしていた【レイス家】の暗殺者バーリオの巨大な黒刀を私の槍斧がはじく。
さらに。
「はあっ!」
「があぁっ!?」
勢いのままに手首を返した槍斧の持ち手、石突の一撃がバーリオの胸を痛烈に打った。
「てめぇぇぇぇっ! ニーベェェッ!」
「ふっ!」
怒りのままに返された見え見えの大ぶりの一撃を私はうしろに跳ぶことで難なく避ける。そしてふたたび槍斧をかまえ、次なるバーリオの攻撃に備えた。
「ちっ……! さっきから、チクチクちょこまかと見透かしたみてぇにっ……! ロクに効きもしねえのに、うぜぇんだよぉぉぉっ!」
いらだちを隠そうともせずにバーリオが天に向かって獣のような雄たけびを上げる。
たしかに、奴のいうとおりではあった。
所詮、姿を消して攻撃してくるバーリオの前には、私は守勢にまわらざるをえない。そんな中、細かな隙を突く程度では、あれほどの巨体を誇る相手に決定的な一撃など望めるはずもないのだ。
だが、こうしてしのぎ、わずかでもダメージを与えつづけていれば、いずれは――
「あー、もういい……! まだるっこしいのはやめだ……! 次で決めてやる……! 防ぎようも避けようもねえ、このバーリオさまの最大最高、とっておきの切り札でなぁ……!」
――決定的な好機がやってくる。
よし……! 次の攻撃さえしのげば、私の勝ちだ……! そして、そのための策は、すでに用意してある……!
青の霊火をひときわ強くほとばしらせ、私は槍斧を構えなおした。
「ついでに、念には念を入れて、コイツも試してみるとするか……! スライの野郎から預かった、このオレたちの能力を一時的にだが大幅に上げるとかいう【原液】にとんでもなくやばい代物を配合した特製魔薬とやらを……!」
それは、黒々とした液体の入った小瓶だった。巨大な手の中ではひときわ小さく映るそれをバーリオは一息に飲みほし――
「おおおおぐうがあああああああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!」
――いままでで、もっとも獣じみた咆哮を上げる。
『じゅる……! く、くく……! なんだぁ、こりゃあ……! 最っ高じゃねえか……! 力が満ち満ちてやがるぜ……!』
べちゃり、と。
副作用で口もとが麻痺でもしたのか、だらしなく開きっぱなしになったバーリオの口から唾液が次から次へと滴り落ちた。まるで獲物を前によだれを垂らす獣のように。さらに、その赤く血走った両目は、異形の色に黒々と染まっている。
『じゅる……! さあ……! いくぜぇ……! ニーベェェッ! 全力だ……! 見事耐えきってみせたら、このバーリオさま専属の【花】として、末永く可愛がってやるよぉぉっ……!』
獣じみた異形の面と化したバーリオが吠える。
貴様に侍る【花】など死んでも願い下げだ……! だが、耐えて――いや、しのぎきってみせよう……! 貴様という下衆外道に引導を渡すため……! そして、ロココとディシーに一刻も早く合流するために……!
ちらりと私が目を向けると、ロココとディシーがふたり組の少年のような暗殺者と対峙しているのが見えた。
そして。
『さぁ! 食らえぇぇっ! レイス流暗殺術っ! 奥義ぃっ! 【虚影零突破】ぅぅっ!』
な……に……!?
それは、ほんの一瞬。だが、目を離したすきに放たれたそのバーリオの切り札は、私の想像をはるかに超えるものだった。
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ということで、奥義が放たれました。次回、決着です。
次回「賭けは私の勝ちだ。※」 別視点。
では、また明日よろしくお願いいたします。





