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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第2部 死霊行軍】3章 闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか?

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154話 闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか?※

燃料をありがとうございました。

どうかお楽しみください。


少し長めです。

※途中で2回視点変更あり。

「「「きれい……」」」



「ロココ」


「うん。ノエル」


 【耳】を使わなくても漏れ聞こえてきた人々の感嘆。


 放たれた色とりどりの魔力の【光】とともにロココの呪紋にからみとられながら、僕は宙へと上っていく。


 月のない夜空に高く高く浮かび上がるディシーが生みだした青い【月】――【青幻の月(ファントム・ルナ)】へ向かって。


「さあ! いくよ! うおおお!」


 そして、放たれた色とりどりの魔力が青い【月】にたどりつくと同時、両手に握った青黒く光る刃を振り抜いた。



「「「え!? つ、【月】が……消え!?」」」



「うおおおお!」


 見上げる人々の驚がくの声を耳にしながら、手の中の聖剣に吸収した荒れ狂う膨大な魔力を爆発させ、【光】となす。


「うおおおおお!」


 それは、【闇】の聖剣の力。こめた魔力を光り輝く刃となす勇者の力。


「うおおおおおお!」


 それは、【輝く月(僕たち)】の力。人々の魔力を、思いを、願いをひとつに束ね、力となす【闇】属性の僕たちだからこそ、紡げた【光】。


 そう……! これが、いまの僕たちにできる最高の、最大の――



「【輝く月・(ルミナス・)昇華連鎖(ライズ・チェイン・)聖闇(ダークライト・)爆撃(ブレイク)】!」



 ――世界へと刻む一撃。



「うおおおおおおおお!」


 月のない夜空を遠く遠く延びる一条の【光】が薙いでいく。青の残滓を燐光のごとくまき散らしながら。


 この世界の片隅までとどけ、照らせと僕の心からの願いをこめて。



 ……でも、いまはまだ僕は知らない。


 この【光】がどこまでとどき、それをだれが見ているのかも。


 そして、それがなにをもたらすのかも。





「ノエル……レイス……!」


 廃都の路地裏。


 その【左腕】しかない男は、たったいま殺めた目の前の骸から血塗れの刃を引きぬくと、遠く青く光る夜空を見上げながら苦々しくその唇を震わせた。

 




「わあ……! あそこ、見て……! 青く光ってて、きれい……! 王都のほうかな?」


「ええ。おそらくノエルさまたちでしょう」


「ええ!? ノエルくんたち!? な、なんでわかるの!? サーシィ! たしかに冒険者ギルドへの通信で、ニーベリージュさんも無事に助けたし、いま王都にいるとはいってたけど……!」


「推察の理由を説明してもかまいませんが、長くなりますよ? それでもよろしいですか? フェア?」

 

「……ならいい! 今度会ったときに直接聞くもん! ……また、会えるよね?」


「ええ。きっと」


 【リライゼン】の街。


 冒険者ギルド受付と、女冒険者御用達の服飾店店主。いそがしい日常の合間を縫い、旧交をあたためあう女性ふたり。


 なみなみと注がれた杯を片手に、遠い夜空の向こう、青の【光】にともに再会へと思いを馳せる。






「あら? ……どうしてかしら? いまあの子たちのことを思いだすなんて。あの【英雄】になるっていってた、きらきらとした目をした、とってもお似合いな男の子と女の子。元気にしてるといいんだけど。ああ……でも、本当にきれい……。それに、なんだか優しい【光】……」


 同じ街の高級娼館。ひとつ仕事を終え、火照った体を冷まそうと、開け放した窓。


 その向こうに見つけたその【光】に、女主人の女性は優しく目を細めた。






「ふふ。やっぱりあなたが【闇】の勇者だったのね? 逢える日がいまから楽しみだわ。でも、そうなると、そろそろもう片方の【あの子】のほうは迎えに行ってあげないとね? わたしの期待どおりに仕上がっているといいのだけど。ふふふ」


 一切の明かりの灯らない真なる【闇】に支配された部屋の中。


 各地に放った無数の【眼】のそのひとつ。そこから実時間(リアルタイム)に配信されたその映像を閉じた瞳の奥に焼きつけながら、白い髪の少女は揺り椅子に安楽に身を預ける。薄桃色の唇をいびつにつり上げながら。






「にい……さま……?」


 蝋燭の灯りだけがゆらめく、甘い香の焚かれた部屋。


 務めを終え、着衣を乱れさせた黒く長い髪の少女が独り、格子上の飾り窓の向こう、濡れた瞳でかすかにその懐かしさすら感じる【光】を見いだす。






「あれって……! ふふん! じゃあ、いよいよ始まるのね! まあ、最強はこのあたしだけど!」


 海を越えた先の荒野。【光】を直接視認できない月のない夜空の向こう。


 その彼方を見つめ、その【気配】だけを感じたふたつ結びの赤い髪の少女は、口もとに浮かべた自信たっぷりの笑みとともに、手の中の赤く【光】を放つ刃をいっそう燃え上がらせる。






 ……いまはまだ僕は知らない。


 これが【光】と【闇】が入り乱れる混沌の渦のような、僕たち【輝く月(ルミナス)】の戦いの本当の始まりであることを。



 だから、いまはただ、ふたたび地上へと落ちていくまでのあいだ――



「す、すごい……!」


「なんて、きれいなの……!」


「これが【死霊魔王】を倒した【闇】の勇者の……! そのパーティーの力だというのか……!」


「なんと……! こうなっては、もうまちがいない……! 認めるしかない……!」


「彼らこそが【光】の勇者パーティー、【黎明の陽(デイブレイク)】に代わる私たちの新たな希望……!」



 ――この喝采と脚光を浴びていよう。



「栄光を!」 


「「栄光を!」」


「「「我らが王国に栄光を!」」」


「「「新たな希望! 我らが【英雄】に! 【輝く月(ルミナス)】の未来に栄光あれ!」」」



「おめでとう……! ノエルさん……!」


 ぽろぽろと宝石のような涙をこぼす、僕の初めての友だちの心からの祝福を受けながら。


「ノエル……!」


「ノエル~!」


「ノエル!」


 ふたたび降り立つ僕にロココが、ディシーが、ニーベリージュが駆けよってくる。


 興奮と感動をこぼれんばかりの涙であふれさせた、いまの僕と同じ、最高の笑顔で。


「やったよ……! みんな……!」


 そう。いまはただ、この脚光を全身に浴びていよう。


 この最高に愛しい、僕の――【輝く月】のような仲間たちとともに。

ここが一番綺麗な終わりになるかと思います。

お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 他の属性が全部敵に回るかと思ってたら穏便に認められたか 闇以外の連中に功績奪われたり濡れ衣着せられたりとか
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