175話 居場所。※
新しくブクマや評価いただきました方々、これまで読み続けていただいている方々、深く感謝いたします。本日もよろしくお願いいたします。
ざばんっ!
盛大に水しぶきを上げながら、湯の中に潜る。
半ば強制的に頭の中をすっきりとさせると、私はふたたび水音とともに立ち上がり、ポタポタと髪や全身から水滴をたらしながら、悠然と浴槽のふちに腰かけた。
そして、突然の行動にあっけにとられたらしき一同にふっ、と微笑みかける。
「いや、失礼した。少々はしたなかったかもしれないが、まだネヤの話はつづくのだろう? 一度ここで私も頭の中を整理したくてな。そういうときは、よくこうしているのだ」
ざばんっ!
その言葉にハッとした顔を見せたディシーと、こちらはあまりわかっていない、いやもとから気にしていないのかもしれないな、な様子のロココがほぼ同時に湯の中に沈みこんだ。
それから、「ぷはあっ!」と大きく息を吐きながらディシーが、ついでまったく表情の変わらないロココが浮上して私にならい、ポタポタとその髪や全身から水滴をたらしながら、ふたたび浴槽のふちに腰かける。
「うん! ニーベさんのいうとおり、だいぶすっきりした! さあ、ネヤちゃん! つづきを聞かせてよ!」
「うん。ロココも大丈夫。つづき、ききたい」
「……みなさまは、なにも感じない、のですか? いままで聞いた【レイス家】の業深き所業について、その一員である花や、にいさまに」
そのまっすぐに見つめたネヤの問いに、だがロココはきょとん、と首を傾げた。
「……? だって、ノエルは、ノエル。ネヤは、ネヤ」
「うん! そうだよ! あたしたちが知ってるノエルは、ぜったいそんなひどいことしないもん! だから、今日会ったばかりでまだぜんぜん知らないけど、その可愛い【妹】のネヤちゃんなら、あたしは信じるよ!」
「ふ。ああ、そのとおりだ。ネヤ。あてが外れて悪いが、ここにいる私たちはみな、ほかならぬそのノエルに救われた身でな。その人柄も、いいところもちょっと残念なところも十分に知っているつもりだ。いまさら、そんな風聞に近い話を聞かされても、なにも揺らぎはしない。……たとえそれが事実であったとしても。そして」
色違いの紫と赤の瞳で、私は、なにかを見定めるように向けられた漆黒の瞳を見つめる。
「ネヤ。ロココやディシーがいったように、そのノエルの【妹】である君にも、私たちは本気で向きあいたいと、受け入れたいと思っている。だから、話してくれないか? ノエルに焦がれて、いてもたってもいられずに、こうして【家】を飛びだしてまで追ってきた、君自身の想いを」
「……そうですか。にいさまは、本当に外の世界に、ご自分の居場所を見つけられたのですね……」
一拍をおいて、どこか残念そうに、そしてどこか安心したように、ネヤが目を伏せ、ふうっと深く長く息をつく。
「わかりました。それでは、お話します。花とにいさまがどのように【兄妹】となったのかを」
ふたたび私たちを見つめたその黒曜石のような瞳は、いままでにない決意をこめた【光】をたたえていた。
お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価、いいね! などいただきました方、深く感謝申し上げます。あたたかい感想をいただけたら、うれしいです。
ということで、みんなでお湯を滴らせつつ話の再開です。脳内補完よろしくです。
次回「【家族】」それでは、また明日お会いできますように。
忙しくなった日常の合間を縫い、読者のみなさまに支えられて執筆しています。
これからもどうかよろしくお願いいたします……!





