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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第3部 光と闇と混沌と】1章 すべて僕のものだ。

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174話 【原液】。※

※途中で視点変更あり。


新しくブクマや評価いただきました方々、これまで読み続けていただいている方々、深く感謝いたします。本日もよろしくお願いいたします。

 ネヤ・レイス。


 およそ、実に200年ぶりだったという。【レイス家】に、一族のあいだに女子が――純粋な【花】。そう。【真花(しんか)】が誕生したのは。


 屋根の上に寝そべりながら、僕は、青く照らす月を見上げていた。


 このあと、みんなに話すことになるだろう内容を整理しながら。いまごろみんな、【(ネヤ)】からは、どんな内容を聞かされているだろうか、とひとりもの思いにふけりながら。




「に、200年、だと……!? 馬鹿な……!?」


 私は、はしたなくも思わず、ざばっ、と水音を立てながら、立ち上がっていた。


 それほどに衝撃的なことだったのだ。いま、ノエルの【妹】ネヤが語ったふたりの一族、【レイス家】にまつわる事実は。


 なぜなら、【闇】属性ならではの独自性をもった特異なクラスを維持するためには、ある程度近しいもの、それこそ一族同士で血縁を維持する必要があるはず。


 それをしてきた私の家ですらもブラッドリーチ家という【恐慌騎士(テラーナイト)】の素養をもたぬものが生みだされたのだ。それが、200年にわたり外部の血しかとりこめなかったのならば、も、もはやそれは……!?


「はい。ニーベ。お察しのとおり、通常では、(わたし)の誕生を待つまでもなく、すでに暗殺者一族としての【レイス家】の血は絶え、見る影もなく変質していたでしょう。ですが、ある方法で一族はその血を永らえました。外の方々ならば、まちがいなく【外法】と呼ぶであろう非人道的な方法で」


「【外法】……!? ひ、非人道的な方法だと……!?」


「はい。【原液】と――それはただ、そう呼ばれていました」




 ……成分は、知らない。知りたくも、ない。


 ただ代々の当主がどこからか手に入れてくるそれは、事実として【レイス家】を支えつづけてきた。


 おそらく、【原液(これ)】がなければ、僕も【(ネヤ)】もいまと同じかたちでは生まれてこなかっただろう。


 使いかたは簡単だ。その【闇】を濃縮したかのような、瓶に入った黒々としたどろりと粘性のある液体を、【花摘ミ】と称して外部からさらってきた女性に大量に経口で、あるいはそれ以外の方法で体内に浸透させる、そして、その魔力組成そのものを【レイス家】と同質のものに根本的に()()()()()()




「え……!? ま、魔力組成をつくりかえるって……!? そ、そんなことしたら……!?」


「ん。あのとき、ディシーの魔力組成にきざみこまれた【封魔(シール)】を解除するだけでも、たぶん全身を切り刻まれるような痛みがあったはず」


「そ、そうだよ……! ロココちゃんのいうとおりだよ……! すっごく、叫んじゃうくらいに痛かった……! なのに、なのに、そんなことしたら……!?」

 

 ざばり、と水音を立てて、ディシーが、ついでロココが立ち上がった。


 そんなふたりと、そして驚きのあまり声もだせない私に向けて、この場でただひとり悠然と腰かけたままのネヤが赤く紅の塗られた艶やかな唇を開く。


「ええ。ディシー、ロココ。お察しのとおりです。その文字どおり【想像を絶する】ような苦痛に耐えかね、命を落とすものがほとんど。運よく一命をとりとめても、ほとんどのものが身体機能の一部、あるいは精神の均衡を欠きました。そのものたちは【片花(へんか)】と呼ばれ、当主が一度だけ摘んだあとは下賜(かし)され、一族の男たちの共有財産に。そして、ほんのごく一部。身体も精神も侵されることもなく、真に【原液】に選ばれたものだけが【正花(せいか)】として【レイス家】に迎えられ、当主の寵愛を受けることを許されたのです」


 


 ……そして、だからこそ、大量にさらう必要があった。暗殺の【仕事】のついでと称して、夫の命を奪われた妻を、あるいは両親の命を奪われた娘たちを【花】として摘み、【原液】の購入費用として、空になった家に残された金品をも根こそぎ奪いとって。


 食らうために殺す獣。その死体にたかるしかない虫。それ以下の、殺した相手から、自らの私利私欲のままになにもかもを奪いつくすことを【()】とする最低最悪の犯罪集団――それが【レイス家】。 


 ……僕と、ネヤの生まれた【家】だ。




「そして、だから……なのでしょうね。おやさしいにいさまが【あの夜】、すがる(わたし)を捨ててまで、【家】を逃げだしたのは」


 遠く彼方を見つめるように、憂いの表情でネヤがその赤い唇をほころばせる。


 不覚にも、私は【(それ)】を――美しいと思った。






お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価、いいね! などいただきました方、深く感謝申し上げます。あたたかい感想をいただけたら、うれしいです。



ということで、かなりろくでもない【レイス家】の実態その1でした。お風呂で少しでも緩和できてれば幸いです。


次回「居場所※」別視点でお送りします。

それでは、また明日お会いできますように。


忙しくなった日常の合間を縫い、読者のみなさまに支えられて執筆しています。

これからもどうかよろしくお願いいたします……!

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