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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第3部 光と闇と混沌と】1章 すべて僕のものだ。

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192話 襲撃。※

※別視点です。

本日もよろしくお願いいたします。

「あー、今日もすっごく美味しかったし、楽しかったー! ね、ロココちゃん!」


「うん。ディシー。ププルともいっぱい遊べた」


 王城での【闇】属性の【姉妹姫】とのお茶会、その帰り道。夕暮れの中を私たちは連れだって歩いていた。


 前を行くふたりの顔はとても満足げだ。


 楽しめたのならいいと思う。ふたりとも、今日のことをずっと気にしていたから。


「……そろそろ、ノエルとネヤちゃんのデートも終わったころだよね。うまくいってるといいけど……。なんだかネヤちゃん、ときどき思いつめたみたいな顔してるとき、あったから」


「ディシー。大丈夫。ノエルならきっと、受けとめてくれる」


「ロココちゃん……! うん! そうだよね! ね、ニーベさんもそう思う――ニーベさん?」


「……ん? あ、ああ。そのとおりだな」


「? どうかしたの? ニーベさん。なんだかさっきから上の空っていうか……」


「いや、すまない。なんでもないんだ。それより、少し急ごう。夕食の時間も近いし、もうノエルたちも戻っているかもしれないしな」


「あ、うん」


 そう返事をするとふたたび前に向きなおり、ディシーはロココと並んで少し歩調を速めて歩きだした。


 とても穏やかな時間。だからきっと、気のせいだ。


 先ほどから、王城を出たときからずっとしている、この妙な胸騒ぎは。


 もしかしたらそれは、貴族区画のはずれにあるブラッドスライン家の屋敷へと続くこの道には魔力照明が少ないからかもしれない。ひとは、魔物がその本領を発揮する夜の闇を本能的に怖れるものだから。


 そんなことを思いながら、私はぽつぽつと道に点在する魔力照明を見上げ――


 ……おかしい。なぜこの時間に点いていな!?


 ――なぜ振り向いたのか自分でもわからない。


 あるいは、長く死地に身をおきつづけたゆえの直感か。とっさに亜空間収納を展開し、槍斧(ハルバード)を手にかまえた次の瞬間。


「おおうらああっっ!」


「ぐううっ!?」


 受けた刃先から強烈なしびれが伝わった。それとともに放たれた獣の咆哮にも似た雄叫びに、私の警戒が一瞬で最高潮に達する。


「はあああっ!」


「うおっとお!」


 全身に青い霊火をほとばしらせると、薄暗い闇に乗じて襲ってきた男は一気に後方へと飛び退いた。


「ちっ! うぜえな! せっかくあらかじめ目立たないように魔力照明もぶっ壊しておいて、いまので決めるつもりだったのによ!」


 なんという巨体だ……!?


 突然の襲撃者を見定めた、私の第一の感想がそれだった。その腕も、体躯も、そして背丈も、人間離れをした、まるで(オーガ)を思わせるような大男。


 ざんばらの赤が混じった黒髪に、荒々しい風貌。このあたりではめずらしい、いや、というよりも男と女の違いはあるが、()()()()()様式の衣服を身につけている。


 この大男、いったいなにものだ……!? まちがいなく、かなりの強者……! それに、いまの動きは……!?


「まあいい! 次で終いだ! 【隠形】!」


 な……に……!? それは、ノエルの……!? ならばまさか、この大男は……!?


 反射。


 そうとしかいいようがない。次に死角から襲いくるそれに反応できたのは。


「え? え? な、なに!?」


「ロココ! ディシー! 伏せろ!」


「うん。わかった。ニーベ。ディシー」


「うぇっ!? わぴゃああっ!?」


 状況についていけずあわてふためくディシーに、とっさにロココが赤い呪紋を巻きつけ、無理やりにともに石畳に伏せさせた。


「おおおうらあああっ!」


「はああああああっ!」


 私はそれを視界の端にとらえつつ、青の霊火を最大限に噴きあげて、槍斧(ハルバード)を真横に全力に振り抜く。


「ぐ、うううっ!?」


「ぐおああああっ!?」


 力のぶつかりあいに生じた衝撃に、互いの体が激しくはねとばされる。


 ぐっ……!? この(りょ)力は……!? まともに受ければ一撃でもっていかれかねないぞ……!?


「痛っでえぇぇぇ! なんだあ、こりゃあ!? 火傷かあ!? ちっ! 妙な技使いやがる……!」


 振り抜いた槍斧(ハルバード)の先の青の霊火がわずかにその体にとどいていたようだ。表面が魔力にただれた腕をさすりながら、悪態をつく(オーガ)のような大男。その姿が三たびかき消える。


 !? また【隠形】か!? 今度は――


「そろそろくたばれや! レイス流暗殺術! 【(はい)影】ぇぇっ!」


 ――下か!


「はああっ! 【焔霊力場(スピリットフィールド)】!」


 地を這うかのごとく距離をつめてくる大男。その眼前に向けて青の霊火を私は阻む壁のごとく展開した。


「ちっ! しゃらぁあくせえぇぇぇっ!」


「ぐ、う、う、うあああああっ!?」


 だが、それでも下からすくい上げるような大男の刃は壁を割って入ってきた。


 その威力は、とっさに受けた槍斧(ハルバード)ごと私を軽々と空中高くはね飛ばす。


「うあちいっ!? うあたたたちちいいっ!?」


 なんとか体勢を整え、ふたたび地面へと着地する間際、青の霊火に全身を巻かれる大男を視認しながらも私は戦慄を禁じえなかった。


 ただの刀の一振りで、私の【焔霊力場(スピリットフィールド)】を破るだと……!? それだけではない……! いままちがいなくこの大男は、【レイス流暗殺術】と……!


「ああ! ちくしょう! 全身いぶされちまったじゃねえか! それによぉ……! 生意気にもこの【右刀】のバーリオさまの攻撃を三度も防ぎやがるたあ……!」


 全身の表皮を魔力に焦がしながら悪態をつく大男。その口が裂けたようにいびつにつり上がる。


「くくく! こいつはおもしれえ! こんなに壊れねえ玩具はひさしぶりだぜ! おい! ジェミ! この女は俺がもらうぜ! 手ぇだすんじゃねぇぞ!」


 なに……!? ジェミだと……!? まずい……! まさか、ほかに仲間が……!?



『えー? バーリオさーん? なーんで襲う前にバラしちゃうのさー?』


 野太い大男とは対照的な、間延びした高い『声』。


 それが聞こえてきたのは、一足では到底まにあわない距離に引き離された――



「ひぃやあぁぁぁっ!?」



 ――かん高い悲鳴を上げるディシーとロココのふたり、そのすぐ目の前からだった。






ブクマ、評価、いいね! などの応援いただきありがとうございます。

新しくブクマ、高評価いただき、本当にありがとうございます! モチベ上がりました!


ということで、立て続けの襲撃です。


次回「相手」 別視点。


では、また明日。これからもよろしくお願いいたします。

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