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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第2部 死霊行軍】3章 闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか?

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152話 無力な少女のその叫びを。

燃料をありがとうございました。

どうかお楽しみください。

『っ! みなさん! 聞いてください!』


 月のない夜。代わりに魔力照明で煌々と照らされた王城の外壁前の広場。


 集った人々へ向けて、拡声魔力器で増幅された少女の叫びが外壁の上から響き渡った。



『私は星弓士ステア! ステア・ゴルディール! 騎士団長ゴルドーの末娘にして、【光】の勇者パーティー【黎明の陽(デイブレイク)】の一員でした!』


「騎士団長の……!」


「【黎明の陽(デイブレイク)】の一員……!」


「じゃあ、【光】の……!」


 その言葉に、ふたたび人々の中にどよめきが起こる。それは【輝く月(僕たち)】のときとは違う、肯定的な響きを持ったどよめき――



『でも、でも……! 私は、私は……! 逃げました……!』



 ――だが、その告白に一瞬であたりは静まりかえった。




『逃げだしたあと、ただ隠れたまま座りこんで泣いていた私は、【死霊魔王】に見つかってしまい――』


 星弓士ステアは赤裸々に語りだした。敵前逃亡という自らの罪を。


 年ごろの少女ならば絶対に知られたくないはずの【魔王】から受けた辱めさえも、赤裸々に。


 それは、【英雄】視されていた【黎明の陽(デイブレイク)】の尊厳を地に堕とすには、充分で。


『帰りたかった……! 生き残りたかった……! だから、私は……! 恥も、誇りも……! なにもかも捨てて……!』


 そのときの恐怖を思いだしながら、震え、涙をこぼすステアが【魔王】の前では無力な少女にすぎなかったと、人々が理解するには、充分すぎて。


『でも……! すべては無駄でした……! 結局、私は……! なにもかもを踏みにじられたあと……! 【魔王】の手で殺されかけたんです……!』


 そこでステアが涙で濡れた瞳でちらりと僕を振り返った。うなずいて、それからもう一度人々に向きなおると、あらんかぎりの声で叫ぶ。


『でも! そんな私をノエルさんが! 【闇】の勇者さまが助けてくれたんです! その姿に私は輝きを、【光】を見ました! それから、は、裸の私に、上着を、優しく――え? きゃっ!?』


「ステア」


 ……もう見ていられなかった。


 羞恥に震えながら頬を赤く染めるステアの手を引き、最前列から、見上げる人々のその視線から、そっとのける。


「ノ、ノエル……さん!」


「もういい。もういいよ。ステア」


「わ、私……! 悔しくて……! あんなふうにいわれているのが……! 少しでも、ノエルさんの……! 【輝く月(ルミナス)】のみなさんの役に立ちたく、あっ……!?」


「うん。わかってる。ありがとう」


 いまもこぼれ落ち続ける少女の涙をそっと指先で拭う。


「でも、僕だって、ステアが」


 そこで、言葉につまった。


 ……この娘は、僕にとってなんなのだろう? 


 僕と入れ替わりに【光】の勇者パーティーに入った少女。


 出会いは最悪で、でも、最後には恐怖を乗り越えて共に【死霊魔王】と戦い、あの聖剣の間で僕が【闇】の勇者になったときには、心から祝福してくれた少女。


 そして、いまなんて、自分を犠牲にしてでも、僕たちのために――ああ、そうか。もしかして、これが。


「友だちが無理をして泣いてる姿なんて、だまって見ていたくはないんだ」


「え……? と、友だち……? わ、私が……? ノエルさんの……? わ、私……初めて会ったとき……! あ、あんなひどいことをいったのに……?」


 震え、目を丸くするステアに、僕はゆっくりと首を振る。


「ううん。僕たちのためにここまでしてくれたんだ。ステアはもう僕の、僕たちの友だちだよ。これからも仲良くしてくれる? 対等の友だちとして」


「は、はい……い、いえ……う、うん! こ、こちらこそ……お願い……します……! ノエルさん……!」


 顔を真っ赤にして、ステアがおずおずと差しだした手を僕はしっかりと握り返した。


「こちらこそよろしく、ステア。だからさ、あとは――」


 ステアに微笑み返し、うなずくみんなを見まわしてから、一歩を前に踏みだす。


「【輝く月(僕たち)】にまかせて」


 そして、僕たちはふたたび最前列に立つ。ステアがつないでくれた場所、ステアの思いに応え、自らの力で【英雄】になるために。






お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価、いいね! などいただきました方、深く感謝申し上げます。あたたかい感想をいただけたら、うれしいです。



ということで、ノエルに初めての友だちができました。なお【輝く月(ルミナス)】のみんなは仲間であり、家族といった認識です。

次回「試練」

さて、【輝く月(ルミナス)】が勇者パーティーと人々に認められるための秘策とは?



忙しくなった日常の合間を縫い、読者のみなさまに支えられて執筆しています。

これからもどうかよろしくお願いいたします……!

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